パクパク日記24年12月1週
水曜日からクリスマスシーズンで賑わうフランスのアルザス地方に行った
ストラスブール モン・サント・オディール
12月 2日(月)曇り
朝 明石町「ダイニングルーム」A定食(赤魚の焼き物、きんぴら牛蒡、キャベツおかか、ご飯、味噌汁、飲
むヨーグルト、キウイ)770円、納豆220円、「封印」わさび漬け、コーヒー165円
和朝食の準備はタイヘンだよねぇ
昼のおやつ 新橋演舞場客席にて「六花亭」のバターサンド、ミレービスケット
ライ:尾上松也 キンタ:尾上右近 撮影:野波 浩
ツナ/オボロヒ:時蔵 オボロ/オボロミ:坂東新悟 シュテン/オボロツ:染五郎
ウラベ/片岡亀蔵 マダレ/市川猿弥 イチノオオキミ/坂東彌十郎
「朧の森に棲む鬼」今日のダブルキャウストのライ役は松也 幸四郎はサダミツ役
作:中島かずき・演出:いのうえひでのり 「朧の森に棲む鬼」が17年ぶりに歌舞伎NEXTとして戻って来た
夜 明石町「ダイニングルーム」A定食(牛肉の焼き物、雲丹真丈と野菜の煮物、とろろ芋、ぬか漬け、
ご飯、お吸い物、とちおとめ苺)1870円、麦焼酎
やっとこの芝居を観ることが出来た。今から17年前の2007年に幸四郎(当時は染五郎)を主役に
劇団新感線が上演した時は、チケットが手に入らなかった。ホント、この劇団のチケットの入手には長年苦労さ
せられていて、それでも買えれば万々歳。たいがいは外ればかりだった。新感線+染五郎はその前
に「歌舞伎NEXT」として私が大好きな小説で高橋克彦「火怨 北の燿星アテルイ」を劇化して上演した
「阿弖流為」を観ていたから、劇団新感線「朧の森に棲む鬼」はどうしても観たかったんだけどな
ぁ。涙を飲んでから17年後に、今度は「歌舞伎NEXT」としての「朧の森に棲む鬼」を観ることに
なるとは。今回主人公のライ役は幸四郎と松也のダブルキャストとなったので、どちらも観るべく2日分チ
ケットを申し込み、無事当選!今日は松也ライの日である。キンタは尾上右近、ツナとオボロヒ2役を時蔵、オボ
ロとオボロミ2役を坂東新悟、シュテンとオボロツの2役を染五郎、ウラベは片岡亀蔵、マダレは市川猿弥、イチノオ
オキミに坂東彌十郎。タイトルで鬼と言っている通り、ホントに主役のライは悪いヤツで。長い上演時間は息もつ
かせぬ激しい殺陣の連続で、松也を中心に出演役者の運動量がハンパ無い。新感線の劇団員はそれば
かりやっているから慣れているけど、歌舞伎界の人には過酷な演目だよなぁと同情してしまう。衣
装もメイクも舞台展開も音楽もド派手なのだが、総合的なボリュームという点では、生田斗真と中村倫也
をゲストで今年秋に上演した劇団新感線の「バサラオ」の方が勝っていたような気がする。とはいえ、
これもムチャ面白い舞台なんだけどね。演じていた方は1000倍疲れたと思うけど、観ている方も何
時間か集中しているからぐったり疲れた。それでも帰宅してからフランス行きの荷作りを始めたぞ。
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12月 3日(火)晴れ
朝 明石町「ダイニングルーム」A定食(梅粥→ご飯、さつま揚げの焼き物、じゃが芋の煮ころがし、ハム
入りサラダ、味噌汁265円、飲むヨーグルト、パイナップル)770円、納豆220円、「封印」わさび漬け、
コーヒー165円
粥は食べた気がしないのでいつもご飯に変更
昼 明石町「ダイニングルーム」B定食(ポテトとポロ葱のスープ、ツナと茸の和風スパゲティ、サラダ、アイスティ)
1210円、今川焼き270円
福島の身しらず柿が来た! 明日からフランスなのにどうしよ・・・
