パクパク日記15年7月3週

         蝉しぐれを聞きながら世界遺産ミディ運河で暮らすように旅する

 世界遺産ミディ運河 カルカッソンヌの花火

7月 13日(月)フランス・プロヴァンスは晴れ 1ユーロ€=約140円

 マルセイヤン「ATHOS号」チーズオムレツ、ハムとチーズ、ご飯、ふりかけ、味噌汁、フル

ーツ、ヨーグルト、コーヒーと日本茶

 

  

添乗員A子さんが毎朝ご飯を炊いてくれる  朝食担当マリアナがテーブルセッティング  毎朝マシューがパンを買いに

卵料理もマリアナ担当だが今日は特別にシェフのアンディがオムレツを焼く   炊き立てご飯にふりかけ

 一番奥が私の部屋。ステップが無いとよじ登れない程高いダブルベッド

   ベッドの下など収納スペースもたっぷり。バスルームには洗面シンクとトイレとシャワーブースがある

 

昨日の夕方、世界遺産・ミディ運河を航行する平底船「ATHOS号」(アトス号)に乗船した。1階

部分に客室5、ラウンジと食堂、キッチン、操舵室、船長室、船底階に4人のスタッフの居住スペース、

上階にはパラソルを開いた下に大きなテーブルと椅子のセットがあり、数台の自転車も装備している。

5つある船室はさほど大きくは無いが、ベッドと収納スペース、洗面シンク、トイレ、シャワーブース

と簡素ながらも必要なものは備え快適に過ごせる。ミディ運河には夥しい数の船が航行しているが、こ

のアトス号は最大の大きさなんですって。5人のアトス号スタッフと私達5人の客、そして添乗員のA

子さんの1週間のチャータークルーズだ。6時に起きてシャワーを浴びてラウンジに行くと、30`の

無洗米と小さな電気炊飯器を持参されたA子さんがセットしたご飯が炊きあがったところだった。朝食

担当のマリアナがコーヒーを淹れてくれる。朝日が入って来る、あ〜なんかいいなぁ、こうゆう朝。I

崎夫人のA美さんとH部夫人のH子さんが、ふりかけ、梅干し、海苔、味噌汁の素、缶詰、珍味などど

っさり持って来られたから、船が提供してくれるハム・チーズや毎朝マシューが美味しいパン屋さんか

ら仕入れるパン、卵料理、フルーツ、ヨーグルト、ジュースの他に日本の味も豊富だ。美味しい朝食。

午後のお茶 ペゼナ「GRAIER」カプチーノ3€

 

マシュー運転クライスラーで観光に出かける      小さなペゼナだが詩人モリエールが愛した街だ  

南西部の村で作られるライヨールナイフ  プラタナス並木の横にはぶどう畑       ただいま〜!

 

この船揺れないなと思っていたら未だ船は出航していないのだった。出航は今日の昼過ぎだ。それまで周

辺の小さな町に観光に行こう。ガイド兼ドライバーのマシューが連れて行ってくれる。今日はペゼナへ。現

在人口8千人の小さな町だが、13世紀王領となって17世紀までラングドックの首府であった。ルイ14

世もその母もこの町に3回訪れたそうだ。今は詩人で劇作家のモリエールの所縁の地となり、ホテルもカフ

ェもバーバーもその名前は「モリエール」!「ペズナスのプティ・パティ」というお菓子も名物らしいよ。

昼 マルセイヤン「ATHOS号」ベルギービールデュベル、夏野菜と自家製アンチョビのサラダ、

  ムール貝のワイン蒸しイカ墨練り込みスパゲティ添え、苺とバジルシャーベット、コーヒー、ロゼ

ワイン4杯

 

  

  

   ここよりミディ運河でーす           両脇船が停船していて舵取りは慎重に          水位を同じにして進んで行く

    オジサン、落ちないでね!                   水門の操作中です!            ビキニ姿で作業中です

 

