夢子のホテル大好きシリーズ
仙台ロイヤルパークホテル
仙台郊外にお城のように建つ
仙台駅前から市営地下鉄に乗って終点泉中央駅に降りると、駅前には大きなバスターミナルが
あって、仙台市の巨大なベッドタウンの基点であることが窺われる。泉中央駅から30分おきに
ホテルのシャトルバスが出ていると予約時に聞いたのだが、乗り場がわからない。地下鉄の駅だ
し、電車を降りたらそこにバスが待っていると思った自分も軽率だが、こんな大きな駅では場所
を言ってくれなければわからないではないか。送迎バスといえば、スイミングスクールのバスが
何台も行き来している。各方面への路線バスが客を乗せ、帰って来たバスが客をはき出す。多く
の人口を抱えた町が近くにある駅の風景だ。しばらく探したが諦めてタクシーに乗る。乗ったタ
クシーの運転手さんにホテルのシャトルバスの乗り場を教えて貰ったが、とてもわかりずらい所
でここなら丁寧な説明が必要である。5日ぶりに晴れたという仙台の郊外を車は走っている。タ
クシーの運転手さんが説明している。昔この辺りは泉市であったが、市町村の合併で仙台市の泉
区となったとか。左手に小さなドーム。仙台市が作った全天候型のドームだが、大きさが中途半
端で野球も軟式野球をやるのがやっとらしい。左手遥か向こうには、巨大な観音様が見える。ホ
テルに隣接して作られた観音様で内部はエレベーターで昇っていけると言う。やがて泉パークタ
ウンに入る。広大な敷地に桂、高森、寺岡、紫山の地区に分かれる新興住宅地だ。三菱地所が理
想的な街づくりを進めている泉パークタウンに、そのホテルはある。右手にお城のような建物が
先程來見えていたが、それがずんずん近づいて、お城、いや仙台ロイヤルパークホテルに到着。
お城の衛兵風のドアマンがさっと車のドアを開けてくれるのかと思いきや、誰もいない。仕方
なく自分で荷物をしょってホテルの中へ。正面奥にはロビーラウンジ「フォンテーヌ」があり、
明るく豪華な雰囲気。ピンクの洋服とお揃いの帽子を被った女性ベルスタッフの出迎えを受ける。
座ってチェックイン。レセプションから右に進むとレストランやエレベータ-ホールに向かうが、
三菱地所の社風を反映しているのか、どこもゆったりしていて調度品の豪華さも落ち着いた趣だ。
5階の部屋に案内される。3段階あるタイプの1番安い部屋を予約したので、ダブルでも部屋の
広さは大きくはない。しかし、明るく隅々まで清潔感のある部屋。
正面玄関 ゆったりしたロビー 5階のエレベーターホール
窓から県立図書館が見える
予約時にお願いしたそば殻枕は用意されていた。しかし毛布2枚のベッドメーキングの依頼は
羽毛蒲団の下に毛布が1枚セットされていただけだったので、やり直しをお願いする。神戸のホ
テルでうっかり依頼を忘れて、一晩中羽毛蒲団に悩まされた。平成7年開業の6年目ということ
だが、最新設備がされていて面白い。電話による自動ウェイクアップコールをセットすると、指
定時間に電話が鳴ってBGVの映像がテレビに映し出される。テレビといえば、リモコンで操作
すると、その時までの「ビルチェック」、つまりそれまでの支払い額が出て来るのだ。親切のよ
うな興醒めのような・・・。クローゼットを開けると、いかにもロイヤルパーク風という並べ方
でハンガーが並ぶ。小型のセイフティボックスも備えられている。寝巻きは長いネグリジェ型。
マッサージは45分間で4500円である。ルームサービスもある。
部屋の飲み物が充実している。冷蔵庫の収容飲料は普通だが、ビール300円、ソフトドリン
ク、ミネラルウォーター類は全部150円の安さ。ミニバーの洋酒ミニチュアボトルの種類が多
い。いつも思うのだが、洋酒ミニチュアボトルを冷蔵庫に入れているホテルが多いのは何故だろ
う。ここはちゃんと常温で保管している。しかも1本450円。氷は用意されていない。ポット
のお湯はちゃんと湧いていた。お茶の充実ぶりは凄い。ほうじ茶、煎茶は普通として、他にカモ