夜 明石町「ダイニングルーム」B定食(酢豚、フカヒレ蒸し餃子、モヤシと黄ニラの和え物、鮭と蕪のスープ、ご飯、
漬物、胡麻団子)1870円
花ニラと黄ニラはすべて取り除く私
今日はメチャ忙しい日だ。先ずは、隣の病院とは別に3ヵ月に1度やって来る同じ建物のクリニックの診
察日だ。毎朝3回ずつ測っている血圧の数値を記録してるノート3ヵ月分をコピーして4階のクリニックへ。
血圧数値をざっとご覧になって「特に問題ないようですね」次に1週間前に届けてあった10月末
の人間ドックの結果表ご覧になって「特に問題ないようですね」と言われホッとしていると「あ、そ
うだ、ビタミンDが不足しているようだから今日からサプリメントを飲むように。あ、そうだ、肺機能を
もうちょっと調べたいから隣の病院で検査を受けるように」って。全然ホッじゃないじゃん!次は
住まいの件でちょっとした打ち合わせと見学と。その合間に電話があって大きな売り物の提案が。
う〜ん、どうすっかなぁ。あぁもう昼ドキだ。ランチが済めば、銀行に行き、用事を済ませたついで
に薬局でビタミンD購入。ファンケルで買えば数百円で買えるのに、ここでは2千数百円もした。でも時
間が無いから買った。帰宅すると福島の身しらず柿が届いていた。えぇ〜!明日から10日近く
留守なのにぃ。今日中にパクパク日記を仕上げて更新する必要があるし、手荷物の準備もやらなく
ちゃ。あぁ忙しいぞ!遅くなった夕食時に大きな身しらず柿を4個持参し、周囲の皆さんにムリク
リお渡しした。身しらず柿は子供の頃から憧れた高級な柿で、とても美味しいんですよ、ってね。
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12月 4日(水)東京は晴れ、ドイツ・フランスは夜だったのでわからん
24時間+8時間で今日は32時間あった
第1食 羽田空港第2ターミナル「全日空ビジネスラウンジ」サンドイッチ、お稲荷さん、かき揚げうどん
羽田空港第2ターミナルには7時46分に着いた。朝ご飯はラウンジで糖質祭り
第2食 ANA羽田=フランクフルト ビジネスクラス機内食(和食コース)ビール、麦焼酎W1杯
今日の機内食(和食)はわりと旨いぞ
第3食 ANA羽田=フランクフルト ビジネスクラス機内食(一風堂ラーメン)
以前のように味噌ラーメンの方が良かったのになぁ
第4食 ANA羽田=フランクフルト ビジネスクラス機内食(和食セット)
フライト時間約15時間だから食事回数も3回
第5食 フランス・ストラスブール レジャン・プティット・フランス客室にて 小おにぎり
ストラスブールのレジャン・プティット・フランスの105号室 夜中にチェックインした
5時半起床。今日からフランスの旅が始まる。ツァーのグループはルフトハンザ航空に乗られるが、いつものよう
に私ひとりはANAで行く。搭乗時間が長い国際便は、可能な限り自分の好きな航空会社で行きたい
という気持ちが強くてね。要するに協調性が無い人間ってことだ。人生の残りはそう多く無いのだ
から「良い人」と思われるより、自分に快適な時間を過ごしたい。タクシーは7時半に予約していたが、
少し早く来てくれたから7時29分には発車。空いていたので17分で羽田空港到着、7時46分だっ
た。早過ぎて係の人は未だいないぞ。今年海外は8回目だが、成田2回、羽田第3ターミナルが1回、あ
と5回は羽田第2ターミナル出発だった。羽田第2は徐々に離発着が増えて来てはいるが、第3に比べれ
ばずっと空いているしコジンマリしているからラクチンでいい。10時40分発フランクフルト行きに搭乗してみると