12時船に到着。「ただいま〜!」。「ビールどう?」とスザンナに勧められて「昼は基本飲まないん

だけどなぁ」と言いながらベルギービールのデュベルを貰う。今日のランチは上階のテーブルで食べま

しょう。20分後舫いが取られいざ出航!先ずはトー湖の牡蠣の養殖場をくるっと回ってから、いよい

よミディ運河に入った。時速5`、気温27度。ランチは夏野菜と自家製アンチョビのサラダ、メイン

ムール貝のワイン蒸しイカ墨練り込みスパゲティ添え。昼は基本飲まないのにビール飲んでしまったか

ら白ワインもいっちゃうか。やがて船はアグドの円形水門へ。ふーん、こうして高低差調節するのね。

 

ポルティラーニュのビーチでは子供も大人も海水浴!        運河の両脇は自転車や馬に乗る人

 

夕方、車で20分ほどのポルティラーニュの海岸に行く。キティちゃん柄の水着を着て遊んでいる女の

子達がたくさんいた。今や世界中キティちゃんだ。暑いので見学5分で終了。さてさて帰って夕食です。

夜 ポルティラーニュ「ATHOS号」アンディコース(プティ・パティの前菜、サルデーニャ島の

カラスミ、茎ワカメ胡麻油和え、マグロの握り寿司、海老とアボガド巻きキャビア載せ、トラウト

(鱒)のスモーク刺身、スズキの刺身、マグロ刺身、スズキと蟹巻きスズキの卵載せ、今日のお勧

めチーズ、ピアスタチオアイスクリーム)、アサヒスーパードライ、白ワイン3杯、赤ワイン1杯、

カモミールティ

 

  

 「刺身はお寿司の前に出して下さい」

アンディの力が入った夕食コースの前に、ガイドのマシューが仕入れて来た地元の名物「ペズナスのプ

ティ・パティ」が出された。「モリエールの町ペズナ」の名物ね。カラスミ、茎ワカメと続いて、今日

は刺身と寿司パーティだぁ!!!あれ。刺身の前に寿司が出て来る・・・これではすぐお腹がいっぱい

になっちまう。危惧した通り、私は刺身を2,3切れ食べたところで満腹。2種目の巻物には手が出な

かった。それにしても、酢飯もちゃんと出来ているし、巻物もちゃんとしているし、アンディやるね!

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7月 14日(火)晴れ    フランスは革命記念日の祝日

 ポルティラーニュ「ATHOS号」ハムとチーズ、茹で卵、ご飯、梅干し、海苔、味噌汁、フル

ーツ、ヨーグルト、コーヒーと日本茶

 

  ベジエのモリエール劇場     ミディ運河を造ったリケの銅像      丘の上の大聖堂

サン・ナザール大聖堂のパイプオルガンと中庭庭園       大聖堂を見上げた橋が見える

 

今日はフランスにとってバスティーユ牢獄襲撃した革命記念日。いわゆるパリ祭だ。パリではエッフェ

ル塔を囲むようにして花火大会が行われるが、私達は今夜カルカッソンヌの花火大会に行く予定である。

6時に起きてシャワーを浴び、ラウンジに行くとマリアナがコーヒーを淹れてくれる。添乗員のA子さ

んがセットしたご飯も炊きあがった。I崎夫妻もH部夫妻も起きて来られて720分から朝食。A美

さんが持って来られた上等の梅干しや「築地田村」の味噌汁も加えて美味しく頂く。午前中の観光は

ベジエ。ミディ運河を造ったリケを産んだ町だ。広場に立つリケさんの銅像にご挨拶をした後、細い

急な道をモーレツなスピードでマシュー車は駆け上がりサン・ナザール大聖堂。丘からの眺望が良い。

 ミディ運河航行中「ATHOS号」(船上席で)アサヒスーパードライ、8種類のトマトのサラ

ダ、ズッキーニと茄子の精進揚げ、鰈の天ぷら、盛り蕎麦、ご飯、西瓜シャーベット、アイスコー

ヒー

 

 

     時速5`でいくつもの橋の下を潜り、プラタナス並木の間を滑るように進むアトス号

下には交差する形でオルブ川が流れている        フォンセランヌの階段水門七段ロック通過中!

