夢子のホテル大好きシリーズ 

カハラマンダリンオリエンタル,ハワイの休日

それは隠れ家のような

6月の平日だというのに、ワイキキの浜辺は人で埋め尽くされている。狭い浜辺にぎっしりと並んだ色と

りどりの水着が目に眩しい。車で通り過ぎれば、賑やかな浜辺も瞬間に消え去る。

右手正面には、海に突き出した岬のようなダイヤモンドヘッド。オアフ島ワイキキのお約束の

風景である。そのままダイヤモンドヘッドを目指して車は進む。昭和48年ハワイに初めて来

た時から2度目も3度目もこの道を通った。当時、ハナウマベイに行くことが楽しみだった。

静かで小さなハナウマ湾。珊瑚礁上の浅瀬の海には、南国特有の鮮やかな魚がのんびりと泳い

でいる。海水は透明度が高く泳ぐ魚達を見るにはうってつけだ。ここでは魚達が主役。人間は

「釣ってはいけない、触ってはいけない」といった法律を守りながら、シュノーケルをつけて

そっと魚を観察する。大きな熱帯魚を追って、気がつくと湾から飛び出しそうな所に来てしま

ったことに慌てたこともあった。ワイキキの狭いビーチで日光浴をするより、このハナウマベ

イで魚に遊んで貰うのが何とも贅沢に思えていた。でも、ハナウマベイにはもう20年近く来

ていないことに気付く。後日聞いたところによると、今ではハナウマベイ近辺に駐車するのに

1ドル、入場するのに2ドルだったか3ドルを支払うことになっているとか。それどころか自

然保護のために観光客を含めて人間を立ち入り禁止にしようじゃないか、と学者様達が相談し

あっているとも聞いた。そうなったら、観光業者は真っ青になってしまうだろうなぁ。自然保

護か観光行政の優先か。

車はダイヤモンドヘッドの右側を通って、更に奥に向かっている。大きく豪華な邸宅が目立

ち始める。オアフ島で有数の高級住宅地カハラ地区に入って来たのだ。素晴らしい邸宅に目を

奪われるが、ところどころに「売り家」の看板もある。一瞬グラッとしたが、大邸宅を買う金

も無ければ、メンテナンスに何人も雇用する金もなし、それにだいたい1年に何度来ることが

出来るのだと現実的な思考になったところで諦めはつく。道を左折すればハナウマベイという

看板をやり過ごして直進すると、やがて右手に写真で見たカハラマンダリンの白い建物が目に

入って来る。空港を出て18分。タクシーの料金は26ドルだったのでチップを入れて30ド

ルを支払い「憧れのホテル」に到着した。

 以前このホテルは「カハラ・ヒルトンホテル」だった。1963年から95年までは。それ

が香港に本拠を置くマンダリンオリエンタルホテルグループのカハラマンダリンオリエンタル

ハワイとなり約80億円をかけて大改装し96年3月にオープンした。マンダリンオリエンタ

ルホテルグループは、香港、バンコク、ジャカルタ、クアラルンプール、マカオ、シンガポー

ルなどアジアを中心に、ヨーロッパ、アメリカ本土でもホテルを経営している。客室は、10

階建てのタワーと2階建てのラグーン・ウィングから成り、全371室。喫煙者だから言う訳

ではないが、タワーの25%は禁煙室である。日本風に表現すれば、このホテルのロケーショ

ンはホノルルの奥座敷とか隠れ家とも言え、ヒルトン時代から世界の超VIPが大勢訪れてい

るらしい。いわゆる「お忍び」ですね。お忍びという言葉は、そもそもヤンゴトナキお殿様と

か貴族が夜陰に乗じてシモジモの世界を垣間見るとか、どこかで隠れてほっこりすることに使

う言葉なのに、昨今では芸能人用の言葉に格下げされ、どころかフツーのビジネスマンとOL

の不倫週末旅行なんかにも使ってしまうのだから嘆かわしい。それはともかく、ホテルのエレ

ベーターの脇を入った廊下には「本物お忍び超VIP」滞在時の写真が、ずら〜〜っと貼り出

されている。おっ!昭和天皇様も、ん?皇太子時代の現在の天皇ご夫妻、クリントン大統領と

