思い出 パクパク日記７年４月２週
キプロスから帰ると、21年通った「亀吉寿司の閉店が迫っていた・・・
キプロスの
思い出
４月 ９日（月） 東京は夜小雨だった
朝 エミレーツ航空ドバイ＝関空 ビジネスクラス機内食
ドバイに着いたのは夜中の0時半。ここで午前2時半まで過したのだが、相変わらずこの空港には乗
客たちがウジャウジャいる。真夜中であろうが、早朝であろうがドバイ空港はごった返しているのだ。ビ
ジネスラウンジもゲートまでの通路にも喫煙コーナーがあるのが嬉しい。２時過ぎ関空行きに乗る。席
に落ち着いた頃、日本人CAが「よろしかったら、こちらの４人のお客さまのためにお席を替わって頂け
ませんか？」って。メンドーじゃ、イヤじゃ！って言えば良かったのに、つい人が良いから替わった。これ
が間違いであった・・・・。午前２時半の出発は、滑走路にオイルが流れているのが見つかったとかで１
時間弱遅れる。軽食いかが？なんて言われたって、もう４時だぜ？要らんよ。２時間ほどウトウトしただ
けで本を読み続けた。ドバイ時間で１０時半頃朝食が出て来た。また和食を選ぶ。味はやっぱり普通。
機内のBBCのニュースで、東京都知事３選を伝えている。えぇ？また４年も石原都政？落胆したぞ。
昼 存在せず
エミレーツ航空は、出発の遅れをかなり取り戻し、２０分遅れの午後５時４０分到着。これから羽田行き
に乗らねばならない。幸い関空は狭いから入国手続きもスムーズだし、荷物も早めに出て来た。国内
線はエミレーツの遅れに合わせて６時５０分に出発時間を遅らせていた。いつも成田から離着陸してい
て地方から来る人のタイヘンさがよくわかった。羽田着８時。羽田は雨が降っていた。タクシーで帰宅。
夜 四谷三丁目 「喜多方ラーメン小法師」 胡麻味噌ラーメン 670円、焼き餃子 360円
やっぱり食べたいのは麺だね
都知事選がそうだと知り、ガッカリが続いている。もうヤケだ、ラーメン食べに行っちゃお。餃子もねー！
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４月 １０日（火） 晴れ
朝 家食 竹の子ご飯、「東洋水産」マルちゃんのわんたん、アロエヨーグルト、バナナ
朝食を食べながら久々に日本のテレビを観る。３選果たした石原都知事が、当選確実となって初めて
万歳三唱したとか、会見の模様なんぞが映し出されている。落選の危機もあったからちょっと間畏まっ
ていたって、この人のことだから、すぐ石原スタイルの「ゴーマン」な態度に戻るだろう。絶対そうなる！
昨夜写真をパソコンに取り入れたところで寝てしまったので、旅の間のパクパク日記はこれから作成。
午後のおやつ 「新潟味のれん本舗」のおせんべいろいろ、加賀棒茶
おやつにしては多くない？
パソコンの前にずっと座っていると疲れる。喉も渇く。小腹も減る。ってことで、新潟のおせんべいを齧り
ながお茶。そうそう留守中に人間ドッグの成績表が来ておったな。見てみっか。ビリビリ。えーっと体重
は去年より４キロ減、よしよし。血圧あの時ちょっと高かったね、γ―GTPは下がっている、よっしゃぁ、
あらら、コレステロールと中性脂肪上がっちゃったぞ、相変わらず右の聴力高い音がダメで、視力がさ
らに下がったなぁ、骨密度はかなりOK。他にも細かいこと色々書いてあったが、概ね大丈夫ってこと。
夜 家食 肉じゃが、ネギ納豆、オジョーママ特製イカナゴ釘煮、味噌汁、たんかん、柚子こしょう
キチンとした食事をしたい！ちゃんとした日本のご飯食べたい！ってことで、肉じゃが作りました。イメー
ジはおふくろ料理だったが、完成したのはお上品な肉じゃが。フランス製高級鍋のル・クルゼで作るとじ
ゃが芋が煮崩れない。その方が良い料理もあるが、肉じゃがの場合は崩れて欲しいんじゃ。志乃ちゃ
んの九州のお土産で頂いた柚子胡椒をつけて上品に頂きましたです。納豆ご飯はいつ食べても旨い
な。自分で作った夕食で満足して食後もせっせとパクパク作成。遅くなっても完成させちゃう？無酒日
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４月 １１日（水） 曇りのち雨
朝 無し
