パクパク日記13年11月3週
クルーズ2週目。コスタリカ・グァテマラ・メキシコと船は北上して行く
ケツァール♂(絵葉書)
プエルト・バジャルタ
11月 18日(月) 雨 終日航海 1j=約105円
朝 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 朝食ヴュッフェ
先週火曜日アメリカ・フロリダ州マイアミを出発しカリブ海を進み昨日9時間がかりでパナマ運河を通過
した。カジュアル船レジェンド・オブ・シーズ号のクルーズも2週目となった。今朝2時に船内時間が1時
間遅らせる。これで日本との時差は15時間になった。私が午前0時で新しい日に変わったな、と思った
時、日本では午後3時になっているってことである。日本は進んでいるんである。そうゆうことじゃない。
昼 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 ランチヴュッフェ
夜 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 シーフードのセヴィーチェ、クラムチャウダー、舌
平目のソティ、カモミールティ、ハイネケン 5,6j、白ワイン、赤ワイン
パナマ運河を通過したということは、トーゼンながらカリブ海とはサヨナラしたということで、昨日夕方か
ら太平洋上を北上していることになる。そのせいかどうか、今朝から海は荒れ、空は黒い雲に覆われ。
と思ったら雨も降り出した。暑い、暑いと言い続けていたのに、今日はハダ寒い。天井付きのプール。ソ
ラリウムにあるパークカフェにランチを摂りに行ったら長蛇の行列。この天候じゃあ露天のプールサイド
にはおられんわね。ズボンやシャツなど自分で洗濯するのがメンドーな衣類をクリーニングに出し、3年
前に買ったもののツンドクしていた「小暮写真館」(宮部みゆき著)を読み切った。講談社百周年の記念
出発本だ。宮部みゆきさんはすべて読んでいるが、作風がいろいろあって器用な作家だ。長編だった
から読了すると寂しいな。ふと気づくと5時55分。イカン!今夜2回目のフォーマルナイトだった。その
ヘンのショールを肩にかけたナンチャッテフォーマルでダイニングに急いだが、晩餐に遅刻しちゃった。
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11月 19日(火) コスタリカ・プンタレナスは晴れ
朝 船室にて 茹で卵 2個、バナナ、クッキー
出発の早い朝は船室でカンタン朝食
コスタリカの山の中腹にあるコーヒー農園を訪問。ガイドの説明を受けながら農園内を見学
コーヒーの実は熟すと赤くなる コーヒーの焙煎風景
品質の良いコスタリカコーヒー
枕元の携帯電話のメール来たよ音で午前4時過ぎ目が覚める。船は程なくコスタリカのプンタレナス港
に到着した。今日は船主催の「コスタリカコーヒー農園見学ツァー」に参加する。理由は不明だが、参加
条件は体重131kg以下(ほっ・・・)で6時間30分で参加費用は59j(ランチ付き)である。同じグルー
プからは私含めて4人が参加。7時過ぎ待ち合わせて指定のバスに乗った。ベラベラ喋りまくる現地の
ガイドがバスの中を仕切り、一人ひとりに「オマエ、どっから来た?」と聞きまくる。アメリカ、アメリカ、オ
ーストラリア、アメリカ、ドイツ、アメリカ、ニュージーランド、アメリカ、カナダ、ジャパン・・・。コスタリカは
5年半ぶりだ。すぐバスは高度を上げてドンドン登って行く。1時間半走って山の中腹にあるコーヒー農
園Espiritu Santoコーヒープランテーションに到着。2300の家族が所有する27万平方kmの共同農
園である。15人づつ3つのグループに分かれて農園見学。摘まれたコーヒーの実を勧められて食べて
みると何と甘いこと!これまでも何度かコーヒー農園見学をしたことはあったが、食べてみたのは初め
てだ。コスタリカコーヒーはスターバックスにも卸されている。焙煎場でコーヒーの香しい匂いを嗅ぐとム
ショウにコーヒーが飲みたくなるし、買いたくもなる。そしてどの見学客もドッサリ買う。旨く出来ている。
昼 コスタリカ・サルチ 「何とかいうレストラン」 コスタリカ料理のランチヴュッフェ
職人の町サルチの名物カレータ