夫人は別々の時に見えたのか、フランク・シナトラも来たんだ・・・・・。ヤンゴトナキ方々

は、普通のツインやダブルの部屋では無いだろうから、3千ドルとか4千ドル(1泊よ!)の

スィートルームにお泊りになられたのだろうが、同じ海、同じ景色を見てハワイの休日を愉し

まれたのかと思うと、何だか嬉しくなるね。

 私の部屋は1022号室。「MOUNTIN VIEW Deluxe w@th balc

-ony」で、ノーマルな料金表では、1泊$380。しかし「サマーチョイス」というお得な

プランにしたので朝食2人分つき(1人で泊まった私は誰と食べると言うのだ)で室料$329

とタックス$33ちょっとで計$362。予約はバルコニーが無い部屋だったが、私にとっての

ハワイはバルコニーが必須だからプラス$40を払って部屋のタイプを代えて貰った。最終日の

夜、一緒に食事をした男性陣は、格安の素材の組み合わせで来ており、1泊のホテル代が私のバ

ルコニー代とほぼ同額だと笑っていた。喫煙室も必須、出来たらダブルで、眺めは海でも山でも

いい、アーリーチェックインですぐ入れる部屋を。残念ながらすべての条件を満たす部屋がなく、

ダブルはツインになったが、まぁいいか。こんな面倒臭い交渉を英語で出来る私って、凄いでし

ょ? と言いたいが、実は全部日本語だったのだ。このホテルには、日本語ゲスト・サービスが

あって、2人の日本人スタッフがいらっしゃるのである。しかも、マネジャーの梶間さんは、何

と私の大昔の部下なのであった。ハワイに来る時の1つの悩みは、日本を夜出て6時間半くらい

のフライトでホノルルに着くと朝だということ。団体の時は、そのまま空港からバスに乗り、行

きたくもない観光地や買い物などして時間をつぶして、疲れ果てた頃ようやくホテルに入ること

になるし、私の多くの仲間のように、レンタカーを借りてそのままゴルフ場直行というのもよく

あるパターン。しかし、今回の私は、シャワーを浴び着替えて、午後2時前にはワイキキの教会

に到着していなければならない。結婚式に出席するためにハワイに来たのだから。そんな事情で

一刻も早く部屋に入りたかった。このホテルのチェックインタイムは午後3時だから一抹の不安

はあったのだ。しかし、フロントのカウンターに梶間さんの姿を見てほっとする。20年会って

いないのにお互いにすぐ昔に戻ることが出来た。日本人のゲストだけかどうかわからないが、チ

ェックインに当たったスタッフが部屋まで案内し、部屋の中の説明もしてくれるのは有難い。ラ

グーンの大海亀に倣って、ゲストは小さな亀を渡され、それをプルメリア・ビーチ・カフェに持

っていくとウエルカム・ドリンクをサービスしてくれる。ただ、そのドリンクはあまり美味しく

ないと友人に聞いたので、亀は連れて帰ることにした。

連れ帰った亀 梶間千穂子日本語ゲスト・マネージャー

バスルームがいいのよね〜

 出発前にインターネットでキャノピー(天蓋)付きのベッドを写真で見た。「ほぅ、今度はキ

ャノピー付きのダブルベッドかぁ」とニマニマしていた。2ヶ月半前に月夜のサハラ砂漠で駱

駝に乗ってお姫様体験をしたが(実際はしがみついていて優雅さとはほど遠かったけど)、今度

はベッドでお姫様かぁ。が、実際は違った。ツマンナイノ。部屋の条件にキャノピーつきベッ

ドも入れれば良かったか。冗談です。眺めは、山側で眼下にゴルフ場、バルコニーに出ると右

手にココ・ヘッドと海も見える。部屋の大きさは51u。黄色地の2人掛けソファとテーブル、

チェア、書き物デスク、テレビキャビネット、ツインベッドがあり、床は寄せ木細工でクリー

ムに緑の柄のカーペットが部分的に敷いてある。部屋はほどよく冷房が効いていたが、ベラン

ダのドアを開けると自動的にエアコンが止まる仕掛けはハワイの他のホテルと同じである。

