パクパク日記17年6月2週

         関東は梅雨入りしたが雨はちっとも降らない。日曜から熱海へ

 

   夢乃宝石箱」 熱海伊豆山

 

6月 5日(月)晴れ 夕刻から激しい雷雨!

朝 家食 低糖食パントースト、「やくみや」ポテサラ、チーズ、オニオンスープ、ヨーグルト

 

   2度目のPRP−FDを注入した

昼 数寄屋橋・東急プラザ「こなな」こななランチ(博多明太子としらす・あおさとろろご飯、山葵

  トロロ豆腐、ほうじ茶980

 

  

 

午前中銀座の膝の病院。先ずは若いトレーナーにリハビリして貰ってから2度目となるPRP−FD

の注射。麻酔を打ってから注入するのだが、麻酔からして痛いんじゃ!PRP−FDとは何ぞやを説

明するのは難しいが、傷の治癒に作用する血小板を濃縮したPRPを更に高濃度に構成したものなん

だそうで、細胞分裂を促す成長要因を豊富に含んでいるとのことじゃ。血小板は私の血液から採った

ものなので拒絶反応は無しってこと。さて、効いてくれるかどうか。是非効いてくれ〜!ランチは女

子供が好きそうな(って私が言うか)「こなな」で。小鳥の餌みたいな料理ですぐお腹空いてしまうぞ。

夜 家食 「えん」のおかず:鶏と鯵フライ、鶏ときゅうり、「やくみや」ポテサラ、納豆、ご飯、

冬瓜と豆腐の味噌汁

 

  

 

夕刻K村税理士先生来社。そろそろ打ち合わせが終わろうかという頃、ピカっと光ったと思ったら、

ドッカーンゴロゴロゴロ・・・!まただぁ。2ヵ月前K村税理士が打ち合わせにいらした時と全く同

じことになったので笑ってしまう。23階から東京の半分の空が見える。ほら、あっちで激しい雨が

降っている!キャッ、今の稲妻見た?ってな感じで窓を全開して2人で雷雨見物したのだった。一向

に雨は止まないが、雷は遠のいたようなので傘を差し上げてK村先生は帰路につかれた。彼は自ら自

負する「雨男」だそうだ。さてと。ご飯作りだ。今日膝の手術を昼にやったのでアルコールは禁止だ。

それを見越して家食買い物はしてある。いつものように味噌汁を作っただけで、あとは温めたりお皿

に料理を移したりするだけ。味噌汁の具は冬瓜。この時期だけの冬瓜が何とも美味しいなぁ。無酒日

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6月 6日(火)曇ったり晴れたり 今日は涼しい

朝 家食 冬瓜と豆腐の卵味噌雑炊、「えん」の蛸・トマト・セロリ梅、ヨーグルト

 

 セロリシャキシャキで旨い!

 

昼 四谷三丁目「東京風月堂」野菜ごろごろチキンカレー(ご飯半分)、サラダ、ドリンク付き 1188円、

 

 

9時半、東京ガスの点検が来た。十数年前の美邸も今や見る影も無いのだが、初めて来た検査員氏が

「はぁ〜、ベランダこんなに広いっすか」とか「リビング雑誌の写真みたいっすね」って。嫌味か!

恥ずかしいから止めておくれよ。「東京風月堂」でカレーランチを済ませた後、「特に何も買うものは

無いけど、一応」と交差点近くのドラッグストアに入った。30分後2万数千円分の荷物を重そうに

持って出て来たのは私だった。こういう店って、コマメに商品を見ていくとどれも必要に思われるの

だ。来週から行く旅行に必要だから、とか京都のマンションで使うのに良いかも、とか何とかね(笑)。

 四谷三丁目「鮨処のがみ」お通し:白バイ貝、白イカ(福岡)980円、初鰹(勝浦)1290円、時

しらずルイべ1290円、殻から剥きたて蝦蛄(小柴)1080円、サゴチ切身塩焼き(船橋)1290円、

焼き立て卵焼き、握り:穴子と生ウニ、生ビール2杯、麦焼酎 @1200

 

  

 