 

観光の最後は午後通過するフォンセランヌの七段ロックを見学してから船に戻る。「お帰りなさーい」

とアサヒスーパードライが出て来る。「昼は原則飲まないことにしているだけど・・」と言いながら

グビグビっと(笑)。12時出航。運河クルーズ最大の見どころフォンセランヌの階段水門七段ロック

を通過するので、ランチは船の上のテーブルで摂ることにした。8種類のトマトのサラダの後は揚げ

立ての天ぷらにお蕎麦だよ!つけだれがちょっと薄味だが、出汁がしっかりとれている。スザンナが

アイスコーヒーを作ってくれた。いよいよフォンセランヌの階段水門を通過する。ここは観光名所で

もあるから、観光客が水門近辺にたくさんいて通過する船を見つめている。連続七段のロックで20

数メートルを上って行く。高低差を解消すべく噴出して来る水の勢いが凄まじいぞ。面白いなぁ!!

夜 カルカッソンヌ「LES TROIS OURONNES」フォアグラの前菜、オマール海老と

  サーモンクリームをガラスの器で、小鴨のロースト、ケーキ、マカロン、ピンクシャンパン、ビ

ール、白ワイン、赤ワイン

 

  

  

  ライトアップされたカルカッソンヌシテの城塞が花火大会では史実に則り炎に包まれる見事な演出!

  ようやく暗くなり10時半から始まったカルカッソンヌ花火大会は、30分間で濃い打ち上げを繰り返す

 

最後の関門を通過してシャンパンで乾杯!船長のジュリアン、水門開けに走り回ったマシューとスザン

ナお疲れ様!午後6時2台の車でカルカッソンヌに向け出発。私と添乗員A子さんはマシュー号、二組

のご夫妻はスザンヌ号に乗車。1時間足らずでカルカッソンヌの郊外に到着したが、降りたい場所の遥

か手前で交通規制!警官は「歩いたって15分だよ」と言ったが、灼熱の人込みの中を45分も歩いて気

が遠くなりかけたよ。予約していたレストランになんとか到着して冷房の効いた席に倒れ込むように座

る。疲れ過ぎて食欲がどっかに行ってしまったが、フォアグラやオマール海老や鴨など高そうな食材の

料理がどんどん出て来る。味はいまいちだ。半分も食べられなかった。飲むのは酒ばかり。10時半よう

やく暗くなって花火大会が始まる。「やっぱ花火は日本しょ。フランスの花火師お手並み拝見」ってな

不遜な態度だったが、始まってみれば思い違いであることを知る。「失礼しました、フランスの花火も

凄いです!」。異端とされたカタリ派(あるいはアルビ派)を保護したために法王が遣わしたカタリ派

征伐十字軍に攻められたカルカッソンヌ。そんな悲壮な歴史を現わすかのように城塞シテは炎に包ま

れる演出もグッドである。最後の数分間は狂ったように花火が炸裂しまくった!カンドーしたぞ!!

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7月 15日(水)晴れ

朝 フォンセランヌ「ATHOS号」 ハムとチーズ、さんまの缶詰、茹で卵、ご飯、味噌汁、フル

ーツ、コーヒーと日本茶

  

  

      ローマの植民地時代に造られたドミティア街道の跡

         ナルボンヌの豪勢なサン・ジュトス大聖堂。中庭には美しいバラが咲き乱れていた

      農作物から魚介類まで豊富な商品が揃うマルシェ      アンディとシェフの夫人の一粒種

 

大歓声と大拍手で終了したカルカッソンヌの花火大会。午後11時にホテルのロビーにマシューとスザ

ンナが迎えに来てくれたが、大渋滞でアトス号に帰りついたのは午前140分だった!疲れているの

に目が冴えて寝たのは午前3時だった。6時足が攣って目が覚める。朝食はA美さんが持って来られた

さんま缶が懐かしい味だった。今日の観光はナルボンヌ。古代ローマの植民地だった町で歴史は古い。

ドミティア街道が通り、ロビン運河では通行税を徴取したから町の財政は豊かで、アヴィニョンに次

ぐ座の大司教がいた。サン・ジュトス大聖堂が豪勢なのも頷ける。観光の終わりはマルシェへ。今夜

食べたいものを何でも希望すれば買ってくれると言う。わ〜〜い!狙いは生ウニだ!ところが、何軒

魚屋を覗いても生ウニは見当たらない・・・今日は入荷が無いんだって。昨日から全員でこぼれるよ

うなウニ丼をイメージしていたのでガッカリ。気を取り直して。鯖、イカ、手長海老、ハマグリ、ス

イカ、豚ロースなどを買って貰う。別の船のシェフをしているアンディの奥さんが赤ちゃんを連れて。

昼 ナルボンヌ・マルシェ内「Chez Bebelle」ハンバーグ定食目玉焼き添え、ビール

 