 ベッドデスクにルームライトの操作スイッチが無いのと、フットライトがいていないのが、ち

ょっと不便。でも、他のホテルには決して無いものがあった。小さなCDプレイヤーがあるのだ。

ラジオと目覚まし機能もついている。2枚のCDソフトが置いてあって、その1枚の「KAHAL

A」は、まさにカハラの海のイメージにぴったりのギターのアルバムで、部屋にいる時はずっと

このCDを聞いていた。あんなに気に入ったのにショップで買うのを忘れたことが悔やまれる。

次回は忘れずに。他のCDソフトの用意もたくさんあって、希望者には貸し出しているらしいが、

自分の好きなCDを持参するという手もあるね。

 しかし、何と言ってもこの客室のハイライトはバスルームである。窓側の反対側の木製ブラ

インドドアを観音に開けると、そこに気持ちの良いバスルームが出現する。突き当たりにトイ

レ。残念ながらシャワートイレではないが、便器に腰掛けて、後ろに寄りかかると水が流れる

仕組みが面白い。予備のトイレットペーパーは、バナナの葉だろうか編んだ籠に入っているの

も芸コマ。右サイドに行くと正面に丸いミラーと落ち着いたシンク。その左手はゆったりとし

たバスタブ。右側は大きなクローゼット。トイレから逆の左サイドの突き当たりにも同じ仕様

のシンクがあり、右手はシャワーブース、左手は又もや大きなクローゼットがあるのである。

つまり、夫婦でもカップルでも女性2人組みでも、同時に2箇所にあるシンクで洗面が出来る。

風呂とシャワーに分かれれば、同時に使える。お互いにジロジロ見なければ、自分専用のクロ

ーゼットを使って着替えも出来るというスグレモノのバスルームなのだ。その上、バスルーム

を入った右側には、冷蔵庫、1日2回サービスがある氷、グラス類、その横にはセーフティボ

ックス、そして引き出しなど収納場所もた〜くさあって、1ヶ月いても大丈夫だぞ。

バスタブの横には塩がたっぷり

 バスローブの肌触りが良い。タオル地もピンからキリまであると聞いたことがあるが、恐ら

く最高級の素材を使っているのではなだろうか。もう着ているとうっとりする程の気持ちの良

さ。但し、かなりデカイけどね。荷物になるのを気にしなければ、2枚位買ってきたい。バス

タオルも大きくて良い。ハンドタオルは普通。フェイスタオルは、厚さは十分だが横幅が少し

小さくて、顔を拭く時は問題ないにしても洗った髪を巻くのはかなりツライ。ハラリと落ちて

来てしまう。善処を望む。善処といえば、あと2つ。バスタブのシャワーは、デザイン的には

凝っていて良いのだが、機能的ではない。ハンドシャワーだから、当然手に持って使う。しか

し洗髪動作には使用と中断があることを設計者は考えていないようだ。十分考えていたら、タ

ブに座って手が届く位置にシャワーを掛けるフックを付けるべきではないかしら。ちょっとク

ドイけど具体的に言うと、髪を洗おうと思います。丁度良い湯加減にしてカランからハンドシ

ャワーにお湯を切り替えます。片手にシャワーを持って髪をざっと濡らします。シャンプーの

1回目をつけるためには両手が必要です。仕方なくお湯をカランに切り替えてハンドシャワー

はきちんと元に戻します。シャンプーで泡立った髪を洗い流します。またハンドシャワーをフ

ックから外し、お湯を切り替えて流します。次に2回目のシャンプーを・・・・・・という順

番で作業を続けると、2回目を洗い流す、コンディショナーをつける、最後に洗い流すとあっ

て、その度にハンドシャワーをセットしたり外したり。お願いですだ、カハラのお代官様、ハ

ンドシャワーをバスタブに流しておけるフックをつけて下さらんか。もう1つは、インテリア

的には美観をそこねるかもしれないけど、バスタブにはシャワーカーテンつけた方がいいよね。

折角の塩の入れ物にも、キレイなシンクにもシャワーのお湯が飛び散って、後片付けが大変なん

だ。

これが問題のシャワーだ!

