夢子のホテル大好きシリーズ

ホテルグランパシフィックメリディア

パリ21区というホテル

 2分から3分おきに飛行機が左手から現れて正面を通過し、大きく旋回して着陸態勢に入る。

やがて羽田空港があるであろう沖の方に姿を消す。JALだ、ANAだ、今度はJASだと、キラキラ

光る景色に展開される飛行機のパレードに飽きることがない。以前このホテルに滞在した時は、

クラブフロアーのレインボーブリッジを目の前にする部屋だった。それはそれで素晴らしい光

景だったが、裏のサイドの部屋には、こんな楽しみがあった。

「お台場」と言えば、今や東京の人気スポットとして定着したが、東京都民でありながら、

そのような大それたものを建設していることをある時まで意識していなかった。勤務する会社

の関連会社を訪ねた時、目の前に巨大なループが建設されていて、驚いた。「このループの橋の

向こうには何が出来るの?」と質問したが、正確に答えられる人はいなかった。やがて行われ

た都知事選で、鈴木現知事と臨海副都心計画に真っ向から反対する青島候補の戦いで、ようや

く計画の全貌を知った都民。高齢ながらカラダがいかに柔らかいかをアピールする鈴木さんに

対し、青島さんは選挙運動を全くせずに庶民の関心を引いた。青島贔屓が高まる中で、臨海副

都心計画はバブリー時代の遺物のような印象を人々は持った。バブルがはじけて入居予定の企

業の辞退が相次ぎ、青島さんの当選と共に臨海副都心の未来に暗雲が一気に立ち込めた。まぁ

思い出話はそのくらいにするが、このホテルも建設途中で工事を一時ストップした。どの位ス

トップしていたかは知らないが、見通しがついたのか、やがてピカピカのホテルとしてオープ

ンした。

天気の良い日などレインボーブリッジを車で渡りながら眺めると、とても東京とは思えない

景色である。NYのマンハッタン島からブロンクスを眺めているような(何度か行ったことが

ある)錯覚に陥る。橋を渡り切って右側に進んだとっつきに「ゆりかもめ」の台場駅。進行方

向右側が日航ホテル東京、左側がホテル・グランパシフィック・メリディアン。品川駅前のパ

シフックホテルを運営する京急観光とパリに本拠があるメリディアンホテル&リゾートが業務

提携している。海岸線に沿ってカーブを描き、いかにも都心型リゾートホテルの日航ホテル東

京に対して、グランパシフィックメリディアンは地上30階建てで直線的・質実剛健のイメー

ジである。だが、ホテルのキーワードは「フレンチシック 21区目のパリ」というのだそう

で、その大きなギャップが面白い。

    

 ホテル正面側からの眺め     眼下には日航ホテル東京     裏側の窓は航空ショー

 2階のエントランス。広く立派だ。チェックインしようとフロントに並んだ時気がついた。

優待券を持って来るのを忘れてしまった。ホテル関係に働いている友人、後輩がかなりいるが、

心優しい後輩が優待券を送ってくれた。フロントの方にその旨を伝えると困った顔をしながら

も「お帰りになってから郵送下さい」と言われてホッとする。翌日チェックアウトする時渡さ

れた封筒には、宛先が記入されているだけでなく、切手もキチンと貼ってあり、親切だなぁ、

と感心した。今日はツインの部屋。21階のその部屋に入り、カーテンを開けると、眼下に東京

国際交通館の巨大な駐車場、その左手奥にはテレコムセンター、右手の船の科学館の向こうに

は宗谷丸、羊蹄丸も見える。そしてその先は太平洋だ。眺めをゆっくり楽しむように窓際には

テーブルと2つのチェア、右側に浴室に続いてベッド、左側には、クローゼット、冷蔵庫、荷

物置場、テレビが並んでいる。天井には小さめのシャンデリアがぶら下がっている。予約時に

お願いしたベッドメーキングの特別な注文はキチンと出来ていた。スーペリアツインは33uで、

格別な特徴は無いが居心地は良い。

   

   

     