  

 

 

ランチはマルシェの中の食堂で。南仏はサッカーよりラグビーの方が人気がある土地柄だが、地元チー

ムでかつてプレイしていた有名選手の店だ。高いスツールに座れない私を軽々と(言葉のアヤです!)

抱き上げて座らせてくれた。アンディも一緒に食事をしたのだが、ステーキとフライドポテトの皿にウ

スターソースをジャブジャブかけて食べ始めたので、すっかり目がテンになっちまったよ。作るのと食

べるのは違うんですかね。船に帰る。午後3時半出航。蝉しぐれを聞きながら、プラタナス並木に囲ま

れたミディ運河をゆるゆると進んで行く。運河はゆったりと蛇行している。浅い場所で底を擦った音が

してドキリとする。5時前には早くも停泊。67日で進むのはたった60`だからチビチビ行くわけさ。

夜 コロンビエ「ATHOS号」(本日マルシェで買った素材で)、生帆立貝のカルパッチョ、大根

  のピクルス、細いんげんの胡麻和え、カラマリ(イカ)揚げ、鯖塩焼き 大根おろし添え、ご飯、

吸い物、本日のチーズ、スイカ、エスプレッソのパンナコッタ、カモミールティ、アサヒスーパー

ドライ、白ワイン4杯、赤ワイン2杯

 

  

  

  

  

7時半から夕食。マルシェで一緒に仕入れた食材がどんな形で搭乗するのか皆楽しみにしていた。帆立貝は

カルパッチョで、イカは唐揚げね。それにしても、アンディが用意した品も素晴らしい!大根のピクルス

は月曜日から漬けていたそうで、たまり漬けのようで何とも旨い。細いんげんの胡麻和えも大好評だ。そ

して私が一番嬉しかったのは鯖の塩焼き!大根おろしが添えられている。これはご飯が無くっちゃ。A子

さん、ちゃんとご飯を炊いてお吸い物まで用意していてくれた。彼女がアンディにいろいろとアドバイス

もしてくれているのだよね。ありがとう!A子さん。スイカ熱望したアキラさん、細切れスイカを見て涙。

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7月 16日(木)晴れ

 コロンビエ「ATHOS号」目玉焼き、ハムとチーズ、さんまの缶詰、茹で卵、ご飯、味噌汁、

フルーツ、ヨーグルト、コーヒーと日本茶

 

     「生命の木」オリーブ   オリーブ油の飲み比べ     オリーブの実も食べ比べ

      カタリ派の信者が追われて移り住んだミネルヴ村は3つの渓谷に囲まれている

        1210年十字軍によってカタリ派信者180人が焼き殺された場所に十字架が。

 

早くもフランスの旅も9日目、アトス号に乗ってからも5日目となった。楽しい時はすぐ過ぎるものよ。

OULIBOでオリーブについて説明を受け、3種のオリーブオイルのティスティング。「緑のダイヤ」

とか「オリーブのトリュフ」とか高価そうな名前が付いているのね。フランスは生産量は少ないが、質

の良いオリーブを産出しているのだそうだ。車で20分ほど走るとミネルヴ村に着く。カタリ派の信者達

が追われて逃げ込んだ村らしく、三方を渓谷で囲まれ出口は一つだけ。見つかりにくい作りにはなって

いるが、見つかれば逃げ場が無い。1210年にはこの村で180人ものカタリ派信者が焼き殺されたと聞く。

昼 コロンビエ「ATHOS号」生ハムとディップ、ロースかつ、特製ソース、千切り白菜、ご飯、

  本日のチーズと無花果、抹茶アイス、アサヒスーパードライ、ロゼワイン、コーヒー

 

  

 