 文句を言った後だからって褒める訳じゃないけど、アメニティグッズは大充実。シャワーブ

ース側のシンクに、マンダリンオリエンタルホテルのデザインシンボルの扇子が広げられた籠

に奇麗な色使いのシャンプーだのコンディショナーなどがぎっちり入っていて絵になる。シャ

ンプーなどの瓶類は、小さなコルクで栓がされていて、瓶の口を植物の葉の紐で巻いてあって

可愛らしい。歯ブラシ(3日目に入っていた)やヘアブラシ、髭剃り(私には不要だが)など

は無いが、へちまがあったのにはちょっと笑う。スリッパ、タオルで包んだヘルスメーター、

靴を入れておくと磨いてくれる籠、懐中電灯、ホテルの大きな紙袋(但し、私の部屋の袋は糊

が薄かったのか穴が開いていたけど)、畳んだタオルの間にはハンド型のヘアドライアーがあり

そして傘まであるのには驚いた。事前情報で、針に糸が通してあるという噂のソーイングセッ

トがどこを探しても見つからず残念だった。次回は是非! こんなバスルームだから、洗顔や

バスタイム以外でも、ついついこの中で過ごす時間が長くなってしまうのだ。96年の大改装に

当たっては、ヒルトン時代の得意客に意見や要望を聞いと言うが、「バスルームの充実」をリク

エストした人がいたら、感謝したい。

冷蔵庫については、特段コメントは無い。かなり充実しつつも普通か。値段はコークが$2.75、

ハワイアンウォーター$3、エヴィアン$4、バドワイザー$4.25、ハイネケン$4.75といっ

た感じ。1つ面白いものが入っていた。スターバックスのカフェラテ。滞在した3日間とも昼

の食事は殆ど取らなかったのだが、買い物に行ってもスターバックス、ホテルでもスターバッ

クスで、ワイン好きの女優風に言えば、「私の血はスターバックスのカフェラテ」という程に続

いてしまったのである。氷のサービスが2度あるのは嬉しいけど、暑いハワイでも暖かい飲み

物も欲しい。残念ながらお湯のポットとかティーセットが無いのはちょっとね。特に眠るため

に一苦労する私は、夜カモミールティは必需品。仕方なく氷を入れた水に長い時間浸して飲む

羽目になった。

海のパラダイスをお望みなら

 ロビーからテラスに出ると、下にホテルの庭を自在に抉ったような変形のラグーンがあり、

大人用、子供用の小さなプールが見える。そして庭が終わるともうそこは浜辺と海が広がって

いる。LL階から庭に出て小道を進むと、緑色の水をたたえたラグーン。あっちでこっちで人

だかりがあり、歓声さえ聞こえる。人気者はイルカだった。ちょうど朝の子供用プログラムが

始まったところらしく、水着姿のキレイなお姉さんが、数人の子供にイルカと遊ぶ方法を教え

ていた。その姿を子供達の親や他のゲストが嬉しそうに見学している。数えたらイルカは4頭。

ホテルの案内書によると、種類はバンドウイルカで、ミシシッピー川の浅水育ちなのだそうだ。

イルカが4頭で棲むにはちょっと小さいラグーンだが、その言い訳のようにも読める。よく訓

練されていて、お姉さんに協力的なイルカ君であるが、1日3回餌を貰う時もジャンプなどを

披露するショーもやるそうよ。このラグーンには、他に大海亀が2匹、熱帯魚やいくつかの種

類の魚も泳いでいる。

 橋を渡って右に行くとプルメリア・ビーチ・カフェ、左はプールを経て海に至る。プールは

2つの水溜りのような子供用プールとあまり大きくない大人用の3つ。大人用の楕円形のプー

ルの周りにズラリとパラソルつきのデッキチェアが並べられて、人気がある場所のようだ。そ

んなプールより、海に行こう。素晴らしいビーチと海へ。三日月形のこじんまりした湾。静か

な海。遠浅で珊瑚礁もあるのか、コバルトブルーからネイビーブルーへの「青」のグラデーショ

ン。ここはプライベート・ビーチなのかなぁ。青い芝生や白い砂浜のところどころに配置され

たビーチ・カバーナの姿が何とも優雅に映る。砂浜の手前には椰子の木が生い茂り、その木陰

にも寝心地の良さそうなデッキチェアが並べられている。風が気持ち良い。2本の椰子の木に

はハンモックが揺れている。ビーチのスタッフにタオルや冷たい飲み物を運んで貰ってカハラ

     ビーチの休日を愉しむ人々。う〜ん、これを楽園と言わずしてどう表現するのか。こんなこ

とを言っては何だが、あのワイキキの芋洗いのような混雑を思い出すと、同じハワイとは思え

ない静かさと優雅さだ。ビーチと庭の境に看板がある。「監視員はいないから、泳ぐ人は自分の

責任でやれよ」というような内容であった。こんな楽園のようなビーチ、海を前にして私は何

をしたか? 水着は持って来なかったし、太陽に当たるのはイヤだし・・・・ということで、

写真を撮って、煙草を吸いながら、ただ風に揺られていただけなのです。毎日10分ほどね。

          