冷蔵庫の品揃えは標準的。ビールは500円だが、300円の発泡酒があるのはお父さんには嬉し

いかも。嬉しいといえば、2種類のカップヌードルが200円で置いてあるのは子供連れには有難

いだろう。このホテルは、東京ディズニーリゾートのマルチデーパスポートをセットにした宿

泊プランがあり、毎日無料送迎バスが運行している。どうりで家族連れが多いわけだ。ミネラ

ルウォータ、ソフトドリンクはすべて200円。だいたいホテルの冷蔵庫の飲み物は高過ぎるか

ら、これくらいだと家族連れも安心して飲むことが出来る。お湯はポットに沸いていた。氷は

自分で取りに行くかルームサービスで頼む。煎茶2、オリジナルティー2、インスタントコー

ヒー2袋が備えられている。

家族連れのお客が多いわりに荷物や洋服の収納はそう多くはない。しかし、クローゼットに

青竹がちょこんと置かれていて、これ健康にはいいなぁとは思ったものの一度も使わなかった。

クローゼットの外に置いてあるが、金庫があるのも良い。

    

バスルームは華やかだ。鏡が観音開き型で一部に使用している木部が全体の印象を引き締め

ている。左手はバスタブ、右手にシャワーブースとシャワートイレ。バスタブにはカーテンは

無い。アメニティグッズは充実していて、シャンプーやコンディショナー、バスジェルなどの

他に布製の袋が用意されている。袋の中にはブラシ、シャワーキャップ、ヤスリなどが入って

いるのだが、女性はこうゆうの好きなんだ。体重計は置いていないが、バスローブが備えられ

ていて嬉しい。

   

   

多彩な食の世界

 このホテルは、東京地区最大のホテルなのだそうで、客室数は884室。何と3000名収容でき

る宴会場まである。それにレストランが多い。1階:カフェレストラン「エルベット」、2階:

広東料理「楼欄」(亡池波正太郎さんのお好きな店の一つで、銀座のコアビルにも品川のパシフ

ィックホテルにもある)、フランスレストラン「エピス」、イタリアンレストラン「アルコバレ

ーノ」、メインバー「ルイロペス」、3階:日本料理「大志満 花かがり」、酒処「漁火」、30

階:天婦羅「扇」、鮨処「鼓」、鉄板焼「浜木綿」、スカイラウンジ「スターロード」。これに2

階のロビーラウンジ、3階にはカラオケ「カプリス」とプライベートバー「ジー&ジー」まで

あるのだから恐れ入る。これだけお店があるのに、私は既に半分以上のレストランに行ったこ

とになる。

前回の夕食は鮨処「鼓」だった。では今回は鉄板焼「浜木綿」にしようと思ったら、全席禁

煙とあった。それじゃあダメだ。ホテルの鉄板焼で禁煙なのは、仙台のロイヤルパークホテル

以来だなぁ。3階の日本料理「花かがり」でしゃぶしゃぶを食べることにした。サービスにつ

いてくれた女性は、1週間前に他の店から異動して来たばかりで「毎日観光客みたいにキョロキ

ョロお台場を楽しんでいて嬉しいです!」と目を輝かせてお喋りしてくれた。「大志満」は、30

年前まで山中温泉で温泉旅館を営んでおり、今は日本料理に徹していて宿はやっていないのだ

とか。その流れがあるのだろう、飲んだ「純米竹葉」は能登の地酒だった。冷酒の瓶に飾られ

た花も自分で作ったという彼女のお蔭で楽しい夕食となった。精算している時小さな印刷物が

目に入った。都内に6店ある「大志満」の店長の紹介で6人の店長の顔写真があった。旅館出

身の店と関係があるのかどうかわからないが、温もりを感じる店だ。

     

     

夕食のあとは2階のメインバー「ルイロペス」へ。ゆったりしたスペースにソファセットや4

人掛けのテーブル、個室の作りのような別室があり、正面にケン・マリアンスキー氏(アメリ

カ人)の独特のイラストがドカンと存在感を与えている。その前に数客のカウンター席があっ

て、当然のように私はそこに座る。ホテルのバーは、とにかく居心地の良いカウンターがある

かどうかに尽きるのではないかと思っているので、ここは良い。若いバーテンダーさんとジン

談義やらホテルの仕事のあれこれなどをお喋りしながら、気持ち良く酔った。

     

     