予約した8Hの座席は私が苦手な通路側席だった。幸い空席もあったので、CAの方にお願いして5A
の席に変更が出来てホッ。けしからんロシアのお陰で飛行機はグンと遠回りして北極圏の上を飛ぶから往
路フライト時間は14時間50分!それでも中東やトルコ経由よりはずっと楽だけどね。映画「もしも徳川
家康が総理大臣になったら」はビジネス小説の映画化。コロナ禍真っただ中で歴史上の偉人オールスターズの内
閣が誕生し・・総理大臣は野村萬斎扮する徳川家康、坂本竜馬は赤埜衛二で官房長官、織田信長
GACTOは経済産業大臣、豊臣秀吉って言ったらこの人でしょの竹中直人で財務大臣、江口のりこ扮
する北条政子は総務大臣ってな感じで。娯楽映画のハズなのだが、独裁者たらんとする信長や秀吉
の台詞がプーチンやトランプと同じようだよ、と個人的にはちと戦慄めいちゃってね。次の映画「九十
歳。何がめでたい!」は面白かった。作家佐藤愛子さんの「九十八歳。戦いやまず日は暮れず」
を原作に、90歳を迎えた草笛光子が佐藤愛子を達者に演じた。作家の佐藤愛子さんも、90歳であ
んな演技が出来る草笛光子さんも凄い!尊敬しますよ。搭乗時間が長いから食事も3回摂った。
和食のセットはこれまでの中で美味しいと思った。「一風堂ラーメン」機内食は大昔トンコツ味だったのが味
噌になって気に入っていたのだが、またトンコツっぽいスープになっていて旨くなかった。もう食べな
いことにしよう。3食目の和食セットは軽めでまぁまぁ。フランクフルトには予定より早く着いた。空港の
ベンチに座ってルフトハンザで来るグループを1時間半待つのだが、こちらが早く着き、ルフトは遅れていた
から結局2時間半以上空港で待っていたことになる。午後8時過ぎに合流してバスに乗り込む。
ストラスブールまで約2時間半。宿泊するホテルがプティットフランスのど真ん中にあるので駅でバスを下りて小さ
な車2台に分乗し、ホテルに到着したのは午後11時を過ぎていた。あぁ〜長い移動距離で疲れた。
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12月 5日(木)フランス・ストラスブールは曇り午後から小雨
1ユーロ€ 約170円
朝 フランス・ストラスブール レジャン・プティット・フランス 朝食ヴュッフェ
客室のからの景色はまさにアルザスっぽい
プティット・フランスのど真ん中に建つ5ッ星ホテルのレジャン・プティット・フランスに4泊
イル川沿いには漆喰と木組みのアルザス風の建物が続く 2階の右端が私の客室
徒歩4時間の市内観光をパスして、プティット・フランス界隈をひとりでうろうろ
クリスマスツリー発祥の地ストラスブールは、市内あちこちにクリスマスマーケットが
昼 ホテル客室にて 春雨スープワンタン、チーズ、パンなど
夜の帳が下りるとストラスブールの街はイルミネーションで美しく輝く
夜 ストラスブール ☆「CROCODILE」 アミューズ@、アミューズA、ズッキーニの花のファルシ蟹とカラスミソース、チョウザメと
フォアグラ 金柑ファルシ クレソンソース グリーンマンゴウ添え、ヤマウズラと牛蒡のコンフィ、バニラ風味のアイスクリーム、菩
提樹茶
店名はクロコダイル
昨夜ホテルに到着したのは午後11時を過ぎていた。それからチェックインして部屋に入り、片付けなどして
ベッドに入ったのは午前1時過ぎだった。日本時間で言えば翌日の朝8時だ。昨日の朝5時半に起
きて殆ど寝ていないから27時間起きていたワケね。それでも欧州に来た日はいつでもそうだが、5時
には起きた。実は午前3時に目が覚め、それからなかなか眠れなかったんだけどね。朝食はハムやチー
