パクパク日記3年1月3週
江戸幕府も、歌舞伎も始まって今年が400年ですって
1月13日(月) 晴れ
朝 家食 三平粕汁餅入り雑炊、トマト
三平粕汁の最後は、ご飯を入れて雑炊にし、焼いた餅も入れる。これがうまいんだね。早めに
出発して江戸東京博物館の「大江戸八百八町展」に行く。1603年に江戸幕府が開かれてから、
今年が400年に当り、博物館も十周年なのだそうだ。祝日で場内は大混雑。圧巻は、広重の「名
所江戸百景」の復刻展示である。大胆な構図と繊細な色使い。いいなぁ。百景の中に自宅近く
の作品を見つけて嬉しくなった。原寸大の全作品を買うと100万円を超えるって。モチ断念。
昼 国技館の食堂 チャーシューメン 850円
初場所2日目。頂いた席は「溜席」である。砂被りから数えて5列目。さすがにここまで力士
が飛んで来る可能性は極めて低いが、飲食、喫煙厳禁であり、テレビに映る可能性もあるから、
行儀良く緊張して座る。昨年の9月場所にも来たが、珍しく貴乃花が出場した。そして今日も。
貴乃花は私を意識しているのか? ハハハ、そんな訳ないよね。しかし「疑惑の同体」で2番
も続けて見ちゃったの。ラッキー! 溜席は食べられないから食堂に行く。たいしたメニュー
は無い。850円のチャーシューメンは量が少なく、お相撲さんだったら10杯は食べるかも。
夜−1 両国「照国」 付き出し・帆立貝とワカメ、海鮮サラダ、鯵の味噌タタキ、地鶏の串
焼き、鯛のお頭煮、ちゃんこ鍋、仕上げラーメン、漬物、生ビール、冷酒
取り直しの貴乃花の上手投げが見事に決まり、客は上機嫌で国技館を後にする。「照国」を予約
しておいた。同行者は相撲好きで詳しい。思いっきり古い力士の名前を出し合う。
夜―2 早稲田・リーガロイヤルホテル東京「セラーバー」 ギネスビール、ジントニック、
枝つき干しぶどう
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1月14日(火) 晴れ
昼 銀座「味の一」 ランチセット3(ラーメン、半炒飯、半餃子、焼売1個、キャベツと人
参のサラダ、ザーサイ) 750円
もやしそばを食べに「味の一」に行く。ランチセットなんてのを始めたらしく、つい3を頼ん
でしまった。ラーメンと半炒飯と半餃子ならいいか、と。ところが焼売1個、キャベツと人参
のサラダ、ザーサイまで並べられて焦る。こんなハズでは無かったのに。味はいま一であった。
午後のおやつ カシスムース、コーヒー
Mちゃんがケーキを持って訪ねて来た。オモタセのケーキを一緒に食べながら、しばらく猫の
話などしていたが、訪問の趣旨を聞くと退職の挨拶だった。付き合いの長い女性の退職が続く。
夜 銀座「そじ坊」 付き出し(蛸わさ)、だし巻き卵、そばサラダ、豆腐サラダ、おそば屋さ
んのコロッケ、鴨つみれ鍋、仕上げ蕎麦、ビール、ウーロン茶
夜9時半まで会議。あぁ腹が減った。だし巻き卵を2つ頼んだのに、1つしか持って来ない。「す
みません。1つで売り切れなんです」「卵が無いの?」「いえ、卵はあるんですけど」。どういう
こっちゃ!セントラルキッチンなのかなぁ。鴨つみれ鍋の仕上げに温かい蕎麦。わりとイケタ。
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1月15日(水) 晴れ 風強く寒い!