美しい女性が手書きで木皿の絵を描いていた
豆入りご飯がコスタリカ料理の名物
この国には珍しい動植物が多い
プンタレナスの海岸
コーヒー農園見学の後は、家具と民芸品の職人の町サルチに行く。5年半前もここに来た。先ずは民
芸品の工場を見学し、ショップの2階にあるレストランでランチ。ヴュフェか思ったら、カフェテリア形式だ
った。以前来た時気に入った豆入りご飯(カージョ・ピント)もあって嬉しい。そうそう、この味だ。食事の
後1階にあるショップでコーヒーチョコだのお土産を買ってバスに乗り込む。3時前に船に帰って来た。
夜 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 ローストが^伝サラダ、ハラペーニョのポテトスー
プ、ニューヨークストリップステーキ、カモミールティ、ハイネケン 5,6j×2本、白ワイン、赤ワイ
ンボトル 35j
コーヒー農園4人組と船に残った2人除く9人(とY口添乗員)は旅行会社主催のモンテベルデに出か
けられた。本当に運良いことに一度も雨に会わず、何より♂のケツァールを見ることが出来たそうだ。5
年半前私も見たし写真も撮ったが、そんな人は珍しい。幸運を喜んでおられた。コスタリカ出身のドリン
ク担当リカルドは、待ちに待った奥さんに会ってニッカニカ。次は船がUターンする12月5日だそうだ。
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11月 20日(水) 晴れ 終日航海
朝 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 朝食ヴュッフェ
船の10階。今日はお天気が良く海も穏やかである。4階のデッキでウォーキング
5階にあるカジノと毎晩ショー公演があるシアター
昼 レジェンド・オブ・シーズ 「ロイヤルブラッスリー 30」 名物TUTTIサラダ、キャロットクリームスー
プ、シンガポール風ヌードル
今日も終日航海。天気が良い。終日航海日は専ら本を読んで過ごす。自分の船室か、9階の屋根のあ
るプール・ソラリウムのベンチでコーヒー飲みながらがお気に入りの読書場所だ。ランチは4階の「ロイ
ヤルブラッスリー 30」に行く。夜のメインダイニングである「ロミオ&ジュリエット」が昼になると、そう名
称を変えているだけだが。終日航海日のランチだけあるTUTTIサラダは、ロイヤル・カリビアンの名物
料理だそうで、私も気に入っているサラダヴュッフェだ。オープンの12時にテーブルに着くと、程なくし
てこの船の船長以下上級船員がゾロゾロとレストランに入って来た。上級船員に限って、客と同じレスト
ランで食事をして良いことになっているのはどの船も一緒のようだ。それにしてもこんなに大勢でってち
ょっとビックリだ。シンガポール風ヌードルというのでビーフンかなと注文してみたら焼きうどんだった。
夜 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 英国風チューダーチーズスティック、ローストビー
フ、カモミールティ、ハイネケン5,6j、白ワイン、赤ワイン
午後は読書とウォーキングと絵葉書を何枚か書いて過ごした。テレビが映らなくなったので修理を依頼
すると2度も修理マンが現われた。夕食の後は、船室でたっぷりとウィスキーの水割りを飲むのが旅の
いつもの楽しみなのだが、今回はウィスキーが無いのだ・・・。船には持って来ても行けない、船で売っ
ているウィスキー(タックスフリー)も船内で飲んではイケナイ、バーでもレストランでもボトル売りはしな
い、上陸した場所で買って来ても乗船する時取り上げられて下船時まで預かると言われるてねぇ・・・こ
んな船は初めてだよ。もうこの船には乗るの止めよう。というより、クルーズもそろそろ止めよっかなぁ。
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11月 21日(木) グァテマラ・アンティグアは晴れ
朝 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 クィックリーブレックファーストセット
グァテマラには火山が37もある!