ミール、ローズ、ペパーミントの3種のハーブティが揃っている。その上インスタントのコー
ヒー2種、紅茶。砂糖、ミルクも揃っている。使用済みティーバック入れのお皿があればカンペ
キなのにね、そこが残念。充実していて安いのは良いことだ。
明るいバスルーム。バスタブは大きめ。洗濯ロープ付き。洗面台も広い。アメニティグッズは、
シャンプー、コンディショナー、バスジェル、歯ブラシ各2、スキンローション、シャワーキャ
ップ、シェイバー、固形石鹸、液体石鹸、グラス2、ティッシュ、ドライヤー、灰皿、ハンドタ
オル、フェイスタオル、バスタオルは2枚づつあるが、意外と薄い。バスローブ、体重計は無
い。トレイはシャワートイレ。電話あり。嬉しいのは、カラダを洗うパフのようなものが備え付
けられていること。表側は糸瓜状になっていて、カラダを力強く洗える。裏には手を入れられる
ようになっている。ここのタオルは薄いけど、ホテルのタオルに石鹸を擦りつけてカラダを洗う
のはとても難しい。これに似たものがホテルグランパシフィックメリディアンにあったっけ。ホ
テル関係のみなさ〜ん、ここらへんのところ研究して下さいな〜。お願いしましたよ〜。
これいいね
可愛いプールでひと泳ぎ
ホテルの構造を下から説明すると、グランドフロアに「ヴァンセンヌ」と「源氏香」の2つの
レストランと宴会場、ロビーフロアに正面玄関やレセプション、ロビーラウンジ「フォンテーヌ」、
大宴会場、各種施設、3階から6階までが客室、最上階の7階に中国料理「桂花苑」とスカイラ
ウンジ「ティアラ」がある。そのロビーフロアに下りて、まっすぐ進むとトラベルエージェンシ
ー、デリカテッセン「ロイヤルデリカ」があって、美味しそうなパンやケーキが並んでいる。そ
の隣がスーベニアショップで、結婚の引き出物らしき品物もある。その先がプール&サウナ入り
口。感じの良い女性が受け付けをやっていて「ご使用料が千円かかりますが、よろしいでしょう
か?」と申し訳なさそうに言う。いいってことよ、千円だろ? とは言わなかったが、ほんとに
良心的な値段と姿勢だねぇ。こぢんまりとはしているが、リラクゼーションコーナーや化粧台、
風呂、ロッカールームもちゃんとある。ロッカーを開けてみると、バスタオルとバスローブがき
ちんと入れてあって益々感心。水着に着替えて階段を下りて行くと、可愛いプールがあった。縦
17メートルでコースロープは張っていない。水深も110センチ位だから歩くには良い。歩き
始めると、愛想の良いおじさんがやってきて、無駄のある派手な動きで泳ぎだす。「あれではす
ぐバテルわ」と思っていたら、やっぱり6往復した頃ゼイゼイと肩で息をして引き上げられた。
おじさんのいなくなったプールを独占して水中歩行から背泳に移る。あらら? 私1人しかいな
いのに、やけに横波が激しくて、鼻から水が入ってげぼげぼするわ。どうしてだろう、げぼげぼ。
もう10往復したから水泳止めようか、げぼげぼ。泳ぎ終わる頃何となくその理由を理解する。
狭くて浅いプールだから、波が増殖されてなかなか消えないらしいのだ。これなら3〜4人いて
も同じだったかもね。プール以外に日焼けコーナーやジャグジーもちゃ〜んとあるのよね。お風
呂に入って、千円で十二分に楽しませて頂きました。
美味しい食事は禁煙で
今晩はどこで食事をしようか。まぁ大体予想はつくのだが、一応考える。フレンチレストラン
の「ヴァンセンヌ」はどうかしら。新しいヨーク・リヒターさんという総料理長が来たそうよ。
中国料理「桂花苑」では香港フードフェア“桂秋”のコースが6千円で食べられるけど、2名様
からかぁ。日本料理「源氏香」の“紅葉月のおすすめ会席”も魅力的。私の好きなバーでの食事
をしにスカイラウンジ「ティアラ」に行く手もある。ルームサービスという手もあるしなぁ。そ
れともタクシー飛ばして仙台市内に行く? レストランのパンフレットを見ながら、ここまで一
応考えて「七つ森」に向かう。「七つ森」は鉄板焼。ハハハ。どうせそこに行くと思っていたん