昼 新宿「老辺餃子館」 Aランチ(本日の料理・回鍋肉、スープ、マッシュルームと海老の
蒸し餃子、冷奴、漬物3種、ご飯、杏仁豆腐)980円+干し貝柱の蒸し餃子 100円
清の皇帝が絶賛したという170年続く餃子の店。その餃子は本店と、この新宿の店でしか食べ
られないと自慢ゲな張り紙が貼ってある。門外不出ってわけね。確かに餃子の皮はモチッとし
ているし具もジューシーだが、他の料理(回鍋肉とスープ)がイケナイ。杏仁豆腐が一番良い。
夜 恵比寿「由来屋」 お通し(キャベツ、山芋と海藻)、海鮮の盛り込み(帆立、サザエ、ハ
マグリ、海老)、ハタハタ岩塩焼、イカのごろ焼、サツマイモ、男爵バターホイル焼、特製
レバー、盛り合わせ(カルビ、タン、ミノ)、生ビール、冷酒(くどき上手)
元部下の3人から昨年の12月初旬誘いが来た。夜の予定が一杯なので新年会となる。かつて若
者だった彼らも、もう押しも押されもしないおっちゃんだ。会社はいくつか代わっているが、
皆元気そうだ。初めて来たこの店は、味はまずまずだが、応対には大いに不満の残る店だった。
夜―2 「松下」 ジントニック、殻付き空豆、乾きもの
照明の暗い店。蕎麦屋の「松玄」など「松」がつく店を展開している会社の1店らしい。
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1月16日(木) 晴れ
昼 銀座「味彩」 広東麺 700円−ランチサーヒス50円=650円
あらららぁ。もう4日も続けて、ランチは中華だわ。考えてみれば、今夜も中華だったか・・。
夜―1 新橋「趙楊」 お任せコース(四川攅盆・チャーシュー、腸詰め、干し豆腐、ピータ
ン、おめでたい海藻)、則天贉子肉(タンズーロー)、車海老の海老味噌煮、陳麻婆豆腐、
ご飯、四川火鍋(牛、豚、羊、鶏、アヒルの血、センマイ、野菜、茸、豆腐、春雨、ラー
メン)、白キクラゲ入り杏仁豆腐、生ビール、紹興酒 ボトル4本
「麻の会」新年会。開催史上(って言っても未だ6回だけど)最高の麻マーであった。四川攅
盆の後に出て来たのが贉子肉。唐の高宗皇后で後に女帝となった則天武后の大好物だったとい
う料理。皮付きの豚バラ肉のブロックと獅子頭という巨大な挽肉ボールをフカヒレ、アヒルの
水掻き、朝鮮人参、干し貝柱、八角、様々な唐辛子など十数種類の材料を入れてコトコトに込
むこと9時間。皮付きの豚バラブロックが、箸でハラリと崩れる位に柔らかくなる。そのスー
プの味の深さと広がりは小宇宙を感じさせる程だ。常連の団体の予約が入っていたので、こん
な手の込んだものも食べられて幸せである。趙楊さんに会の趣旨「辣ラーと麻マーを味わう会」
と伝えたら、陳麻婆豆腐は、辣と麻の塊のような一皿となる。火鍋は2人前頼んだが、余りに
量が多く最後に投入したラーメンは持て余す。4人で紹興酒のボトルを4本も飲んでしまった。
夜―2 銀座「武蔵」 ドライマティーニ、ジンフィズ
久々に舌が痺れたまま、満腹で「武蔵」に行く。魅力的なメニューがあるが、見る気にならず。
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1月17日(金) 晴れ 阪神・淡路大震災から8年
第1食 12時半 歌舞伎座「歌舞伎そば」 なめこ蕎麦 900円 (小鯛焼 2ヶ)
1月の歌舞伎座「初春大歌舞伎」は大人気。チケットの電話は永遠に通じないかと思う程混んで
いて、やっとかかったのは4日目だった。昼は2階の後ろの方で花道が見えない。江戸幕府と
同じく、歌舞伎の祖と言われる出雲の阿国が京都四条河原でかぶき踊り興行を始めたのが1603
年ということで歌舞伎も400年になる。演目は「出雲の阿国」、「矢の根」、「京鹿子娘道成寺」、
「弁天娘女男白波」。「矢の根」は歌舞伎十八番の内で坂東三津五郎が曽我五郎を演じた。馬の
前足役の演技が受けた。「京鹿子娘道成寺」は玉三郎。ほんとに溜め息が出る美しい舞踊だ。
第2食 4時 歌舞伎座「暫」 ケーキセット(チョコレートケーキ、コーヒー) 500円、ミニ
サンドイッチ 250円−タイムサービス50円=200円
「助六由縁江戸桜」の揚巻と助六。江戸東京博物館の歌舞伎人形です
なめこ蕎麦は5口で食べ切る程量が少なかったので、すぐ腹が空く。昼の部から夜の部にかけ
て場内にい続ける場合は「桧」でお茶など飲んで過すのだが、今日は一旦出て「暫」で軽食。
夜の部は、2階の2列目。「菅原伝授手習鑑 寺子屋」、「保名」、歌舞伎十八番の内「助六由縁
江戸桜」。とにかく華やかな舞台で助六の團十郎も決まった。河東節の演奏も良かった。猿之助
の弟の市川段四郎が病気で休演することが何度かあって心配していたが、元気そうで良かった。
第3食 10時 家食 鳥取「米吾」昆布巻鱒寿し(背身)、佐賀関のくろめの味付け、諏訪「えびす屋」
ワカサギ空揚げ、メンマ、ツナコーンサラダ、ワカメスープ、鹿児島のポンカン
飲まずに帰宅し家食。「米吾」の棒寿司は何度か買っているが、鱒はすぐに売り切れてしまう。