1240分帰船。今日のランチはカツ丼!というかトンカツだ。千切りキャベツの代わりに何故か白菜

の千切りだったのが笑ってしまうが、ご飯を貰ってソースカツ丼にして食べた。アンディの特製ソース

とても美味しいよ。ランチの話題はもっぱらピース又吉直樹氏が羽田圭介氏と共に芥川賞受賞したこと。

 

      長さ180mの世界初運河マルパストンネルを通過!   全員水着姿の船も珍しくない

             カペスタングの元大聖堂と美しいステンドグラス

  「BEL AIR」というワインセラーを訪問。ワイン好きが嵩じて夫婦で2万本のワインを生産

 

午後ラウンジで絵ハガキを書いていると、突然I崎夫妻の船室から悲鳴が。何事かと思えば、昼寝中

のA美さんの顔の上をトカゲが通り過ぎた由。それは驚くわなぁ。そこから船長とスザンナの大捕り

物が始まって10分後に小さなトカゲを無事捕獲。運河に放され「もう来るなよ!」。夕方からカス

ペタングの教会見学とワインセラー訪問。ベルギー人夫婦が2万本のワインを造っている。気前の良

い奥さんが、あれもこれもと7種ものワインを試飲させてくれた。ドライバーのマシューも飲んで!

夜 カぺスタン「ATHOS号」手長海老のフライ、ハマグリとワカメの味噌スープ、巻寿司、きゅ

うりのピクルス、サラダ、ラムチョップ アンチョビソース、本日のチーズとぶどう、スイカ、無

花果のケーキ、白ワイン、赤ワインたくさん

 

  

  

 

「フランス人はあれくらいのワインでは酔わないのよ」とアンディはすまし顔。確かにしっかりした運転

で船に無事着いた。午後720分だった。早速夕食。これまで日本食のアレ作って、コレ食べたいとわが

まま放題の我々であったが、昨日ふと気付く。「アンディは有名なゴードン・ラムゼイで修業したプロの

シェフ。アンディの得意料理を食べていないじゃないか!是非作って貰おうよ」と。ハマグリとワカメの

味噌スープや巻寿司の後に登場したのは、ラムチョップ アンチョビソース!これがめっぽう旨い!ラム

チョップは苦手というH子さんまで「美味しい、美味しい!」とムシャムシャ。これまで失礼しました!

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7月 17日(金)曇りのち晴れ

朝 カぺスタン「ATHOS号」目玉焼き、ハムとチーズ、茹で卵、ご飯、味噌汁、フルーツ、ヨー

グルト、コーヒーと日本茶

 

  

     シトー派の修道院フォンフロアド。1093年に創立されたが、現在は個人所有の博物館

メキシコのバンドオーケストラが今夜のためのリハーサル中         見事なプラタナス並木

 

美味しい朝食を終えて、観光に出発。明日は下船なので観光は今日が最後となる。45分かけて修道院

に行く。禁欲的なシトー派のフォンフロアド修道院だ。1093年に創立され、200人もの修道士を抱

える時代もあったが、フランス革命時多くの修道院は襲撃の対象となった。革命後政府は修道院に解散

命令を出す。モンサンミッシェルも例外ではなかった。フォンフロアドも廃墟となったが、1908年グス

タヴ・ファイエが買い上げて修復し、現在のように修道院の博物館として公開されている。今夜修道院

内のホールでコンサートが開かれるそうでメキシコから来たバンドオーケストラがリハーサル中だった。

昼 カぺスタン「ATHOS号」生ハム、特製チキンとジャガイモカレー、大根のピクルス、本日の

チーズと蜂蜜、パイナップル、アイスクリーム

 

 

船に帰ると、何やらココロときめく匂いが・・。カレーだ!!嬉しい!!!何と何とアンディがじゃ

が芋ゴロゴロチキンカレーを作ってくれたのだ。これまでもカレーの辛さの話題は何度か出た。私は

激辛が良いと主張し、アキラさんはグリコアーモンドカレーの甘口じゃなきゃ食べられんぞと。I崎

夫妻とH子さんはその間が好みってね。アンディが作ったのは甘口のカレーだった。ただ、後からジ

ワリと辛味が追いかけて来る。大好評につきまた作ってくれた大根のピクルスがカレーに良く似合う

わねぇ。アンディが「日本食をいろいろ教えてくれてありがとう」。いえいえ、こちらこそと皆恐縮。

 