パクパク日記を午前2時半アップしたのは良いのだが、その後メールソフトのアウトルックのショートカ
ット行方不明事件があり、寝たのは今朝4時過ぎだった。起きたのは10時で、朝食どころでなかった。
昼 家食 味噌雑炊、肉じゃが、アロエヨーグルト、たんかん
夕刻N原先生の治療院。キプロスの毒がドクドクと出るのだろうな、と楽しみにデトックスをやると、な
んとチョコレート色にならない。あの緑色の藻も浮かない！なんでだ？ここでデトックスやる人の中で、
３本の指に入る「毒出し女」を誇っていたのに。私は毒も出ない人間になっちまったのか。ガッカリだよ。
夜 舟町 「おちあい」 お任せコース（数の子豆、山形こんにゃく、刺身盛り合わせ、竹の子煮、茄
子の
＠４８００円
キプロスパクパクは今晩までかかるだろうと読み、今晩は予定を入れていなかった。ところが昨夜とい
うか今朝アップしてしまったので、ポッカリと夜が空く。ヘルスクラブに行くというのが一番よろしいとは
思ったが、冷たい雨が降って来て行く気が失せる。突然誘った人も都合がつかないと。ならば一人で飲
みに行こっと。評判の良い鮨屋に行くつもりでエレベータに乗ったが、急に気が変わる。寒いから鮨で
なく鍋にしようぞ。カウンターに座って、「おちあい」のお父さんとお喋りしながらホッコリ鍋をつついた。
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４月 １２日（木） 晴れ
朝 家食 肉じゃが変身茄子カレー、味噌汁、アロエヨーグルト
変身して立派なカレーでしょ？
朝刊を読んでからテレビのNHKをつけると、いきなりイチローVS松坂の対決場面であった。ボストン・
レッドソックスとシアトル・マリナーズ戦をNHKは生中継しているのだ。昨日大リーグで初の３連続三
振したイチローは今日も精彩を欠き、ピッチャーゴロに倒れ、1回目の対決は松坂の勝ち！とアナウン
サーは興奮している。確かに巨額の金が動き、当人が「イチローさんとの対決が一番楽しみ」って言っ
たからだろうが、この試合に350人も報道陣が押しかけるってイジョーじゃないかぁ？イチローは結局
無安打、イチロー対決は松坂に軍配は上がったが、試合は０−３でマリナーズの勝利。イチローには勝
ったが試合に負けたっていうわけ。レッドソックスの内野手はカメラのフラッシュが凄くてボールが見え
なかったと言っているらしいよ。２回食べた肉じゃがは茄子を入れてカレーに変身。これも旨いじゃん。
昼 東銀座 「宮城野」 義経（冷）蕎麦 950円
5分で食べ終わってしまった
今日は歌舞伎座の昼の部。アメリカの野球や中国の温家宝首相の国会演説を見ていたら遅くなったか
ら、というばかりではなく、最初から1つ目と２つ目の演目は失礼した。歌舞伎座が食事時間になる前
に「宮城野」に入って義経蕎麦を食べる。暑いので冷たい蕎麦にしたら5分で食べ終わった。足りない。
午後のお茶 銀座 「プロント」 アイスコーヒー 200円
4月の歌舞伎座は、中村信二郎改め二代目中村錦之助襲名披露である。パスした「当年祝春駒」、「頼
朝の死」の次は、「男女道成寺」。何せ松嶋屋のお兄さん（仁左衛門）が白拍子桜子（実は狂言師左近）、
白拍子花子は中村屋のお兄さん（勘三郎）という顔合わせで、ゴーカケンラン。道成寺モノって華やか
な舞台でタイクツしない。長唄の杵屋勝国以下三味線もお見事！昼の最後は「鬼一法眼三略巻」から
「菊畑」。襲名する二代目中村錦之助の虎蔵（実は牛若丸）に、芸の師匠である富十郎の鬼一法眼、従
兄弟の歌昇の湛海、兄時蔵の皆鶴姫、そしてハトコの吉右衛門が知恵内と関係者が勢揃い。劇中で
役者が揃ったところで、昼の部短めの口上があったりで楽しいね。二代目中村錦之助はおっとり型だ。
芝居がはねた後は、銀座三越で鍋を購入。味噌汁用の安い鍋が欲しかったのに、デパートは高級品。
夜―１ 白金台 「白金劉安」 白金スープ（冬虫夏草入り） ＋2000円、前菜盛り合わせ、フカヒレ
三
七穀米、杏仁豆腐） @18900円 紹興酒（10年もの）
夜は白金台の「白金劉安」。中国伝統食餌処・漢方食養湯とフカヒレ料理とある。夜は12600円の劉
安コースから1万8900円の西太后美肌コース、2万１０００円のグルメコースなんてあるのだね。どの