いつぞや「私のヤル気スイッチは巧妙に隠れていて本人もどこにあるのかわからない」と書いたこと

があるが、今日の午後よろめいた拍子にどこかをぶつけて突如ヤル気スイッチがONになってしまっ

た。もう午後3時過ぎなのにタオルケットなどの洗濯を始め、10年間イメージだけを膨らませていた

古着の始末に取り掛かったのだ。冷房かけて寝室を思いっきり冷やし、70`用ゴミ袋とマスクと軍手、

それに掃除機2台を準備・・・・ぽたぽた(💦が落ちる音)・・・・決してもう着ない古着をどんどん

70`用ゴミ袋に投げ込んで、空いた場所を掃除し・・・ぽたぽた(💦が落ちる音)・・・・。ゴミ袋

7つ作ったところで突然ヤル気スイッチがOFF。誰が押したんだろ。重い袋を隣の部屋まで運んだ

ら、余りの重さに膝がガクガクになった。この袋は台車で後日ゴミ置き場まで運ぶしかないな。膝が

痛むが夕食は久々「鮨処のがみ」。時しらずのルイべ食べながら釧路の和商市場を懐かしく思い出す。

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6月 7日(水) 曇り  関東地方も今日一応梅雨入り

朝 家食 じゃこ天と納豆と卵入り糖質ゼロ麺、サラダ

 

  

昼 家食 ニッシンのカップヌードルナイス(醤油味)

 

   カップヌードルナイスはナイス!

 

昨日の「突然のバカ働き」が今朝になって膝にドカンと来て、歩くのがやっと。やっぱり慣れないこ

とはするものではないな。肉体労働には向いていないんだ、私。頭脳よ、頭脳・・・でも無いか・・。

でも膝が痛過ぎるのは困ったことだ。そんなことで夕方まで外出しないことにした。昼は買い置きの

カップ麺。味はこってりしているのに脂質50%減、糖質40%減というナイスな「カップヌードルナ

イス」が売り出されたと聞いて早速買いに走った(あくまでもイメージです)。2種類あったのでど

っちも買った。昼に食べてみた。うま〜い!普通のカップヌードルより麺が細くスープも旨い。CМ

でも言っているように、これなら罪悪感無しで食べられちゃうよ。まさに「ナイス!」な麺ではある。

夜 虎ノ門「と村」3人で)白鱚塩水昆布漬け、(青森)天然鰻の飯蒸し、(千葉)蒸しアワビと肝

と塩漬け肝、渡り蟹、アワビ肝の塩辛、麩の胡麻摺り焼き、茄子味噌と生ウニ、カラスミ餅、

車海老、(佐島)のアオリイカ、(アンコールで!)鰻丼、漬物、自家製わらび餅)、ビール、麦

焼酎 (ご馳走になりました!)

 

  

 

負荷性膝痛(今私が考えた・笑)のため夕刻まで家の中を「イタタ!イタタ!」とウロウロしただけ

で一度も外に出なかった。しかし夕刻から着替えて虎ノ門に向かう。何年ぶりかはハッキリしないが、

久しぶりにF津夫妻との食事会である。膝がこうなのでワガママを言って個室からカウンター席に変

更して頂いた。赤坂にお店があった頃は時々お邪魔していたが、虎ノ門移転後は今夜で2回目。「と

村」のご主人と「どうもご無沙汰致しまして」。今夜は美味しいもの攻めだったが、中でもすっかり

心を奪われてしまったのは青森の天然鰻。これまで天然鰻と言えば、琵琶湖とか宍道湖で捕えた貴重

なモノで旨いが硬い!というのがいつものイメージだった。ところが。蒸してさえいないという青森

の天然鰻はやわらかくて脂もすっきりしていて香ばしくて・・・旨いの何の!涙モノだった。これで

も時期的にちょっと早くて、一番脂が乗るのは10月頃だそうだ。いやはや驚いたね。F津夫妻とは

昔同じ職場で働いた。あの頃の話と今の話とちょっと先の話を織り交ぜながら。楽しく美味しい夜!

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6月 8日(木)小雨午後から晴れ 梅雨入りしたハズなのに・・

朝 家食 スンドウブチゲ、野菜サラダ、「夢乃宝石箱」、ヨーグルト

 

 

昼 歌舞伎座客席にて お弁当、お茶

 

 