女優片桐はいりさん弟のマコトさん 十字架の丘からの眺め
バロック様式のファサードが美しいメルセー教会 アンティグアのシンボル・時計アーチ門
1773年の大地震で崩壊した教会天井
グァテマラ土着の神様
ここにコーヒーが伝えられた
5時起床。起きる寸前まで犬猫サーカス動物園と歯医者の夢を見ていた。何でだろ。朝起きるとすぐシ
ャワーを浴びる。日本にいる時は足が浮腫んで困っているのだが、旅に出ると不思議と浮腫まない。カ
モシカの足(ブヒッ!ジョーダンもたいがいにしろ!)とは言わないまでもチョーすっきりなのだ。何でか
なぁ。6時半にオープンした「ロミオ&ジュリエット」でクィックメニューの朝食を摂ってから下船。今日は
旅行会社主催のツァーに9人で参加した。今日がおろし立てというベンツマイクロバスと日本人ガイド
のアキコさんが出迎えに来てくれた。8時前出発。暫く走るとグァテマラの懐かしい景色が見えて来る。
この国には4年半前に来たが、37もの火山があちこちにあるのだ。フエゴ火山からは噴煙が上ってい
るぞ。出発から1時間半で高原の町・アンティグアに到着した。アンティグアにはスペイン語学校が40
以上もある。そのうちの一つ「ATABAL」の女性オーナーのご主人は「あまちゃん」の安部(あんべ)ち
ゃんこと女優片桐はいりさんの弟さんなのである。ガイドさんが連絡すると、挨拶してくれた。お姉さん
ほどではないけど、やはり顔が四角っぽい。十字架の丘から街を眺めてからは徒歩で観光。メルセー
教会はバロック様式のクリーム色のファサードがとても美しい。街のシンボルとも言える時計アーチ門
付近で地元の画家オスカー・ペレン氏と会う。ひところ人気のあったヒロ・ヤマガタと作風が似ているな
ぁ。石畳のこの美しい街はかつて首都でもあったが、何度か地震に見舞われ、中でも1773年の大地
震では僅か2秒で50もの建物が崩壊してしまう程の大被害を齎した。アンティグアを愛してやまなかっ
たスペイン人達も、この街を捨ててグァテマラシティに首都を移した。火山に囲まれた地形だからなぁ。
昼 グァテマラ・アンティグア 「Fonda de la Calle Real」 野菜サラダ、炭火焼きチキン、チョイ
ス・モレ(バナナショコラーテ)、コーヒー、水 2j
この椅子に大統領が座られた
クリントン大統領と記念撮影 カーラはアンティグアの花
ランチはかつてアメリカのクリントン大統領が食事にみえたレストランで。大統領が座られた椅子や記
念の写真などが店内に飾ってあった。それかどうか、料理がタイヘン美味しい。サラダも良いが、チキ
ンは素晴らしい。ジューシーで食材の良い鶏使っているんだなぁと。3種から選んだデザートは甘っ!
夜 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 トマトサラダ、ポークメダイヨン、カモミールティ、
ハイネケン5,6j×2本、赤ワインボトル
日本人ガイドのアキコさんの話が今日一番興味深かった。もっと聞いていたかったが、3時15分には
船に着いてしまった。お元気でねー!船までの小道には土産屋がびっしり。そしてグァテマラで盛んな
マリンバ演奏も行われていた。夕食を食べている間、稲妻がビカビカ光り、雷鳴もドカンと長く続いた。
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11月 22日(金) 晴れ 終日航海日
朝 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 朝食ヴュッフェ
昼 レジェンド・オブ・シーズ 船室ベランダにて 鶏炊きうどん、金沢「不室屋」のふやき御汁、バナナ
夜 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 (クラブケーキ、マッシcュルームのクリームスー
プ、ギリシャ風野菜のムサカ、カモミールティ、シュガーフリーアイス2分の1,,ハイネケン5,6j×2本、白ワ
イン、赤ワイン
今日も終日航海日である。中米のグァテマラから、地理的には北米に属するメキシコのプエルト・バジ
ャルタまで船はひたすら北上している。それだけに、日々気温が低くなっている。終日航海日の過ごし
方は前述の通りで読書三昧である。ランチはたった一つ持って来た鶏炊きうどんとH口さんの金沢土産
の「不室屋」のふやき御汁。旨いぞ。夕食前の夕陽が素晴らしく美しかった。夕食には前菜で最近人気
のクラブケーキやギリシャ風野菜のムサカを注文して食べた。まぁこんな味かなぁと思った夕食だった。
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11月 23日(土) 晴れ 終日航海日