ズなど美しく並ぶもコジンマリしたヴュッフェ。今回ご一緒するのが4回目となる大阪のK藤さんとお喋り
しながら。1回目は一昨年の金沢グルメの旅でしたね。今年も帰国してから蟹食べに行くんですよ、
なんて話ながら。今日午前中はストラスブールの市内観光。4時間の徒歩と聞いて、即サボることを決める。
どんより曇っていて雨も降りそうだし。午後はフリータイムで希望者はイル川クルーズ。これも行かない。ストラ
スブールは何度目かで、仕掛けたっぷりの天文時計がある大聖堂や街をクルリと囲むように流れるイル川の
水位が違う場所をパナマ運河方式で水位を合わせて進んでいくイル川クルーズも乗ったしね。ストラスブールは
「道の町」という意味の大きな都市で国境近くに位置しているがために、過去ドイツになったりフランス
になったりの哀しい歴史を持つ。そんな背景があるので、この街には欧州議会や欧州人権委員会本
部などがある。この街で生まれた印刷のグーテンベルグを始め、ゲーテやシュバイツァーもここに住んだことが
あるそうだ。夕食までフリーだが、チョコットその辺散歩するか。ホテルはプティットフランスのど真ん中という誠に
好都合な場所にある。外に出ると凄い寒さ。でも寒さにめげず多くの人がお店を覗いたり、写真
を撮ったり、プティットフランス地区を楽しんでいた。夜になると人を押し分けないと歩けない程の混雑
になるのだ。昼食は部屋でカンタンなもので済ませたが、夕食は皆さんとレストランに出かけた。雨も降り
出して、左手傘、右手杖持ちながら人をかき分けかきわけ随分歩いた。でも美しいクリスマスイルミネーショ
ンを見つける度にパチリ!ストラスブールはクリスマスツリー発祥の地と聞く。「CROCODILE」クロコダイルの入口近く
の個室でコース料理を頂く。もう長いことミシュラン☆を誇る有名なレストランと聞くが、どうもね、塩味が
濃いというか、いろいろイジクリ過ぎて食材が生きていないというかね。料理を残すと「何か問題
でも?」とイチイチ聞かれるのも面倒。期待したのに残念だよ。タクシー2台で帰ったのでラクチンだった。
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12月 6日(金)ストラスブールなどアルザス地方は快晴
中山美穂さん死去(享年54歳)
朝 ストラスブール レジャン・プティット・フランス 朝食ヴュッフェ+目玉焼き
凄い風が吹く山の上のモン・サント・オディールに行く ヨハネ・パウロ2世来訪を記念して
聖女オディールはストラスブールの守護神で、祈りに訪れる人が絶えない クリスマスシーズンなので聖家族の様子をかたどったクレッシュが
聖女オディールの遺体が安置されている石棺 聖女オディールはアルザス公爵エティションの娘で生まれた時は盲目だった
760bのホーエンブルグの山の上断崖絶壁に建つ女子修道院の庭から麓のぶどう畑やオベルネの町などアルザスを見渡せる
「ヨーロッパ美しい村30選」に選ばれたリクヴィールは平日にも関わらず観光客で大混雑!
リクヴィールから5`離れたリボーヴィルはクリスマスマーケットが週末だけなので空いていた
リクヴィールはコウノトリでも有名な街だ
昼 リボーヴィル「LE CAMMISSAR」オリーブタプナードとビーツのアミューズ、マロンと南瓜とクルトンのアミューズ、オリーブ
のクグロフ、半熟卵とセロリ・ポテトクリームソース、オンブレ・シュバリエのソティ あんず茸とマッシュルーム添え エスプー
マソース、マンゴーとパパイアなどのデセール、杏ジュース(旅行会社のゴチ)
若きシェフの店「LE CAMMISSAR」のランチは美味しいしコスパ良くて全員大満足!