昨夜F津夫妻から頂いたのは大好きな「夢乃宝石箱」。偶然だが、あの頃の上司I親ビンの弟さんが

作られている素晴らしいお菓子なのだ。「6月歌舞伎座昼の部に行く。昨今では珍しく最初から最後

までちゃんと観た。初幕は新歌舞伎の「名月八幡祭」。以前松緑が演じた縮屋新助を吉右衛門が演じ

たことがあって、その純朴うぶな男ならではの悲劇がまざまざと展開されて涙を抑えられなかった。

今日の松緑は熱演だが素朴な田舎の人に見えないところがちょっとなぁ。笑也の芸者美代吉も福助

のようなずぶさが見えないのが物足りない。美代吉の色である船頭三次は猿之助が演じるのだが、

こっちは逆に悪が前面に出過ぎか。私の周囲の席は猿之助後援会会員って感じの人ばかりで「四代

目!」「オモダカヤ!」としょっちゅう声掛けするから、あ〜ぁって感じ。中幕はその澤瀉十種の内

「浮世風呂」。三助政吉を猿之助、なめくじを種之助の2人が踊って楽しい舞台だった。最後は時代

物の「御所桜堀川夜討 弁慶上使」。武蔵坊弁慶に吉右衛門、おわさは雀右衛門、侍従太郎は又五郎、

花の井に高麗蔵、卿の君と腰元しのぶの二役を米吉。弁慶の泣き所はもう一つあった・・・って話。

葵太夫の浄瑠璃につける鶴澤宏太郎の三味線が絶妙であった。杵屋栄津三郎と宏太郎の三味線が好き。

夜 家食 RF1のロールキャベツ、三色パプリカサラダ、海の幸いっぱい野菜サラダ、オニオンス

ープ、低糖パン

 

  

  

今夜は家食×粗食×無酒日とすると決めている。歌舞伎の昼の部が終わったら、三越銀座店の地下

食料品売り場に直行する。今夜と明日の朝食べるおかずやサラダなどを買い込む。「RF1」でいろ

いろ買うとビックリする程高くなるが、なーに外で飲むことを考えれば安いもんよ。センベロ酒場

なら別だが、そんなとこは紫煙で窒息しちまうから私は行かん。帰宅してパクパク作成も。無酒日

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6月 9日(金)晴れ 暑い!

朝 家食 RF1のローストビーフと海藻サラダ、三色パプリカサラダ、低糖パントースト、サー

モンと野菜のホワイトスープ

 

  

 

昼 荒木町「アンシャンテ」ハンバーグランチ(野菜スープ、いろいろ根菜、ハンバーグ、ライス、

抹茶プリン、コーヒー)1000

 

  

 このランチ1000円ってどうよ!

 

今日のランチは久々に「アンシャンテ」に行った。四谷三丁目とは逆方向の住宅街にあるのでわかり

ずらい場所だが、昔から大好きな店だ。ランチセットメニューはリブステーキ、ハンバーグ、ハヤシ

ライス、パスタなど7種類あり、どれもスープ、根野菜、メイン、自家製パンかライス、デザート、

お茶が付いて1000円ぽっきりという良心値段。ご主人が料理を、デザート作りとホールを担当する

奥様というご夫婦の店だ。ここのハンバーグは私にとって「日本一のハンバーグ!」。あまりにもハ

ンバーグが好きで、他のメニューにも惹かれながら滅多に食べたことが無い。旨さを再認識したぞ。

おやつ 「夢乃宝石箱」、新茶

遅い夜 銀座「麹也」お通し:板わさ、冷奴500円、鰯の梅煮500円、鮎の干物850円、実山椒入り

  つくね600円、豆腐味噌漬け500円、手打ち十割蕎麦900円、ビール、麦焼酎2、5合

 

  

 あら、もう夜中だわ

 

昨日に続き、歌舞伎座夜の部に行った。最初の演目「鎌倉三代記」は幸四郎が佐々木高綱なので失礼

して、2つ目の「曽我綉侠御所染 御所五郎蔵」から観た。御所五郎蔵に仁左衛門、傾城皐月に雀右

衛門、星影土右衛門に左團次、甲屋与五郎に歌六、傾城逢州に米吉。仮花道を作っての2本花道から

御所五郎蔵一派と星影土右衛門一派が同時に出て来るところは壮観である。雀右衛門に花が足りない

分、若い米吉の逢州がカバーしたか。仁左衛門も73歳。年を取ったがそれでもホント恰好いいよなぁ。

よっ!松嶋屋!最後は「一本刀土俵入」。駒形茂兵衛は幸四郎だがこうゆう役なら観てもいい。お蔦

に猿之助、辰三郎に松緑、波一里儀十に歌六、堀下根吉は松也。カッコ付けた堀下根吉の松也が引っ

込みの時滑ってスッ転んだ。舞台ではいろんなことが起こるよね。お蔦と辰三郎の娘は市川右近だっ

た。舞台がはねたのは920分。歌舞伎座裏手にある「麹也」までヨロヨロ歩いて行ったら945

分になってしまった。鮎の干物に頭からかぶり付いたら「バリッ」と良い音がした。蕎麦をズルっと。

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6月 10日(土)晴れ 暑いぞ!降らんぞ!