            船長ジュリアンの許可を貰って操舵室へ     I崎夫妻と舵を取るアキラさん 

 

午後1時半最後の出航。操舵室にお邪魔して代わりばんこに舵を取ったり写真を撮ったり。最後の航行

と思うと、船上で味わうそよ風と蝉しぐれが名残美味しくてねぇ。そうこうしているうちに最終目的地

のアルジェリエに到着した。5日かけてたったの60`を航行して来たことになる。午後パッキング。

夜 アルジェリエ「ATHOS号」最後の晩餐(フォアグラカナッペ、きゅうりのピクルス、マテ貝、

  エイの鰭ロースト、茎ワカメ、ソーメン、蕎麦、ブフォル茸、本日のチーズ、フローズンブラック

ベリー、スフレ、ビール、白ワイン、赤ワイン、カモミールティ

 

 

 

今夜はいよいよ最後の晩餐だ。早かったなぁ、この1週間は。ジュリアン船長の感謝のスピーチの後ビ

ールで乾杯。セイジさんが客を代表して船長とスタッフに謝意を伝える。今夜は朝食担当のマリアナも

ちょっとオシャレしてサービスしてくれる。ほう、ナプキンの畳み方から特別だね、今夜は。マシュー

も来てビールを飲みながらニコニコ笑っている。アンディも今夜は、ご馳走作ったよと自慢げだ。フォ

アグラやマテ貝などが続いたと思ったら、蕎麦やソーメンなどが登場するサプライズ。最初はちょっと

薄かったタレもちょうど良い濃さになった。楽しく美味しい晩餐は午後10時まで続いた。名残惜しい!

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7月 18日(土)曇りのち晴れ

朝 アルジェリエ「ATHOS号」目玉焼き、ハムとチーズ、ご飯、味噌汁、フルーツ、ヨーグルト、

コーヒーと日本茶

 

  

左の階段上がればデッキ、中央突き当りが私の部屋  パンは毎朝マシューが買って来る

  

 懐かしい思い出をたくさん持ってアトス号にサヨナラを言う。スタッフ全員で見送ってくれた

            「フランスで一番美しい村」の一つラグラス

    古代ローマ時代から発展したカルカッソンヌのシテは城塞で覆われている。1997年世界遺産に登録された

 

アトス号最後の朝は5時に起きた。昨日半分やったパッキングの仕上げ。7時20分朝食。添乗員のA子

さんが持って来られた30`のお米はキレイに無くなったようだ。毎日炊いて頂いてありがとうございま

す!アンディの11か月になる娘アイラちゃんも他の船でシェフをやっているママに連れられて遊びに来

ていた。ママはイギリスに帰って店を持つ計画があるという。こんなにお世話になったらチップはどれ

だけ払うのかって?ご心配なく。「チャーター代金の10%(!)を乗組員のチップとして申し受けま

す」と事前に旅行会社に請求があったそうだ。余りの多額になるため銀行振り込みしたのだそうよ。9

時半荷物を迎えのバスに積み込み出発。お世話になりました〜!お元気で〜!さようなら〜!向日葵畑

を右に左に見ながら1時間も走ると「フランスで一番美しい村」の一つラグラスに到着。野菜やナッツ、

乳製品などの市をひやかし、旧市街を抜寝て古い石橋から川の流れを眺める。ここまで来ればカルカッ

ソンヌまでは近い。シテ内のホテルまで行ける大きさのバスにしたのに、ドライバーのモハメッドさん

道を間違えて、結局徒歩でとぼとぼホテルまで向かうことになってね。ドジはやめておくんなましね。

昼 カルカッソンヌ「LE DON JON」魚のテリーヌ、カスレ(白インゲンと豚肉料理)、タ

ルトタタンとアイスクリーム、コーヒー、ビール

 

  

         ホテルの真ん前にあるサン・ナゼール教会外観とステンドグラス

   教会バラ窓とカタリ派と十字軍の戦いを現わした石碑         右手前がホテル、左が教会

 