この辺はアルザスワインの本場 冬場なのにコウノトリが! ワイナリーでこれからティスティング
午後のティスティング アルザスワインリースニングなど3種
夜 ストラスブール レジャン・プティット・フランス レストラン アミューズ@、アミューズA、ラヴィオリ 南瓜のピューレ26€、す
べて洋梨デザート16€
希望者5人とK野さんはホテルのレストランで夕食
睡眠不足が続いていたから昨夜は11時にベッドに入ったらすぐ眠りについた。3時間後、枕元のスマホ
がピコッとLINEが来た音をさせた。目が覚めた。マキコにお願いしていた歌舞伎のチケットを買うことが出
来たという内容だった。あぁ日本は午前10時だものね。それからなかなか寝付かれず、結局11時
からの3時間眠っただけで5時半はベッドを出た。中山美穂さんが風呂場で亡くなっているのが見つ
かったというショッキングなニュースが!犯罪に巻き込まれたとか自死とかではなく、入浴中の事故のようだ。
享年54歳。それにしても入浴中に亡くなる人って多いよなぁ。気をつけなくては、とバスルームで転ば
ないよう気をつけながらシャワーを浴びた。今日はちゃんと観光に参加する。8時15分出発の予定だっ
たが、迎えの車が来ないので出発が遅れた。面倒なのは観光に絶好の地のホテルにいるのはいいが、大
型のバスは入れないから小さな車に乗り換える必要があるし、帰りは小さくても車は進入禁止になる
ことだ。だから毎朝小型の車2台に分乗し、駅前に停車している大型バスに乗り換える。あぁメンド!
今日はワイン街道ドライブとクリスマスに彩られた小さな村を訪問する。最初に行くのはストラスブールの守護神で
もある聖女オディールの遺体が安置されている修道院モン・サント・オディール。その名の通り標高760bのホーエンブ
ルグの山の上にあるのだ。バスを降りると風速20メートルはあろうかという強風で吹き飛ばされそう。
どなたかの帽子が飛ばされてコロコロと転がって行くのを皆で追いかけてね。アルザス公爵エティションの長女と
して生まれたが、盲目だったため父親は殺すよう命じたが、母が庇って召使に託して修道院で育っ
たオディール。12歳の時聖エアハルトから洗礼を受けた途端に目が見えるようになり・・因みにオディールとは
「神の光」という意味だそうよ。山を下りて「ヨーロッパ美しい村30選」に選ばれたリクヴィールへ。10年
程前だったか、ここも来たことがある。しかし、村に一歩入った途端「大晦日のアメ横かぁ!」とアル
ザスの政府公認ガイドのK藤さん。12月も未だ6日で、平日にも関わらず人人人で溢れかえっていた。
フリータイムも短縮され、私はそれでも雑踏を歩く気がせず小さなカフェでお茶して待った。5`離れたリボー
ヴィルは週末しかクリスマスマーケット7は開かれないそうで、明日の超大混雑を前に今日は静かなもの。魅力
的なメインストリートをゆっくり歩ける。正面に見える山の中腹には3つの城があり、何とも美しい眺めを
楽しめる。それでも歩き疲れて添乗員のK野さんにブツブツ言っていたら「お疲れ様でした!ここで
ランチでーす」。「LE CAMMISSAR」はアミューズからパン、メイン、デセールまでとても美味しくて「昨夜よりずっ
と美味しい」の声多数。聞いてみると若きシェフは日曜日に行くイローゼルンの「オーベルジュ・ド・リル」で修業
した方だとか。道理で美味しいハズだ。これで35€なんて近所だったら週一で行きたい!同じリボーヴ
ィルのワイナリーでアルザスワイン3種のティスティングをしたのだが、今回のグループはワイン好きの人が少なく(大酒飲
みの私が旅行中は飲まないし)、ワイナリーの方も肩透かしだったようだ。帰りは小型の車でもホテル手前
で下され、ホテルまではクリスマスマーケットを横切ることにしたら、またもやもの凄い人込み。雨が降ったよう
でぬかるむ道を転ばぬようにソロソロと歩いた。夜の夕食はフリー食。ストラスブールのレストランはどこも満席と聞
くし、疲れたのでホテルのレストランで食べることに。ここも5ッ星ホテルなのでお洒落して外からディナーに来