数少ないレストランは、早めの予約を

 このホテルのレストランは正確には2つ。メインダイニングの「ホク」、「プルメリア・ビ−

チ・カフェ」。ホクは「カハラ・ビーチに輝く新星」なのだそうで、ホテルの案内では「ヨーロ

ッパの技と粋を追求しながらアジアのエッセンスを取り入れた話題のパックリム・キュイジー

ヌ」なのだそう。正面ロビーの右隣の別棟にある。最終日の夕食をここで取ろうと前日に予約

の電話を入れたが、とても早い時間か遅くなってからでなければダメと断られてしまった。よ

ってホクでは食べられなかった訳だが、初日の結婚披露パーティのコース料理の大半は「ホク」

の料理と思われ、食べなかった訳でもないというところか。どれがホクの料理か定かではない

が、パーティのフルコース料理の写真の中から「パックリム・キュイジーヌ」を想像して下さ

い。

もう1つの「プルメリア・ビ−チ・カフェ」は、朝6時半からの朝食、ランチ、夕食の午後

11時までフル稼働。ここでは朝食を3回食べた。アラカルトで注文も出来るが、多くの人は

ヴッフェ料理を選んでいた。ヴッフェの料理数は、ちょっと多いというくらいかな。ハワイら

しく果物は豊富。オムレツもお兄ちゃんがその場で作ってくれるが、毎日作っている割にはあ

まり上手でない。火を通し過ぎです。ポテト料理は料理法が毎日変わって、ハッシュドポテト

の日もあれば、大きくカットして茹でてソティした料理もあった。でも日本食が必ずあるのは

やっぱり嬉しい。ご飯、味噌汁はもちろん、魚、納豆、海苔、漬物に加えて、茶碗蒸しや里芋

の煮物、冷奴など日替わりの料理も2〜3種ある。3割ほどの客が日本人だからの配慮だが、

その割にサービスするスタッフは、日本語が全くダメな人ばかりなので、困る客もいるようだ。

でも、海が目の前にあって、半分が室内、残りが戸外に張り出しているレストランには、風が

気持ちよく吹き込む最高のロケーションである。

1日目の朝食

2日目の朝食(和食)

3日目の朝食

つまり、洋食でも和食でも毎日味噌汁を飲んだのだ

 「ホク」の予約を取れなかった夕食は、結局ロビー階の一隅にある和食レストラン「TokyoTok

-yo」で取ることになった。エントランスの車寄せの左側サイドに、突如としてという感じでこ

の店がある。ホテルのレストラン案内には入っていないので、どうもテナントとして入ってい

るのかもしれない。そうはいっても、ホテルの内線から予約できるし、支払いは部屋付けに出

来るので、ただのテナントとも扱いは違うようで、その存在ははっきりしなかった。男性4人

のゲストのホステスとしてこの店にご案内する立場であったが、自分を筆頭に喫煙者ばかり。

外国、中でもアメリカにおける喫煙者の扱いと言えば、それは冷たく「未だそんな健康を害す

るものを吸っている阿呆がいたのか!」という雰囲気に喫煙者はうなだれるしかない。部屋で

吸ってもダメ、フロアでもダメ、レストランでなんて論外!というお国柄だから、レストラン

での長い食事の時どうしても煙草を吸いたくなったら、あくまでも品良く「失礼」と詫びを入れ

て、ツカツカと店の外に出て、そこに置いてある灰皿で煙草を吸うしかないのである。確か、

アメリカの州ごとの禁煙に関する法律が次々と決まっていく時、日本人、韓国人、中国人など

を主な客としている飲食業者が「やってらんないよ」と猛反対したという記事を新聞で見たこ

とがある。その頃は席数の一定の割合を禁煙にするという段階だったが、あっという間に全部

が禁煙となってしまった。確かに煙草は健康を損なう嗜好品だとも思うけど、ここまでヒステ

リックなアメリカの対応には辟易する。じゃ、同時に銃の規制もしろ!と八つ当たり。

このレストランでは、その条例をくぐっているのかどうか、客室の半分を戸外にしている。

もちろん「煙草の吸える戸外席」が確保されており、存分に煙草を吸って和食を食べることが

出来た。しかし、メニューを見て悩んだ。今日のメンツは、天麩羅盛り合わせ定食なんか食べ

る雰囲気ではない。ちゃんと食事をするというより、飲み、食べ、飲み、食べ・・・・つまり

新橋当たりでいつものようにしたい感じがありあり。で、ホステス役の私はこう決める。「天麩

羅の盛り合わせ2つ、鮨の盛り合わせ2つ、すき焼き2人前。足りなかったら都度追加」。カナ

ダのモントリオールに留学経験(会社から派遣されて)を持つM君が流暢な英語で、それをオ

ーダー。天麩羅盛り合わせと鮨盛り合わせの2人前を5人で飲みながらつまむと、すぐに無く

なった。「これじゃあ、相当追加しなくっちゃなぁ」とスポンサーでもあるホステスは思う。し

かし。最後のすき焼きを見て状況は変わる。たった2人前なのに、牛肉の量は1キロはあるん

じゃないかと思う程の凄い量。それに白菜や豆腐、ネギももちろん付く。すき焼きを5人前頼

んでいたらどうなったの?」と笑ってしまう程のボリュームだった。外国で生卵はめったに食

べないと聞くが、ちゃんと出ましたよ。生まれも育ちもハワイらしい青年が、熱くした割り下

にお箸で肉だけ入れてさっと煮て、1人ひとりの生卵入りの小鉢に分けてくれる。割り下はか

なり甘い。サッポロビールの大瓶から、冷酒に切り替えて、甘ったるい割り下の味を消すかの

ごとくグビグビと飲む。煮詰まったすき焼きのタレに、うどんをドカドカと入れて、すき焼き

は完了。水をたくさん入れて薄めたが、何とも濃い味のうどんではあった。そのうどんで何だ

かお腹が一杯になってしまい、追加は結局しなかった。これで$300位です。

 