コースを食べるにしても、最初はスープから始めるのが、この店のオススメらしい。このスープも金のス
ープ、銀のスープ、貴婦人のスープなど８種あり、白金スープを頂くことに。どのスープも丸３日間かけ
てエキスを抽出したもので、白金スープはポチンと冬虫夏草が沈んでいる。このレシピは、250年前に
出版された「本草志従新」というものに出ているらしいよ。冬虫夏草は意外に噛み出があり、ウルルン
滞在記のレポーターになったような気分。Tミちゃんはフカヒレ三昧コースを予約してくれていた。乾燥
している時は、カッチンコッチンの骨のような鮫の頭部を2週間かけて戻し、野菜と炒めた料理。コラー
ゲンの塊のような料理じゃ。いよいよフカヒレ。フカヒレって要するにフカのヒレでしょ？としか今まで思
っていなかったのに、部位によって歯応えも違うし、相応しい味付けがあるのだそうだ。先ずは胸部分
のヒレは上湯とあわせて上品なスープ状に、背ビレはピリ辛の沙茶醤ソース、尾ヒレは蛎油のソースで
調理されて登場した。それに七穀米。はぁ、美味しいでんなぁ。一番高級な鮫は青鮫なのだそうだが、
香港の超高級レストランに買い占められてしまうので入手が難しく、今日はヨシキリ鮫。ご馳走さま！！
夜―２ 赤坂 「赤坂グレース」 ジントニック ２杯、バランタイン 12年 水割り
2軒目は私がと申し出たが、赤坂でもご馳走になることに。ここのところご馳走になるなんてことは殆ど
無いからヤケに恐縮してしまうんだな。とてもとても不思議な店でありました。ここもご馳走さまでした。
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４月 １３日（金） 曇りのち晴れ
朝 家食 肉じゃが変身茄子カレー丼、ひいふう味噌汁、「柿安ダイニング」のヒジキと牛蒡のサラダ
外食する時、満腹になったり、たいして美味しくないと残す。でも自分で作った料理はほとんど食べ尽く
す。上品な肉じゃがから変身したカレーももう１杯ある。もちろん食べてしまおう。風呂上りのカレーだ。
昼 四谷四丁目 「木蘭」 海老そば 950円
見た目は？だが味は良い
新宿御苑近くの中華屋で昼ご飯を食べ始めたのは2時半だった。午前中代々木で整体治療を受け、
四谷駅で国内旅行の特急券を購入。それから新宿御苑の区役所で、国民健康保険の交付を受ける。
４年前5ヶ月だけ国民健康保険に加入していたけど、ひらがな会社の健保、会社辞めてからも任意継
続ってのを利用していた。任意継続は最大2年だから４月１日で無効に。個人負担するより健康保険
金の方が高くつくんだけどね。「木蘭」の海老そばは、片栗粉が多過ぎると思ったが、味は結構いいよ。
夜―１ 早稲田「亀吉寿司」 お任せコース（スミイカ刺身、シマ鯵づけ、コハダの新子、トコブシ、ウ
ニ、
亀吉寿司も明日が最終回
2月のあるパーティ会場から、マキコに「ちょっと用がある」と連れ出された。「亀吉寿司が無くなるって
パクパク日記で知ったんですけど、一度も行かないで閉店しちゃうなんて困ります。他のメンバーも誘っ
て一度で良いから連れてってください。日を決めて、今ここで予約の電話してください！！」。そんなこと
で、亀吉寿司に6人が集まった。亀吉寿司初心者２人。ホントは3人だったが、1人は四国出張が入っ
て来られない。もう最後だから、あれも食べたい、これも食べたいと思うのだが、私は何故か鮨屋に来
ると突然少食YUMEKOになってしまう。バクバク食べている他の人達が羨ましい。私と逆にいつもは
余り食べないマキコがバクバク食べていてビックリ。皆満足したようで、今日の企画は実に良かった。
夜―２ 早稲田リーガロイヤルホテル東京「セラーバー」 ジントニック２杯、シングルモルト ロック
「セラーバー」は混んでいた。皆座り心地のよいソファに沈みこんで「それにしても旨かった」と酒飲む。
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４月 １４日（土） 晴れ
朝 無し
こんなによく寝たのは半年ぶり位かしら。一度もトイレに起きることもなく、10時半まで寝ていたのだ。