られる方も多いようだ。とはいえ、お昼ガッツリ食べたのであまりお腹が空いていない。アラカルトでもア
ミューズは2種、パン、ミニャルディーズが付くので前菜1品とデセール1品でも十分なのだ。味はまぁまぁか。
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12月 7日(土)ヴィンゲン・シュール・モデールは大雨のち曇り
朝 ストラスブール レジャン・プティット・フランス 朝食ヴュッフェ
土砂降りの中、ヴィンゲン・シュール・モデールの「ラリック美術館」に行く
ルネ・ラリックは16歳で宝飾職人に弟子入りし、若い頃は斬新なジュエリーを作って人気だった
香水瓶のデザインからガラス工芸作家に転身して行く
娘スザンヌや息子マルク、孫マリー・クロードがラリックの事業を継承したが、1994年にポシェ社に売却され血縁者による経営は終わった
昼 ヴィンゲン・シュール・モデール「CHATEAU HOCHBERG」48ユーロのランチコース(タルトフランベ、スパイスブイヨンで炊いた鱒、
仔牛のローストビーフポテト添え、フルーツヨーグルトとマンゴーシャーベット、ミニャルディーズ)、カプチーノ6+1€
夜 ホテル客室にて カレーヌードル、エクレア、みかんなど
相変わらず夜中に何度も目が覚めてフランスに来て以来、しっかり眠ったことが無い。4日目となる今
日もそんな夜を過ごして5時に起きた。今日は少し遠出をするが、朝から雨。まぁ美術館の中にい
るのだろうから大丈夫だろう。ホテル前からはセダンに、ストラスブール駅前からはバスで北へ60`、ヴィンゲン
・シュール・モデールの「ラリック美術館」に行く。既に降っていた雨は途中から激しさを増し、嵐のような天候
に。嵐の最中に美術館に着いてしまった。それ程の距離ではないのだが、折り畳み傘をさしてもびし
ょ濡れになる。傘をまとめてロッカーに入れ、美術館の見学開始。箱根・仙石原にある「箱根ラリック美術
館」は2度行ったことがあるが、あそこはルネ・ラリック作品の収集家旗氏が収集した1500点収蔵作品から
常時230点を展示している。ここは本家本元である。ルネ・ラリックは1860年4月6日シャンパーニュ地方で生ま
れ、1945年5月1日パリで85歳の生涯を終えた。16歳で父を亡くして宝飾職人に弟子入りしたラリック
は、若き頃はアール・ヌーヴォー様式の金細工の宝飾デザイナーとして活躍、斬新なデザインでラリックのジュエリーは女
優サラ・ベルナールなどに多くの女性に愛好された。しかし、宝飾品のデザインが模倣されたり、シンプルなファッシ
ョンが流行り出すとゴージャスなジュエリーの人気が落ちたり。次の道を模索していた彼が手掛けたのは香水
瓶だった。香水のラベルデザインを依頼された時、瓶まで作らせてくれと申し出たのだ。宝飾品の一部
にガラスを取り入れていたが、香水瓶がきっかけとなって本格的にガラス工芸作家となって行く。いや
いや、この美術館は楽しいね。多くの展示の最後には、ガラス製品が作られる様子を纏めた丁寧なビ
デオが上映されているのも良い終わり方だ。隣のショップは人数制限があるらしく、十数人が行列を作
っていた。待って入店したものの購入する気は無いので、隣のお城のような建物のレストランへ。ラリックが
この地に新たなガラス工場の建設を始めたのは1918年で1922年に完成したが、この建物はラリックが来
るまであった工場のオーナーの屋敷だったそうだ。アミューズのタルトフランベは美味しかったが、料理はまぁ普
通か。ストラスブールに帰る頃には雨も止んだ。ホテル到着後この街で最後の買い物がある方などはお出かけ
だったが、私はK野さんがお土産に買ってきてくれたエクレア(食べたのは3分1だけどね)やカレーヌード
ルでカンタン夕食だ。旨かった。荷物の整理もしたいし、読みかけの本を最後まで読みたくてね。無酒日
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12月 8日(日)コルマールとイローゼリンは曇り
シリア・アサド政権崩壊!