朝 家食 野菜サラダ、糖質ゼロ麺を使ったじゃこ天納豆卵うどん、ヨーグルト

 

   暑いのに朝からうどん

 

昼 家食 ニッシンのカップヌードルナイス(クリームシーフード)、「夢乃宝石箱」

 

   これより醤油味の方が・・

 

今週の水曜日67日、関東地方の梅雨入り宣言があった。しかし、宣言があった当日も含めて、

一向に雨は降らない。梅雨前線は確かに張り出して来てはいるが、遥か南の海に横たわっていて

暫くは降らないんじゃないの、とド素人の私なんかが予報を口にしたりしてね。降らない代わり

に暑い。外出するにも抵抗がある。じゃ昼も家で食べよう。ナイスのクリームシーフード味だよ。

夜 荒木町「遊猿」(3人で)ウニ湯葉980円、前菜5種:蒸し鶏香味ソース780円・カシュー

ナッツと豚肩ロース黒酢和え880円・スミイカ葱和え780円・シマ海老老酒漬け・磯つぶ貝

・イサキ山椒ソース、フカヒレと干し貝柱の春巻800円、金目鯛の紹興酒蒸し干し貝柱と金

時草の餡かけ1980円、麻婆豆腐@1200円、白飯、毛沢東のスペアリブ、麻婆豆腐A1200円、

生ビール2杯、麦焼酎ダブルロック3杯

  3人で25390

 

  

 

午後4時半、K岩とオジョーがマンションにやって来た。1階ロビーの応接セットを借りて3人でし

ばし談笑。今夜は最近のお気に入り「遊猿」で夕食を一緒にすることにしているが、「皆さん、美味

しく食べるために運動してお腹を空かせませんか」。先日、突然のヤル気スィッチ作動で出来てしま

った古着のゴミ袋70kl8つ(その後1つ増えた)を23階から1階のゴミ置き場まで運んで貰うこ

とに。台車で3往復だろうかと思っていたら、何と1回で6袋を運び、台車を片付けて引きづって

2袋!やっぱり若い(私との相対的問題で)って凄いね。ありがとうございました!助かりました!

「遊猿」には4月1日に行ったのが初めてだが、今日で既に3回目となる。山小屋風のインテリア

にジャズが流れる。「シャンウェイ」出身の店長が仕切る鉄板焼による四川料理屋だ。初めての2

には好評。前回A先生夫妻と来て歯痛で食べられなかった毛沢東のスペアリブ。とにかくドデカい!

それにカブリ付く。辛さもジンジン伝わって来て旨いねぇ。つい夢中で食べてしまった。この日は

毛沢東料理を挟んで前半も後半も麻婆豆腐。それ程辛く無いがご飯に良く合う。ランチもあるでよ。

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6月 11日(日)東京も熱海も晴れ

朝 家食 野菜サラダ、低糖食パンのチーズトースト、トマトスープ、ヨーグルト、「夢乃宝石箱」

 

 「夢乃宝石箱」も今朝でサヨナラ

昼 無し!

 

木曜日から楽しんで来た「夢乃宝石箱」が今朝で無くなった。さつま芋の原種・蜜芋と200gの和栗

が殆どのマロンケーキ「夢乃宝石箱」には白砂糖やベーキングパウダー、ショートニングなど一切

使っていない。甘いモノが苦手な私にとってもこれは「ご馳走スィーツ」なのだ。昼食は抜いて荷

造りし、東京駅に向かう。大丸でカードの切り替えをする。熱海までの指定席(自由席は遠いので)

を買ってこだまに乗り込む。乗り心地が良くて「えぇ!もう降りるのぉ」。もっと乗っていたいよ。

東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山の部屋は半露天風呂が付いたヴィアラ館東館の洋室だった。ベ

ランダの向こうは海。少し先には初島が見える。行ったこと無いけどね。夕食までだら〜っとする。

夜 熱海・東急ハーヴェストクラブ熱海伊豆山「㐂らく」懐コース9180円(箸附け:稚鮎の唐揚

げ南蛮ソース・長芋のお焼き・穴子蕎麦寿司・合鴨塩蒸し青梅たれ・無花果の甘海老白酢・海

老ひねり揚げ・玉子寿司、グリーンアスパラガスの摺り流し椀、お造り盛り合わせ、鮪のスペ

アリブ・大山鶏の新茶焼き、魚介と蓮根餅の葛煮、新牛蒡と鶏そぼろの炊き込みご飯、赤出汁、

香の物、さくらんぼと桃のゼリー寄せ)、生ビール、麦焼酎「中々」ボトル4320

 

 

夕食は和食の「㐂らく」で懐コースを頂く。考えてみると私はいつも「いだき」と読むこのコース

を食べているな。6月の夕食は「夏越しの祓」に因んだ前菜になることが多い。昨年有馬温泉のハ

ーヴェストホテルで和食を頂いた時もそうだった。「夏越しの祓」(なごしのはらえ)とは半年分の

穢れを落とす行事で、その年後半の健康と厄払いを祈願するもの。箸附けには「水無月の夏越しの

祓する人は千歳の命延ぶというなり」と書かれた短冊が添えられていた。何だかこのところ和歌と

か短歌とかに接するのはいつも和食屋さんだなぁ。薄い焼酎が大キライなので、今夜も麦焼酎はボ

トルを入れた。これをドボドボドボとグラスに注いで水をちょっぴり。掻き回してグビッ!旨い!