珍しく午前中予定が無いことと、ずっと寝不足が続いていたから油断したのか。目が溶けるようだった。
寝惚け眼でテレビをつけると、日テレで六大学野球を中継していた。早稲田対東大。あらまぁ、先発投
手は、ハンカチ王子の斎藤クンじゃありませんか。先発するという情報が無かったせいか、外野席が空
いている。今から行けばナマ王子を観ることが出来るなぁ。神宮球場までは1キロ位だから歩いても行
けるんさ。行く？行かない。東大の試合が中継されるなんて初めてじゃないかしら。午後には日テレ、
東大の攻撃だけを６回まで（彼が６回までしか投げなかった）編集して流していた。つまり、王子の投球
だけね。８−０で早大の勝利。斎藤クンは新人開幕戦先発勝利投手という名誉なデビューを飾ったよ。
昼 四谷三丁目 「とみ吉」 味噌ラーメン 700円、味付け卵 100円
ちょっと脂っこい
近所の神宮では王子の試合、そのまた近所の新宿御苑では安倍総理の桜を観る会ってのをやってい
た。私に野次ウマ根性がもっとあったら、両方見ることが出来たのにね。面倒くさがり屋だから。自宅の
コピー機の調子が悪く、コンビニまで書類の複写に行った。１０円で安い。「とみ吉」でラーメン。初めて
行く店だ。私にはちょっと脂っこいが悪くはない。冷し坦々麺にカレーラーメンなんてある。今度食べよ。
夜−１ 早稲田「亀吉寿司」 スミイカの刺身、握り：大トロ・車海老・コハダの新子・ウニ・ハダガリ巻、
カ
いよいよ亀吉寿司に行くのも今晩が最後だ。昨日出張のために参加できなかったR子が「土曜日なら
都合がつくのに・・・」とメールを送って来たので「私は連チャンだけど土曜日行こか？」と誘った。見納
めになるので、一眼レフのテブちゃんを連れて行き、外観や店の中も激写。そこにR子とナオちゃんが
来る。「今日は思い出の握りを食べたいのでお任せのツマミは要らんよ」と最初にお願いする。大トロ、
車海老、コハダの新子、ウニ、ハダガリ巻、穴子、穴キュー巻。21年間、この店で食べて来た鮨ばか
りだ。初亀の２人は「これヤバイよ」を連発しながら、ツマミも鮨もたくさん食べた。最後に娘のナオミちゃ
んが、２人のお嬢さんを連れて挨拶に来てくれた。彼女は看板娘だったが、上のお嬢さんが小学校３年
になったという。そんな時が経過したのだね。数々の思い出のある亀吉寿司を後にし、ちょっと感傷的。
夜―２ 早稲田リーガロイヤルホテル東京「セラーバー」 干し無花果と枝付き干し葡萄、ジントニ
ック
今晩はカウンターに座れた。亀吉寿司のことで感傷的になって酔ったせいか言葉が過ぎて反省しきり。
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４月 １５日（日） 晴れ 三重県で震度５の地震
朝 家食 さぬきカレーうどん、熊本のでこぽん
美味しいカレーうどん
昨日R子に高松土産の讃岐うどんを貰った。おっ、カレーうどんじゃありませんか。自分のかつてこれ
を買って来たことがあったっけ。讃岐にしては柔かいがカレースープが旨い。熊本のデコポンは見てく
れは悪いが甘い。１０時から、空調関係の部品交換とかクリーニングの人が来ることになっている。空
調はどの部屋にもあるから家中をキレイにしないとならない？いいやね、汚いって思われてもいいよ。
午後の軽食 家食 半熟卵とハムのトーストサンド、「新潟味のれん本舗」のおせんべ、加賀棒茶
トーストサンドにお茶ですかい？
空調関係の何ちゃらはアっと言う間に終了した。24時間換気孔のフィルター交換2台と6台のエアコン
のクリーニングで2時間、2万円近くかかると予想していたのだった。エアコン６台あっても使うのは２台。
汚れていませんから掃除も不要ってことで、30分5750円で済んでしまった。実は昨夜鮨屋で現金ほと
んど使ってしまい家には1万円ちょっとしか無かったのだ。ひひ。良かった。2時半にヘンな食事する。
夜 家食 広島牡蠣ご飯、鯖の一夜干し、しらすおろし、もずく酢、大根と豆腐の味噌汁、熊本でこぽん
昨日も今日も結局ヘルスクラブには行かなかった。これでは一生行かないのかもしれない。なのに、今
年度の請求書が来た。33万５千円・・・・・くぅっ。2年で１回しか行ってないのに。だから今晩は地味食だ。