朝 ストラスブール レジャン・プティット・フランス 朝食ヴュッフェ
オニオンとチーズのオムレツ
コルマールは自由の女神作者バルトルディの故郷 ウンターリンデン美術館(K野さん撮影)
昼の軽食 イローゼルン「ホテル・デ・ベルジュ」クロワッサンとコーヒー
Fさんと私だけコルマールの観光をパスしてイローゼルンの「ホテル・デ・ベルジュ」に先乗り
イル川の畔の広い敷地に「オーベルジュ・ド・リル」と「ホテル・デ・ベルジュ」がある
私の部屋は3階の10号室。オーナーがカエル好きということで、この部屋にはカエルが6匹も!
夜 イローゼルン ☆☆「オーベルジュ・ド・リル」コース(ミニタルトフランベなどカナッペ2種、魚のすり身のアミューズ、フォア
グラのテリーヌ フルーツジャムとブリオッシュトーストと共に、サーモンのスフレ、仔牛のフィレソティ、梨のキャラメリゼ チコリと
コーヒー味のアイス添え、(お好みチーズ)、ミニャルディーズとカモミールティ
同じ敷地でも寒いのでコートを着て庭を横切りレストランに行く
4代目総料理長のマルク・エーベルランと記念撮影
今朝は何と3時半に目が覚めて朝までずっと眠れなかった。もしかして私は睡眠3時間でOKだっ
たナポレオンになろうとしているのか!ってバカ言うでないよ。4回目となる朝食では、オニオンをたっぷ
りとチーズのオムレツを作って貰った。4泊したストラスブールにサヨナラを言って出発。今日のバスドライバーは女性
だった。今日の日程はコルマールのベニス地区の観光とキリストの磔刑で知られるウンターリンデン美術館を見学し、
午後参加者が楽しみにしているホテルにチェックインする予定だ。コルマールの町の入口に「自由の女神」の像
が。アメリカ独立100周年にフランスが友情の印として贈った「自由の女神」はコルマール出身のバルトルディの作
品なのだよ。余談だが、「自由の女神」像の正式な名称は「世界を照らす自由」である。コルマールも大
人気の街だし日曜日だからクリスマスマーケットはタイヘンな人込みが予想される。それなら午前中の早い時間に
入れば、未だ混雑していないコルマールを歩けるのでは、と早め早めのスケジュールになった。健脚とは決し
て言えないF村さんと私にとっての問題は、バス駐車スペースから旧市街に行くだけでも15分歩かね
ばならず、その後もずっと歩き続けることだ。う〜む、ツライ。添乗員のK野さんとスルーガイドのK藤
さんが一生懸命考えてくれたプランは、バス駐車スペースで下車した皆さんはK藤さんが案内し、K野さ
んはバスでF村さんと私をホテルに送って部屋の準備が出来るまでソファで待つことをお願いし、全員分
のスーツケースを降ろしてからまたバスでコルマールに帰るというもの。いや〜助かったぁ。「ホテル・デ・ベルジュ」
のスタッフは超感じが良く、チェックアウト時間前に到着した私達に「ようこそ」と迎えてくれ、注文したワケ
でもないのにコーヒーとクロワッサンをサービスしてくれた。F村さんは12時45分に、私は午後1時15分に
部屋に案内された。3階の10号室40uのジュニアスィートである。広々して寛げる客室だ。ただテーブル
上のバスケットの蓋を開けてみたら、大きなカエルがヘソ天で横たわっていたり、バスルームの窓下には大きさ
の違うカエルが5匹もいたり!大のカエルキライのR子だったら、大きな悲鳴をあげて客室を飛び出したに
違いない(笑)。居心地の良い椅子で本を読んでいたら、いつの間にかうたた寝をしていたようで、