 この他、ハンバーガー、サンドイッチ、トロピカルドリンクなど軽食を出す「プール・スナ

ックバー」やロビーと「ホク」の間に「ベランダ」というバーがある。「ベランダ」では、マイ

タイ、チチ、ブルーハワイなどお馴染みのトロピカルドリンクを飲みながら、迫力あるピアノ

とボーカルの演奏を楽しめる。

 こうしてみると、客室数に対してレストランはやっぱり少ない。車を飛ばせばワイキキまで

十数分だから出掛けるのもよし、2晩目に地元の人に連れて行って貰ったカイワレという安く

て美味しい店が並ぶ穴場に行くもよし、しかしホテルのレストランで食べたい時間帯に食事を

するなら、予め計画を立てて、早めに予約することをお勧めする。ま、24時間のルームサー

ビスもあるから、喰いっぱぐれることは無いんだけどね。

ベランダのマイタイ

2001年6月のハワイは

ハワイでの結婚式、買い物方面の情報もちょっとご紹介する。今回は結婚式とウェディング

パーティ出席のためにハワイに来た。式はワイキキの町のド真ん中「セントラル・ユニオン・

チャーチ」の大聖堂。ハワイでの結婚式は何度か行ったが、この大聖堂の威圧感というか厳粛

さはなかなかのものであった。海外ウェディングを得意にしているWという会社の仕切りと聞

いたが、この仕切りにはソツが無い。まずメッチャ日本語流暢のアメリカ人(たぶん)牧師が

登場する。そのバイリンガルの牧師さんの指導力はもの凄く、リハーサルにつきあった列席者

も、本番では彼のちょっとした指の上げ下げだけで、全員が立ったり座ったり自由自在なので

あった。ひところ流行ったカウアイ島の「洞窟の結婚式」は、列席者もスタッフも蚊との戦い。

現在はどうかしらないが、当時は15分1組のバッジ処理であった。私は蚊に好かれる体質ら

しく、他の人より3倍くらいの蚊の来襲に往生しながら「洞窟と言ったって、ただのヘコミく

らいのもんじゃん」と蚊の被害ですっかりヒガミ根性に徹していた。ハワイのどの島で結婚式

をやっても、付き物は「ハワイアン・ウェディング・ソング」。「♪This@samoment・・」

のあれである。この日の歌手は50代くらいの女性で、声にボリュームは無いが、丁寧な歌唱

でしっとりと唄の歌詞の意味がしみた。続けて、グノー(実はJ・S・バッハ作)の「アベ・マ

リア」の唄もあり、海千山千の新郎の緊張しながら恐縮した姿が印象的であった。長いバージ

ン・ロードを父親に手を取られて歩いて来た新婦が新郎に委ねられ、2人で厳かに式に臨む。

何度も見た風景で、自分がしたいとは決して思わないけど、友人が幸せになる、って思うのは

確かに嬉しいね。良い結婚式でした。そんな厳粛な雰囲気の中、祭壇の一角で大型の扇風機が

回っているのが、いかにもハワイらしかった。

ホテルからはこんなリムジンで 長いバージン・ロード   右端に花婿

日本でだって買い物好きではない人間だから、海外でも同じである。でも、ゴルフはやらない

し、海にもプールにも行かない。じゃ、ちょこっと出掛けるかと、ホテルの近くの「カハラ・

モール」に出掛けることにした。このホテルは、静か=不便のロケーションなので、そうゆう

目的のためにシャトルバスを出している。15人ほど乗れる小ぶりのバスで、朝9時から夜の8

時まで、昼を除いて殆ど毎時出発便がある。更にはアラモアナ・ショッピングセンターやロイヤ

ル・バワイアン・ショッピングセンターを周遊するバスもあり、ワイキキにご用の節も便利な

のである。カハラ・モールまでは、車で5分ほど。日本の旅行会社のワイキキをぐるぐる回っ

ている馬車のようなバスもここを通っている。そんな観光客を別にすれば、カハラ地区に住む

お金持ちのモールらしい。ブランド品に全く興味関心が無いので、テナントにどこの店があっ

たとか何のブランドの掘り出しモノがあったという記述は不可能である。台所用品、アロハシ

ャツを数枚買った以外は、ほとんど併設されているスーパーを見学した。特に生鮮食料品が並

べられている店に行くと興奮する。コンドミニアム宿泊で、自炊するならまだしも、ホテルに

いるのに、牛肉のブロックがいくらか、ハムの値段は、野菜の種類は、デリカテッセンでの売

れ筋は・・・といった観点でスーパーの中を歩くのは実に楽しい。ほぅハワイでは卵を冷蔵庫

に入れて売るのね、なんて発見もある。肉が安いことは以前からわかっているが、今回野菜の

種類が豊富だったので、ちょっとびっくり。レンコンも、白菜も、長芋、里芋、大根もある。

しかし、地元の人に聞くと、長ネギが店頭に並ぶようになったのはここ数年の話で、すき焼や

うどんなどの料理をする時は、調達に困ったらしい。今では豆腐や油揚げ、納豆なども何種類

も売っているし、韓国カップ麺やキムチもあって、日本食や韓国の食材が違和感なく並べられ

ている。大きなショッピング・カートに寄りかかって歩くのがやっとのようなおばあさんが、

1週間分なのだろうか肉や牛乳、野菜やパンなどを籠に山のように積み上げてぼーっと立ってい

た。これもいかにもアメリカ的な買い物風景である。

 