ホテルに行く手前にレストランがあるのでランチを先に摂ることになった。この店は1年前にカルカッ

ソンヌに来た時夕食を食べた。びっしょりかいた汗もようやく引いたか。今日のメインはカスレ。南仏

の郷土料理だが、カスレという料理名はカルカッソンヌからつけられたのだそうよ。私は苦手な料理だ。

皆さんはコンタル城とサン・ナゼール教会の見学に行かれたが、私は1年前に行ったばかりだからパ

スしてホテルに早めにチェックインさせて貰った。少し休憩してからサン・ナゼール教会見学に行った。

夜 カルカッソンヌ「LE MARQUIRE」アミューズブーシュ:アニスとメロンのジュース、

  シェーブルチーズとサラミカナッペ、サーモンとチョリソージンジャータルタル、チョイスメニュ

  ー:フォアグララビオリとファアグラソティフォアグラソース、コルシカ島さんのマンダリンナポ

レオンアイススフレ、ビール、白ワイン、赤ワイン2杯 計28€

 

 

宿泊しているホテル・ド・ラ・シテカルカッソンヌは、サン・ナゼール教会の司教館をリノベーション

したもので、堂々の五つ星ホテルだ。ロケーションと建物や調度品は一流だが、どうもサービスがちぐ

はぐ。「後にしてくれ」と言っているのに、シャワーを浴びている時ターンダーンサービスに入って来

たかと思えば、昼食後観光に行かれた皆さんもチェックイン時1時間以上も待たされたそうだ。「胡坐

かいている」って感じね。夕食は歩いて数分のシテ内のレストランへ。生帆立貝の予定だったが、売り

切れたそうだ。メインはチョイス。フォアグラ好きの私はフォアグララビオリとファアグラソティフォ

アグラソースというフォアグラ尽くしの料理をチョイス。これだけでも嬉しくて仕方ないのに、隣に座

ったH子さんが「これあげる」とファアグラソティをプレゼントしてくれた!ラッキー!嬉しいぞ!!

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7月 19日(日)晴れ   関東地方梅雨空け

朝 カルカッソンヌ・ホテル・ド・ラ・シテカルカッソンヌ「ラ・バルバカン」朝食ヴュッフェ

 

 

ネットニュースによると、19日日本の関東地方は梅雨明けしたそうだ、平年より2日早いんだって

さ。6時起床。シャワーを浴びてから朝食を摂りに行くと一番だった。25分かけて食べている間、他

の客は誰も来ないのだった。いつもつけない日焼け止めなどを顔に塗って今日の観光の準備をするが、

どうも不安があって考え込む。今日行く2つのカタリ派が逃げ込んだ古い城がどちらも急な坂道をか

なり歩くと聞いたことと、昨夜からお腹の調子が悪いことだ。う〜む、悩んだ時は止めるにこしたこ

とは無い。よし不参加!添乗員のA子さんにお伝えした。夜は6時までに戻られるということだった。

午前のお茶 カルカッソンヌ・ホテル・ド・ラ・シテカルカッソンヌ「ラウンジ」紅茶4€

 

 

昼 ホテル・ド・ラ・シテカルカッソンヌ客室にて インスタント鮭おにぎり、タンメン風麺

 

  

 シテを囲む城塞内側。ははーん、先日の花火大会はここから打ち上げたのね。     不思議な楽器演奏

 

午前中は部屋やラウンジでお茶を飲みながら読書。ランチはI崎さんから頂いたインスタント鮭おにぎ

りとタンメン風麺で済ませる。豪華な食事も良いが、たまにはこうゆうチープな食事も好きだよん。午

後シテ内の散歩に出かけた。日の当たるところは暑くてね。カルカッソンヌのシテを囲む城塞は二重に

なっている。先日革命記念日の花火大会の花火は城塞の外側と内側の間で打ちあげられたのだろうな。

城塞が真っ赤に浮き上がったライトアップもここに装置を置いたんだろう。暑いだけでなく、今日は

風が強い!城壁の陰から不思議な音楽が聞こえている。音の主を探すと、お鍋をひっくり返して2つ

重ねたような楽器を器用に叩きながら音を奏でている男性がいた。何という名前なんだろう。素敵!