      「ルイロペス」の看板   客室から見た夜景   上右端はケン・マリアンスキー氏のイラスト

   朝食は30階の「スターロード」へ。2泊した前回は、両日とも「花かがり」で和朝食を食べ

た。今回もそうしたかったのだが、店に行ってみると行列が出来ていた。USJが出来てからの

大阪のホテルは、毎朝和朝食を取るのは戦争のようだが、ここも同じらしい。仕方なく「スタ

ーロード」で洋朝食ブッフェ(2500円)を取ることにした。カラッと晴れ上がった五月晴れで

で、30階から見るレインボーブリッジの眺めは素晴らしい。

         

何ともゆったりした施設

 フィットネスクラブへ。アトリウムの3階にある。21階から3階まで下りて長い長い廊下を

歩く。ここに向かうこと自体が運動だと納得する。このホテルの建物のオーナーは日本生命な

のだそうで、お金持ちの会社らしく何事もゆったりと設計されている。こせこせしたところが

ない。この広々した長い廊下だって、施設や部屋を作ろうと思えばいくつも出来るのにと思う

のだが、それは貧乏人のアサハカナ考えらしい。建設途中で中断した時も「計画縮小」を検討

する中で、この大家さんだけは「予定通りにちゃんと」と鷹揚な態度を崩さなかったという。

前回の2日目の夜は、真ん前の日航ホテル東京で行われた結婚披露宴に行ったのだが、エント

ランスに入ると、もうそこは人が溢れていて、繁盛ぶりの一方で建物の狭さも実感する。人を

掻き分けて階段を降りてようやく会場のフロアーに着く程だった。披露宴が終って、グランパ

シフィックメリディアンに戻って来ると、ホテルの空気が2〜3度低いと感じるほどゆったり

とした作りなのだ。そうそう、フィットネスクラブに行く途中だった。本館からアナトリウム

に入る前には上條蓉芳氏の木彫が展示され、回廊ではこの時フランス・ロワール地方の城の写

真が展示されて、ちょっとしたギャラリーになっている。そこを抜けると巨大な吹き抜け天井

の中にあるアナトリウムチャペル「グランデュール」。私には一生縁が無いが、この階段を降り

てくる花嫁姿の自分を夢見る若い女性はたくさんいるのだろう。そんな開放的なメデタイ場所

をぐるりと廻ってようやくフィットネスクラブ「ル・クラブ」に到着した。

   

フ   フィットネスクラブ「ル・クラブ」には、マシーンルーム、スイミングプール、ロッカール

ーム、バスルーム、サロン、マッサージルーム等がある。夏場には4階の屋外にテラスプール

「グランブルー」もあるようだ。私はいつでもプールで歩いたり泳いだりするだけ。20メート

ル×3コースでこじんまりしたプールだが、一角にはジャグジー、ミストサウナなども完備して

いる。この施設が宿泊客なら1050円で利用できるのも嬉しい。何でもここの会員になるには、

個人の場合、入会金20万円、年会費15万円(月1万2500円)、施設利用料金500円という安

さで、それだけでも安い!と思ったのに、特別会員募集中とかで入会金は50%オフの10万円な

のだとか。但し、この特別募集がいつまでかはわからないので、「よし!会員になろう」と思っ

た人はホテルに問い合わせてね。営業時間は、7時半から21時まで(日、祝は19時まで)、火

曜日定休日で、会員特典はホテル宿泊料が15%割引になるとか。

    

    

ホ  ホテルには、他にギフトショップ、日比谷花壇、ホテルベーカリーなどショップも充実して

いる。こんなにゆったりとした太っ腹なホテルなのに、興醒めのこともあった。頂いた優待券

には「レインボーブリッジビューの部屋ではない、チェックインは午後4時、チェックアウト

は午前11時」なんて、グランパシフィックメリディアンに似合わないケチクサイことが書いて

あって、ちょっとガッカリした。部屋の向きはどっちでも良いが、チェックイン、アウトの時

間は一般客と同じで午後3時と12時で良いじゃないですか。また泊まりに来ますから。ね?

                                      おしまい

 

※データ:泊まった日:1999年1月/2002年5月  書いた日/2002年8月

     ホテルグランパシフィックメリディアン 

     〒135-8701 東京都港区台場2-6-1  電話03-5500-6711

     アクセス:「ゆりかもめ」新橋駅から13分 台場駅直結

「りんかい線」新木場駅から7分 東京テレポート駅徒歩8分

     正規料金:ツイン&ダブル スーペリア 1人2万6千円、2人3万1千円

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