サービスはホテルの心

 正面玄関からロビーに入ると、高い天井に見事なシャンデリアが下がり、ゆったりした空間

が広がる。白い壁と座り心地の良いソファや椅子。豪華な花。左手正面窓の外は海とラグーン、

プールを見下ろせるテラスになっている。このロビーは、ヒルトン時代のものをそのまま残し

ているようだ。左手に進むとフロント。スタッフの誰もが軽い挨拶と笑顔で迎えてくれる。私に

は、日本語ゲストスタッフが心強い味方であることは既に述べた。エレベーターは3台。オー

チス製。押しボタンが、横3、縦4の正方形に並んでいて一瞬どこを押してよいやら迷う。1

階通過する度に「キィ、キィ」と切なそうなそうな音を出すのがご愛嬌。エレベーターは、海

側の「ココ・ヘッドウィング」と山側に少し引っ込んだ「ダイヤモンドヘッドウィング」の中

心にありエレベーターホールを真ん中にクランクのように2つの棟を繋いでいる。

 メイドサービスは、朝のベッドメーキングと夕方のターンダウン・サービスと日に2回ある。

初めて来たハワイでは、枕銭は25セントだったが、今このホテルなら$2くらいが相場らし

い。25年で8倍か。ターンダウン・サービスでは、タオルの交換、氷の補充、灰皿の交換、

ベッドを就寝用に作り直し、朝食ルームサービスのメニューに小さなカトレアを添えて枕元に

置き、そして音楽番組のラジオを小さく掛けておいてくれる。日本のホテルではソバ殻枕に変

更して貰うが、このホテルでは発泡スチロール製枕と非アレルギー枕しか無いらしいので、変

更は求めなかった。そこまで贅沢言えないしね。

 ヘルス&フィットネスクラブも充実しているらしいが、今回は利用しなかったのでコメント

出来ない。利用しなかったといえば、残念だったのはマッサージである。そのうち受けようと

思っている間に帰る日になってしまったのだ。ゲストサービス・ディレクトリーによれば、「ハ

ワイ・ストレス・バスターズ」のプロ・セラピストの独自テクニックによる6種類のマッサー

ジがあるんだとか。ハワイ住民の伝統文化の1つである「ハワイ式ロミ・ロミ・マッサージ」

は、大海のさざ波に揺られているようなマッサージというのだから、やって貰いたいじゃない

ですか。さざ波に揺られるんだぁ・・・・。うっとり。他には、スェ−デン式マッサージ、足

の裏のツボを刺激する投射法、指圧、スポーツ・マッサージ、アロマセラピー。フィットネス

センターで受ける場合が多いようだが、希望で部屋出張サービスもあるらしい。とにかく、マ

ッサージを受ける場合は、交換にマッサージ中に電話を繋がないよう断れとか静かな環境にせ

よとか、終わったら風呂に入ってリラックスしろとか事細かな指示というかアドバイスが記載

されていて「力が入っているなぁ」と感心してしまうのであった。

 細かいことを言えば、ゲストサービス・ディレクトリーは英語版、日本語版の2種あるが、

日本語版はレストランの番号が違っていたり、ゲストの誰かがつけたらしい口紅のあとがべっ

たりと2箇所もついていて、ちょっと興醒めである。しかし、廊下でも、エレベーターでも、

例え深夜のロビーであっても、ゲストに必ず笑顔で声を掛けてくれるスタッフはとても気持ち

の良い人々であった。そう言えば、1泊目の夜部屋に戻ったら、とても大きな花がテーブルに

活けてあった。このホテルはどの部屋にも、こんなお花のサービスをするのだろうか。それと

もステキな男性がプレゼントしてくれたとか・・・・。ふふふ。今答えはわからないのだから、

男からのプレゼント説にしておこうっと。

贈り主は誰?