朝 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 朝食ヴュッフェ
昼 レジェンド・オブ・シーズ 「ロイヤルブラッスリー 30」 名物TUTTIサラダ、アジア風チキンとヌ
ードル、パパーデレのカルボナーラ、コーヒー
夜 レジェンド・オブ・シーズ 「ロミオ&ジュリエット」 ロイヤルシーフードサラダ、フィッシャマンズ・プ
レート、カモミールティ、ハイネケン 5,6j×2本、赤ワイン 35j
終日航海日の2日目。寝坊して7時半起床。朝食は9階の「ウィンジャマーカフェ」の朝食ヴュッフェ。昼
は「ロヤルブラッスリー 30」。例の名物TUTTIサラダとアジア風チキン&スープそれにパスタを注文
したのだがアジア風・・・はスープがなく焼きそばの上にチキン!その後パスタだよ。そんな麺類オンパ
レードはマズイわなぁ。ローカーボの医者に申し開きが出来ない。テーブルで同席したアメリカ人達は
対照的な方々で興味深かった。午後ボーっとして6時からいつもの夕食。味も会話もマンネリである。
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11月 24日(日) メキシコのプエルト・バジャルタは晴れ
朝 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 朝食ヴュッフェ
船から見たメキシコ・プエルト・バジャルタ
木の上で昼寝していたイグアナ 海岸沿いのマレコン散策 大聖堂ではミサが行われていた
「El Set」レストランからの眺め
ガイドの息子ジョナタン(小8)
終日航海日が2日も続いたから寄港日の今日はホッとする。中米を北上して来て、船は北米に属する
メキシコ沿岸を進んでいた。5時過ぎ、携帯に溜まっていたらしいメールが7通どっと届いた。終日航海
中は電波が届かないからね。うち1通はアメフトチームからで、私がパナマ運河を通過している間、チ
ームは大阪に遠征し準々決勝を戦って快勝した。次の試合は、この旅から帰国する2日後横浜スタジ
アムでの準決勝である。午前7時、メキシコのプエルト・バジャルタに到着した。プエルト・バジャルタは
1964年(!)リチャード・バートン主演の映画「イグアナの夜」の舞台になったことと、当時恋愛中だった
エリザベス・テイラーとの愛の巣をバートンがこの街に構えたことから、一躍有名になった。近年はアカ
プルコ、カンクンに続くリゾート地として、また退職後のアメリカ人の住まいや別荘地として大人気らしい
よ。確かに海は美しいし、海岸沿いに続くマレコンを歩くととても気持ちが良い。テキーラとマリアッチの
発祥の地だそうだ。船主催のツァーに参加したら最後に宝石店に連れて行かれて全員大ブーイング。
遅い昼 レジェンド・オブ・シーズ 「ウィンジャマーカフェ」 ランチヴュッフェ
9階のプールデッキ大スクリーンではNFLの試合を実況中!嬉しい!
夜 レジェンド・オブ・シーズ スペシャルレストラン「IZUMI」 枝豆(サービス)、味噌汁(サービス)、鶏
の唐揚げ 4j、海老揚げ餃子 4j、カリカリスパイシー海老卷 7j、ハイネケン 5,6j×2杯、赤ワイン
11j、チャージ(5jだが今夜はサービス)
午後1時前船の前で解散。やれやれ。船の前の店には民芸品やらメキシコ特産のテキーラやら香辛
料などがズラリと並べらていた。こうゆうところならみんなたくさんショッピングしますよ。今日は日曜日。
アメリカの船でアメリカ人が大勢乗り込んでいるとなれば、この時期ならNFLの試合中継は不可欠だ。
ランチを摂った後は、私もアメフット試合の中継を大いに楽しんだ。どの試合も追いつ追われつの混沌
とした展開で実に面白い。3試合観ちゃったよ。夕食はS水さんと2人で11階にある和食レストラン「IZ
UMI」に行った。夜は5jのチャージがかかるが、サービスしてくれることになった。しかもチャージがあ
る代わりにサービスされる枝豆と味噌汁もちゃんと出た。海老揚げ餃子は2度目でまずまずの味だが
初めて注文した鶏の唐揚げがとても美味しい。ビールが進む。S水さんは握りを食べている。私は・・・
ご飯少なそうなカリカリスパイシー海老卷にしよう。天むすの巻き寿司版って感じ。今夜は楽しい夕食。
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【今週の振り返り】
今週の木曜日に行ったグァテマラ・アンティグアを案内してくれた日本人ガイド・K川アキコさんの話をし
たい。アキコさんご自身のことを自己紹介として語って下さったのだが、ほぼ同年齢の彼女の半生に私