立っちゃんが広島の牡蠣ご飯の元を土産にくれた。味付けした牡蠣を汁ごとお米と炊けばいい。楽チン
だ。寒鯖の一夜干しは半身で500円もする。１匹なら千円なのか！その代わり脂が乗っていて旨い。
大根千六本と豆腐の味噌汁。味噌はいつも富山の麹味噌を使う。こうゆう地味なご飯好きだ。無酒日
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【今週の振り返り】
早稲田に住み始めた頃、それまでの小平と違って会社まで近いからと朝からタクシーで出勤していた。
タクシーの空車を探す場所はいつも決まっていた。都バスの車庫前。空車を待ってイライラしてひょい
と振り返った時、古い鮨屋があった。それまで全く気がつかなかったのに。それが亀吉寿司だった。余
りに小さくて古いので何度も前を通ったのに気がつかなかった鮨屋が、ある時キレイに全面改装した。
私が早稲田のマンションの509号室から全室リニューアルした４０９号室に移った頃だ。仕事が多忙な
酒好きの独身女には、親しい鮨屋は楽園となる。仕事帰りでも、試合帰りでも、コンサート帰りでも、お
通夜帰りでも、料理がメンドーな時でも、「お父さん、こんばんわー」と入っていけばいい。多い時は週に
３，４回行っていた時期もあり、「私の食堂」と呼んでいた。
5年間程とても混んだ時期もあったが、亀吉寿司は概ね静かな店だった。静かとは空いているという意
味である。昔気質の鮨職人は、学生街・住宅街のこの町で、質の良い高い鮨ネタしか仕入れない。だ
から勘定はどうしても高くなる。街の格には合わない料金体系となる。だから空いている。しかし、なん
とも旨いのだ。亀吉寿司の鮨職人は、素材の旨さ以上に、確かな腕を持っている。いわゆる鮨屋として
の「仕事」を丁寧にやる。酢飯が旨いし、コハダの処理も良い酢加減だし、穴子は絶品だ。ここの穴子
は銀座や数寄屋橋のどんな有名な鮨屋より美味しかった。カツオのタタキも亀吉寿司風。ニンニクを全
く使わない特製のタレで食べさせるタタキは、カツオ好きの客が半身食べた記録もある。その特製のタ
レを皮を剥いだ鯵の切り身に載せて握った鯵の鮨は、キョウコの大好物で彼女は〆に８貫も食べるの
が普通だった。鮨屋のまかないで食べたんですよ、と教えてくれたハダガリ巻は、コハダとガリの細巻。
以来私の大のお気に入りになった。イカはスミイカしか仕入れない。6月、７月頃の赤ちゃんスミイカは
一度食べると頭にこびりついてしまう。一年中それを食べることはもちろん出来ないが、亀吉寿司はそ
れに近いイカを仕入れてくれていた。ウニもいつもいい品を仕入れていた。大トロは本マグロの生。車
海老は踊りもいいが、茹で立てのぶ厚い身は甘くて美味しかった。
ご主人はアメフットチームをずっと応援してくれた。定休日の木曜日、試合が東京ドームである時はお
洒落して応援に来てくれた。店の中は、チームのポスターや選手全員が出た新聞広告などが所狭しと
貼ってあった。常連のN沢さんは今もファンクラブに入ってくれている。私の名前がついた内緒の賞の
ご褒美は亀吉寿司での食べ放題、飲み放題。受賞した選手の中は、見事な大トロ2貫を一口で食べ、
4時間ヒタスラ食べ続けた選手、ウニ、大トロ、ウニ、大トロと繰り返して注文した猛者もいた。賞も回を
重ねて行くと、一度亀吉寿司を味わったことのある選手達は受賞を狙う。良いプレイをした直後、真っ
先にサイドラインに立つ私の目を見るという選手まで現われて。選手達からも愛された亀吉寿司だった
のだ。
しかし、亀吉寿司はもう無い。4月中旬で店を閉めた。お父さんも70歳。一人で店を切り盛りしていくの
は体力的に苦痛だと言う。57年間の鮨職人を終えると自ら仰るのだから、「お疲れさま。今まで美味し
いお鮨をありがとう」と言うしか無い。サビシイけれど仕方ない。20年以上美味しく頂いて来ました。長
い間ご馳走さまでした。
小さな店構えだった
今年7１歳になるオヤジさん
孫のルカちゃん、ハルちゃん、娘のナオミちゃん
店内にはアメフットチームのポスターなどが これが店の象徴の亀 長年ありがとうございました
ボクだって一度位食べて見たかったニャア
＊ キプロスのパクパクは 4月1週
に収録しています。