本当の天国はココ

決して長い滞在ではなかったのに、昼間の半分を過ごす程のお気に入りの場所を見つけた。

バルコニーである。$40ドル上乗せしてでもこだわったバルコニー。ダイヤモンドヘッドウ

ィングのマウンテンヴューの部屋から見える景色は、もちろん山でもあるが、目の下はゴルフ

場である。「Waialae  Country Club」。ハワインアン・オープンはこのゴル

フ場で開催され「ハワイで最も多くの人に知られ、誰もプレイをしたことがない」名門コース

なのだそうだ。会員同伴でなければ決してプレイは出来ない。カハラ・マンダリンに宿泊すれ

ばプレイ出来ると勘違いして落胆する人も多いのだとか。それ程の名門コースを、それこそバ

ルコニーからシゲシゲと見下ろす贅沢さ。朝食後、海を10分見て、シャトルバスに乗って出

掛ける。2〜3時間でさっさと戻り、優雅にお風呂に入って汗を流す。あの着心地の良いバス

ローブを羽織り、あの寸足らずに思えるフェイスタオルでシャンプーした髪を包み(何度もハ

ラリと落ちるのだが)、氷水をいっぱいに入れたグラス、シングルモルトのウィスキーボトル、

本、灰皿、煙草をバルコニーのテーブルに運ぶ。椅子とオットマンか、寝椅子のどちらかにど

っかりと腰を下ろす。風が強い。火照ったカラダに強い海風が吹き付ける。ストレートのウィ

スキーをグビッ。煙草に火をつけてプワ〜。あぁ、気持ち良か〜。眼下のワイアラエのコースで

は、お金持ちのゴルファーが炎天下でプレイしている。下手な人もうまい人も。タオルを頭か

ら取って、何度か髪を指櫛でクシャクシャやるともう乾いている。またウィスキーをグビッ。

そんなに暑いところで陽に焼けて歩き回るのはヤメて、ここで一緒に1杯やりませんかぁ。

私の片足です。下のゴルフ場より気持ち良いと思いません?

私が泊まった棟は、偶数番号の部屋だけにバルコニーが付いていて、奇数番号には無い。何

故そうしたのか。経験ある方も多いと思うが、隣の部屋はもちろん、向かいの部屋や斜め下の

部屋のバルコニーが丸見えのホテルって多いんですよね。それを1部屋おきにして目隠しの板

を張れば、ほぼ互いに見えなくなってプライバシーは守れる。多分そういう配慮だと思う。前

回はワイキキの中心にある「ハレクラニ」に宿泊したが、大きなプールを真ん中にコの字型の

建物構造で全室バルコニーがあるから、どの部屋からもたくさんの部屋のバルコニーが見渡せ

る。ということは、自分も見られてしまうこと。私など1人で見られてもどうってことは無い

が、バスローブを着た新婚旅行とおぼしきカップルが、遅い朝食をバルコニーで取ろうと料理

を並べて貰って座ったら、あちこちからじっと見られていることに気がついたのか、急にモジ

モジし始めて気の毒だった。ここはそんな配慮があって、しかも部屋は最上階。ゴルフコース

からは見られる可能性は無いとはいえないが、皆プレイに集中しているから心配はしない。

小鳥がたくさん来る。姿を見ても名前はわからないのだが、鳴くというより歌っているよう

な鳥までいる。楽譜に直すと1小節に8分音符が8つあるほどの複雑なメロディ。口笛で真似

てみると、何度も鳴き返して来る。雄と雌だろうか、1方が逃げ、そのあとをもう1羽が追い

かける。ストレートウィスキーの酔いが徐々に回って来て、読んでいた文庫本を取り落として

うとうとする。やがて小鳥がすぐそこに来て激しく鳴く声で目が覚め、床に落ちた本を拾い、

また白州正子さんの世界に戻る。時として、起こされるのは匂いであったりもする。3時半頃

から夕食の準備をしているのだろう、グレービーソーズの良い匂いが風に乗ってぷ〜んと香っ

てくる。これは炒めた玉葱の匂い、今度は肉をローストする匂い。因みに、朝は甘いシロップ

の匂いやソーセージ、ペッパーの匂いもじゃんじゃんして、お腹が空きやすいバルコニーでも

あるのだった。

 上を見れば、真っ青な空。難しいことを何も考えなくて良い贅沢な時間だ。未だ知らない世

界に出会う旅が好きだが、たまには自分をカラッポにして、過ぎる時間を楽しみたい。カハラ

マンダリンオリエンタルハワイは、そんな時間を約束してくれるホテルだ。今またココ・ヘッ

ドから海を越えて、気持ちの良い風が送られて来た。

                              おしまい

 

データ:泊まった日&書いた日/2001年6月

ahala Mandarin Oriental,Hawaii

5000 Kahala Avenue Honolulu Hawaii 96816-5498

Phone (1 808)739-8888   Fax(1 808)739-8800 Reservations(1 800)367-2525 

 

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