今日は運良く買えた。2500円もする。高い!しかしうまい。1日歌舞伎見物も疲れる。無酒日
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1月18日(土) 晴れ
朝 家食 鳥取「米吾」昆布巻鱒寿し(腹身)、「明星」チャルメラ醤油味
おやつ 上野「桃林堂」 小鯛焼
桃林堂の本店は大阪らしい。グルマンTさんから一昨日頂いた。ついでに言えば昨日歌舞伎座
のおやつにも持って行き、蕎麦の少なさを補った。フツーの鯛焼より随分小ぶりな上品な和菓
子。
オーブントースターでしばらく焼くと皮がパリッとして更に美味しい。餡はコシ餡である。
夜―1 新宿「イーグル」 初春のオードブル、イタリアンサラダ、霜降りビーフ、チーズ、
ミックスピッツァ、ドラフトビール、ジンフィズ、ジントニック
午後3時から「新国立劇場」オペラ鑑賞。終演後、大学時代からのつきあいのF子さんと新宿
の「イーグル」へ。サントリーラウンジで、他に「アポロ」、「アロー」などの系列店がある。
昨年夏に久々に行った時は、撮影もどうぞ、と言われた記憶があるのだが、「なるべくならご遠
慮頂きたい」と言われてしまった。慌てて撮影したので、どれもデキが悪い。シャックリの止
まらないF子さんが勧められて最後に飲んだのはフレッシュのザクロとウォッカのカクテル。
こんな時期にフレッシュなザクロ? 輸入ものですって。それはそうだよね。
夜―2 早稲田リーガロイヤルホテル東京「セラーバー」 せんべい、ギネスビール、スーズ
トニック、ジントニック
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1月19日(日) 曇り後雨
朝 家食 「サイボクハム」のフランクフルト、千切りキャベツ、茹で卵、「浅野屋」のパン、
クエン酸、鹿児島のポンカン
昨夜「早起き、洗濯、大掃除、ヘルスクラブ、旅日記作成」とエネルギッシュな日曜日にしよ
う、と寝る前には思っていた。今朝起きて曇天の空を見ると、何もする気が無くなって叉寝て
しまった。就寝前と起床後のヤル気の落差は今日に限らないが、天気が悪いと一層大きくなる。
洗濯と小掃除位はやろうか。「サイボクハム」は埼玉にある会社の製品だが、ドイツの権威ある
食品競技会で何年も数十個も金メダルを受賞しているらしい。確かにピュアな感じでうまい。
おやつ 上野「桃林堂」小鯛焼、「村上開新堂」のクッキー、和歌山「谷井農園」極熟みかん千
草28
ダラダラと小掃除やっています。今日も貴乃花の負け方は見ておれんなぁ。とテレビ見ながら。
夜 家食 フランクフルトとモヤシの豆板醤炒め、うずみ豆腐もどき、蒟蒻メンマラーメン醤
油味、和歌山「谷井農園」極熟みかん
結局プールには行かなかった。減らすつもりだった脂肪を考慮し「1食当たり53キロカロリー」
のコンニャクラーメンを食べる。うまくは無いが、コシのある麺と思うことにしよう。無酒日
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【今週の振り返り】
土曜日新国立劇場にオペラ「光」の初演を見に行った。初演。オペラ創作委嘱作品第3弾「光」
のお披露目であった。オペラに限らず、どんな作品にも初演はある。今やクラシックの名作品
として人気のある作品が、18世紀当りのお披露目公演でサンザンの酷評を受けた、なんて話も
珍しくはない。その時聴いた人々は、こんな素晴らしい曲をなぜ理解出来なかったのだろうか、
感動しなかったのだろうかと不思議に思ったことも度々ある。理由を考えてみると、確かにそ
れまでの古典派と言われる作曲家の作風とは違っていたからか、とか音楽的進歩を認めたくな
かったのか、あるいは単にセンスの無い観客だったんじゃないの?と乱暴に考えてみたりする。
そんな風に思っていたから、いざ自分がオペラ初演を鑑賞する立場になって緊張した。
「光」は、新国立劇場から委嘱を受けた一柳 慧氏が、日野敬三氏の「インターゾーン」(後に
「光」と改題された)という作品に引かれオペラ化した。ところが、その日野氏に加え、台本
を担当された英文学者の高橋康也氏までが昨年相次いで亡くなってしまった。
逆行性記憶喪失症で治療中の宇宙飛行士が主人公。月に行った彼が、記憶を失った理由は何だ
ったのか。中国人看護婦や監督官庁の役人、アルツハイマーの老女、ホームレスなどが、彼の
記憶を取り戻す過程で直接、間接に寄与していく。シンプルなしかし大いに効果的な装置で繰
り広げられる作品は4幕の大作だが、記憶喪失の謎を求めて観客もつい引き込まれる。しかし、
引き込まれるのは謎解きであって、「何もこれをオペラにすることはなかったんじゃないの?」
という思いがずっと頭を占めていた。難しい台詞に音をつけなくても良いのでは?と。覚えて
いるメロディーが一つも無い。劇場を出てつい口ずさむ曲が無いのは寂しい。私もやっぱり、
昔の人と同じ「芸術の進歩がわからない」ショーモナイ観客の1人だったようだ。
進歩ってのはニャア、異端から始まるンニャ