 ホテル・ド・ラ・シテカルカッソンヌ「ラ・バルバカン」アミューズブーシュ:ポテトと生ハ

ムとトリフソース、ボルビエバター、大正海老のグリルオーソブッコ、ビーフシチューサフランラ

イス、ピスタチオマカロンチョコソース赤いフルーツ、3種のプチフール、ビール、白ワイン、赤

ワイン(酒代は先週のお詫びファンドから)

 

 

夕食はホテルのレストラン「バルバカン」で。ミシュラン☆一つ貰っているそうだ。「バルバカン」は

城塞の意味。皆さんのカタリ派の最後の山城観光はタイヘンきついものだったそうだ。「夢子さん、行

かなくて正解。午前中の1つ目の城は3人登ったけど、午後の2つ目はアキラさん1人だけ。で、行か

なきゃ良かったって後悔したのよ」と教えてくれた。セイジさんはどっちもパスして下で待っていたん

ですって。そうですか、お疲れさまでした!サービスの男性スタッフの感じが悪い。料理の味はフツー。

 

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【今週の振り返り】

今回旅したミディ運河。それまで私はその名前すら知らなかった。しかし、ミディ運河が果たして来た

役割を知り、芸術的とも思える土木建築技術の出来栄えや魅力的な景観に実際接してみて、「これなら

世界遺産に登録されてトーゼンだわ」と感嘆と共に実感した。チャーターしたアトス号での快適なクル

ーズで航行したミディ運河の1週間は夢のような時間であった。

 

フランスを囲む2つの海、大西洋と地中海を船で行き来するには、17世紀スペイン・ポルトガルのイベ

リア半島をぐるっと回るしか無かった。そのルートは時間もかかるし、ジブラルタル海峡を通過する時

スペイン(その後ジブラルタル海峡を制したイギリス)から通行税を徴取される。これを何とかならん

かと考えたのが今週14日に行ったベジエ出身の徴税師ピエール・ポール・リケ。大西洋と地中海を結

ぶ運河を造ったらどうか、と思いつく。地中海のトー湖からトゥールーズまでの250`の運河を掘れば、

トゥールーズでガロンヌ川と合流して、地中海と大西洋が繋がることになる。工事は1667年から1694

年までの27年間行われた。250`の間には当然標高差がある。その標高差を克服するため、フォンセ

ランヌの7段ロック(閘門)を設け、オルブ川と立体交差する形で水路橋を造った。水路を掘るだけ

でなく、こんな閘門や水路橋やトンネルを328の構造物が必要だった。当時は船を引くのは主に馬。夏

の暑さを避けるため水路の両脇にプラタナス並木を作り、側道を馬が歩くようにした。

 

発案者であり、大工事の建設指揮を執ったピエール・ポール・リケは、完成を目前にしながら病に倒れ

て帰らぬ人となった。「もうちょっと」だったのにね。無念だったろうなぁ。その遺志は息子に継がれ

1694年ミディ運河は完成した。この運河を利用して大量輸送が可能になった。時間も大いに短縮され

た。大西洋側で生産されたボルドーワインは南仏に運ばれて世界に出荷されていった。産業革命に大い

に寄与したミディ運河であったが、鉄道が出現すると役割を失っていく。しかし現在は主に観光用とし

て大活躍するようになった。

 

ミディ運河は毎年3月から9月の約半年間航行が可能。秋冬は運河の水量が少なくなって運航が出来

なくなる。最大時速は8キロ!水着姿で家族や仲間で船を借りてクルージングを楽しむ人、観光船で

半日クルーズを楽しむ人、側道を自転車で走る人、馬に乗る人、ジョギングする人・・・。今回私達

がチャーターしたアトス号はミディ250`中、最も見どころが多く眺めが良い60`をゆっくりゆっく

り進んで行った。まったく揺れることなく、鏡の上を滑るように。両岸のプラタナス並木の緑のトン

ネルを通れば、ウルサイ程の蝉しぐれを浴びる。そよそよと風が吹く・・・。天国だ。

 

昔のミディ運河の写真。フォンセランヌの7段ロック。運河の水で洗濯する婦人達。橋の下のトンネルも見える

 

             僕も連れて行って欲しかったワン

 

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