でしょ?狂牛病騒ぎになって以来、美味しい牛肉が嫌われて店も牛もかわいそうだしさ。
「七つ森」では10月のスペシャルで“特選米沢牛ステーキコース”をやっていたので、それ
にする。1万円のコース。案の定お客は少ない。生ビールをごくごくと飲んで、灰皿が無いこと
に気がつく。物腰の丁寧なお姉さんにもしやと思い聞いてみると「はい、私どもホテルのレスト
ランは、すべて禁煙とさせて頂いております。どうしてもお吸いになりたい時は店の前に喫煙コ
ーナーをご用意しておりますので、そちらでお願いします」って。ぎょえっ!ここはアメリカじ
ゃないんだぞ。東京だって全面禁煙のレストランなんてごく少数なのに、仙台の郊外でやってい
るんですかぁ? あぁ我慢するしかない。聞けばほぼ1年前に禁煙に踏み切ったのだとか。そ
んなことで踏み切らんでも良いのにさぁ。呆然としているうちに、早くもコースのお料理が出て
来てしまった。付き出しはごま豆腐。次ぎにカンパチの秋茄子包みライム風味。凝ったお料理だ。
この店の調理長が全部のメニューを考えるのだそう。焼いたカンパチを薄く切って焼いた秋茄子
で包んだ上にキャビアを乗せ、野菜とスモークサーモンを添える。たくさんの食材が相俟って複
雑な味を楽しめる。次ぎは金目鯛のポワレ 蛤と葱の香りのソース。ここでチェックインの時貰
ったウェルカムカクテルを頼むと、緑色の甘い飲み物だった。ステーキに入る前に煙草休憩を取
らせて貰った。でも店先で煙草吸っている姿ってしょぼいんですよね。
そして今日のメインディッシュ、特選米沢牛ステーキ150グラム。赤ワインを頼む。ここ
宮城県は仙台牛があるが、牛タンの方が有名。隣の山形には米沢牛と前沢牛という2大ブラン
ド肉があるのだ。ミディアムレアに焼いて貰ったステーキは、余計な味付けをせずにお醤油だけ
つけて食べると肉の旨さが引き立つようだ。たっぷり鰹節を乗せた和風大根サラダともやしの炒
めものを食べてからガーリックライス、味噌椀、漬物でお料理はおしまい。満足感の高いコース
だったが、もう禁煙に耐えられず、デザートもお茶もキャンセルして7階を目指す。
「七つ森」では、スカイラウンジ「ティアラ」でも禁煙だと言っていたが、そんな筈はないだ
ろう。バーで禁煙はないよね。でも万一の場合に備えて店内に入る前に1本吸ってと。いつも
のようにカウンターに座って、仙台郊外の夜景を楽しむ。私用のキャンドルにも火が入った。カ
ウンターには灰皿。ふふふ。紫煙をぷわ〜っとくゆらしてのジントニックはうまいなぁ。3杯も
飲んでしまって、ぷわ〜。バーテンダーの方とおしゃべりをしてドライマテーニも飲む。ぷわ〜。
ついでにマルガリータもね、ぷわ〜。最後にギネスビールだぁ、ぷわ〜。マルガリータとギネス
はお隣のお客さんがご馳走してくれたので、「ティアラ」の勘定は税込みで3349円だったのだ、
ぷわ〜。
朝食を取れるのは、GFの「ヴァンセンヌ」だけ。午前7時から。レストランはホテル自慢の
庭園に面していて、天気の良い青空と芝生の緑が美しい。和洋食のヴッフェは2千円、アメリ
カン・ブレックファーストで1700円。アメリカンにした。トーストはよ〜く焼くように頼む。
グレープフルーツジュースを飲む。小さいがサラダが来て嬉しい。オムレツには頼んだ筈のソー
セージではなく、ハムがついてきてしまったが、濃厚なマッシュポテトがひそんでいて嬉しい。
オムレツの出来も良い。食後、庭に出て思い切り緑と新鮮な空気を味わう。緑の芝生の上は歩い
てはいけないらしいが、この庭園の奥からホテルを撮影した写真を見て、私はこのホテルに泊ま
りたいと思ったのだ。「仙台のお城みたいなホテルに泊まりたい」と。ビジネス客が多かったが、
ここならリゾートホテル感覚でも泊れるね。ダブルのシングルユースでも部屋のチャージは1
万3千円だったし。また、ゆっくり来ようかなぁ。
おしまい
泊まった日/2001年10月
仙台ロイヤルパークホテル:〒981-3204 仙台市泉区寺岡6-2-1
電話:022-377-1111 FAX:022-377-2221