                 ____________

【今週の振り返り】

今週金曜日ランチを食べた荒木町の「アンシャンテ」の手前に、かつて穴子専門店の「ます味」が

あった。「がある」ではなく「があった」なのである。かつての花街で近隣に日本テレビ、フジテレ

ビ、文化放送などに囲まれていた荒木町には、銀座の奥座敷的存在で数軒の料亭や粋筋の店もあっ

て大人の街としての存在感があった。ところが。ほぼ同時くらいに2つのテレビ局とラジオ局が移

転し、それに伴って座敷を主流にしていたいくつかの店も姿を消した。その頃だろうか、私がこの

町に住み始めたのは。あの頃の荒木町界隈は、派出な業界人達が残した縁(よすが)を残しつつも

これからの生き方を探っているような模索の時代だったように思う。

 

腕のある若手の料理人達が荒木町にポツポツと移って来た。そして今や百花繚乱状態(の5歩手前

って感じ)で「美味しい荒木町界隈」として知られるようになった。一時はこの界隈だけでミシュ

ランの星を獲得した店が6店に上ったのだったか。その上コスパの高さを評価されるビブグルマン

も数店あった。繁華街でも無いこんな狭い地域でこれだけの高評価の店が並ぶって東京でもそうそ

うないと思うのだよ。私の記憶によれば、そんな中で一番早くミシュラン星を獲得したのは「ます

み」だった。料理人の皆さんが「ますみ」に続け!と思っていたのか聞いたことは無いが、「ますみ」

の星に加えて「鈴なり」や「大原」、「四谷うえ村」などが星を獲得した。

 

京都の名店「辻留」などで長年修行した増井司さんが、江戸時代にあった穴子専門店を再現しよう

と荒木町に「ます味」を開店したのは1992年のことだった。外苑東通りから細い道をくねくねと

進むわかりづらい場所で、しかも小さなビルの地下に「ます味」はあった。増井さんが渾身の思い

で作られる穴子料理の数々は「素晴らしい!」という以外に褒めようが無かった。ふぐ刺しより断

然旨い!と客に言わせしめた「穴子の薄造り」は匂いも全くなくシコシコした歯触りが心地良かっ

た。穴子と水だけでを何時間も煮出した出汁に穴子とネギ、そしてささがきの牛蒡をたっぷり入れ

た「穴子の小鍋」。誰もがカラダを捩って「旨い!」。〆に食べる雑炊の美味しさは罪作りだ。備長

炭で焼き上げた「穴子の白焼き」は生山葵と粗塩で食べればサッパリふわふわだった。寒い季節は

穴子ご飯の濃厚さが魅力だったし、暑くなれば穴子素麺がまた堪らない旨さだった・・・。

 

「ます味」にはいろんな人と一緒に行った。2人でしっぽり(そうゆう相手では無いよ)の時もあ

れば6人でワイワイと賑やかな時もあった。昨今は連勝している藤井四段のお陰で将棋界に注目が

集まっているが、田中寅彦八段(当時)をお見かけしたこともあった。いつの頃からだったかご主

人の増井さんの弱気な発言が気になっていた。「私より若いのに何言っているの!」と強い口調で

申し上げたこともある。そのうち店に行くと弟子の方が料理を作っていて、ご主人は?と聞けば、

「インフルエンザで」という答えだったことがあった。違う!インフルエンザなんかでは無いと私

は思っていた。お酒だ。きっとお酒で増井さんは料理を作れなくなったのではないか。そして「ま

す味」は閉店してしまった。もう会えないから本当のところはわからない。違う理由があったのか

もしれない。しかし、あの増井さんが作った穴子の数々の料理がもう食べられないということだけ

は確かなのだ。あの素晴らしい料理が。惜しい。心から惜しいと思う。

増井さーん、もし生きておいでなら、元気になってまたあの穴子の料理を食べさせて下さいよー!

お願いしますよー!

               あニャご、好き〜!大好き〜!

 

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