は驚き、そしていたく感動してしまったのだ。
アキコさんは山口県防府生まれ。大学は英文科を選びたかったが、家業(看板制作業)の関係で美術
大学に進学。卒業後はグラフィックデザイナーとして働く。結婚して2人の息子に恵まれたが、若いうち
からご主人がアルコール依存症に。仕事も辞めて、一日中家でゴロゴロする夫。アキコさんは仕方なく
デザイナーとして働いて一家の家計を支え、家事をこなしながら育児にも追われる日々。そうこうしてい
るうちにご主人は死去されてある意味ホッとしたそうだが、今度は息子の不登校とひきこもりに悩むこと
になる。苦しい時に、アキコさんはいつも「そのうち好きなことをして暮らすぞ!」と思うことにしていた。
覚束無い将来の夢を描くことで窮状を切り抜けたのだ。好きなこととは「刺繍」と「織物」。スェーデン刺
繍を趣味としていたが、費用がかかるのが難だった。
アキコさんは50代になった。好きなことをして暮らすのはいつ?今でしょ!ということで、グァテマラに
渡ることを決心。グァテマラは世界でもまれに見る手織物の宝庫なのである。先住民のマヤ族は村ごと
に独自の模様、色で織物を織り、独自の衣装を身につけているのだ。そんなグァテマラで織物を教えて
貰おう!とアキコさんは考えた。グァテマラで暮らすにはスペイン語が出来なくては。無問題。彼女はア
ルコール依存症と幼い2人の息子を抱えて働きながらも、NHKラジオのスペイン語講座をずっと聞き
続けていた。最初は、大学進学時学びたかった英語を身につけようと思った。ある日、アキコさんは「ラ
ジオ講座で英語の勉強をする」とご主人に伝えたところ、「今頃、オマエが英語を身につけたところで何
の役にも立たない。英語が巧いヤツは世の中で履いて捨てる程いる。他の人がやらない言葉を学ぶな
ら価値がある」と言ったそうだ。「確かにそうだ。じゃスペイン語やるか」と方針変更してスペイン語講座
を聞き始める。働かずにブラブラしている彼に腹を立てることばかりだったが、この時ばかりは夫に感
謝したそうだ。しかし、寝るヒマも無い程の多忙な日々で毎日ラジオ講座は聞けない。講座をテープに
録音して満員電車の通勤時間に聞いていた。そんなだからスペイン語は上達しない。しかし、アキコさ
んは決して止めようとしなかった。毎年毎年初級編を繰り返して聞き続けたそうだ。
犯罪が多いグァテマラにあって、古都アンティグアは治安も良く、標高1500mだから気候も良い。花が
溢れている。たくさんあるスペイン語学校で学ぶ日本人も多い。アンティグアに住むことにして、高熱費
込みで2万円のアパートを借りた。国民年金2万円は家賃に当てる。各地のインディヘナの女性達に
織物を教えて貰いながら、ガイドの勉強をした。ガイドになってみたら、あまりの楽しさに自身驚いたそ
うだ。長年続けていたデザイナーの仕事で「楽しい!」と思ったことは一度も無かったのに、ガイドの仕
事は天職とも思える。育てた里芋や大根で作った豚汁を友人達にふるまえば喜ばれるし、ガイドとして
あちこちに出かけられる今の生活には張りがある。グァテマラに来て良かった。ガイドになって良かった。
「いつか好きなことを・・・」という夢を持ち続けて良かった・・・。
う〜ん、アキコさんはエライなぁ。勇気あるなぁ。私とほぼ同年齢なのに、若々しくて足取りも軽い。羨ま
しいなぁ。夢子さん、あなたに欠けているのは「努力すること」です。はい・・・・。
片桐はいりさんの弟さんマコトさんのことは、今年7月偶然見た「徹子の部屋」で片桐はいりさんがゲス
トとして出演された時知った。仲が良くなかった弟さんがふらりと旅に出て以来帰って来なくなった。長
い間行方がわからなかったが、グァテマラにいることが判明した。グァテマラの女性と結婚していた。そ
こではいりさんは弟を訪ねてグァテマラに行った。スペイン語学校でスペイン語を学んでいるうちに、年
上の女性オーナーに気に入られて結婚。今は夫婦でスペイン語学校の経営に当たられている、という
話だった。K川アキコさんはマコトさんの奥様ペドロ夫人に大変お世話になっていて、親しい関係だそう
だ。ペドロ夫人は素晴らしい女性らしい。そのアキコさんがマコトさんに電話して「学校の前を通るから
日本からのお客さんにちょっとご挨拶して」とお願いしてくれた。マコトさんは「あまちゃん」の文字が入っ
た黒いTシャツを着て現われた。誠実そうな四角いお顔だった。ご安心ください、「オメもまんめぶずる
喰っだが?」なんてこたぁ、私は聞きませんでしたよ。
オメ、努力足りにゃいってか? 黙らんかい!
*
旅の始まりは 11月 2週 をご覧ください。
* お待たせしました。やっとメキシコに到着。あと3週分ある?はぁ・・・・。