少し前に皆さんがチェックインされた時間だった。夕食はコートを着て暗い庭を横切り、ミシュラン2つ星「オー
ベルジュ・ド・リル」へ。日本にも3店あるが、やっぱり本場で食べてみたい。入ってすぐ4代目総料
理長のマルク・エーベルランにお会いした。写真お願いしてもいいですかと言うと、いつもは食事の終わり
にするけど皆さんと一緒に写真撮りましょうと快諾頂いた。マルクさんも70歳になるハズだが、お元
気そうだ。名物のフォアグラの後の魚と肉料理とデセールは2択で、私はサーモンのスフレと仔牛のフィレソティ、そし
て梨のキャラメリゼを選択。アミューズからして、この旨さはタダモノではないぞ!って感じで、かつてのフォ
アグラファンも大満足のねっとりフォアグラだった。ブリオッシュトーストの上にフォアグラとフルーツジャムを乗せてガブリと
食べると・・う〜〜旨い!これも店の自慢というサーモンのスフレは大きくて完食出来ず無念。値段も高
いし、予約を取るのもタイヘンなのに店内は満席だ。諸外国から客が来るらしい。デセール前のチーズは満
腹過ぎて食べられなかったのとワインを飲まなかったことは残念だったけど、満足度の高いディナーだっ
た。今日シリアのアサド政権が崩壊した。嬉しいぞ!訪れたことがあるシリアをずっと心配していたから。
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【今週の振り返り】
・・・略・・・
「みなさん、私がみなさんに授業するのは、これが最後です。アルザスとロレーヌの学校では、これから
ドイツ語だけを教えることという命令が、ベルリンから来ました・・。新しい先生が明日来ます。今日
はみなさんの最後のフランス語の授業です。熱心に聞いて下さい」
その言葉を聞いて、ぼくは強いショックを受けた。ああ!ひどい奴らだ、さっき役場に掲示してあった
のはそれなんだ。ぼくの最後のフランス語の授業だって!・・・ぼくときたら、やっとフランス語を書ける
程度なのに!このままの状態でいなくちゃならないわけだ!・・
今になってぼくは無駄に過した時間のこと、鳥の巣を探して歩いたり、ザール川で氷遊びをするため、
欠席した授業のことを、どんなに悔やんだことだろう!ついさっきまであれほど嫌で、持って歩く
のも重く感じていた文法や聖史などの教科書が、今では別れるのがひどく辛い友達のように思われ
た。アメル先生も同じだ。先生はいなくなり、もう二度と会えないのだと思うと、罰せられたり、定
規でたたかれたことも、みんな忘れてしまった。お気の毒な人!
先生はこの最後の授業のために立派な晴れ着を着てきたのだった。そして今になってぼくは、村の
老人たちが何で教室の隅にきて座っているのかが分かった。それはもっとしょちゅうこの学校に来
なかったことを、悔やんでいるらしかった。そしてアメル先生が四十年間も尽くしてくれたことに感
謝し、失われる祖国に敬意を表するためでもあったのだ・・・。
・・・略・・・
そしてフランス語を自分たちの間で守って、決して忘れることのないようにしなければならない。なぜ
なら一つの国民が奴隷となっても、その国民が自分の言語を持っている限りは牢獄の鍵を持ってい
るのと同じだと・・・
・・・略・・・
突然、教会の大時計が正午を打った。それに続いてアンジェラスの鐘が。それと同時に、教練から帰っ
て来るプロシア兵のラッパの音が、窓の下で鳴り響いた・・アメル先生は真っ青になって、教壇に立ちあ
がった。先生がそれほど大きく見えたことはなかった。
「みなさん」と、彼は言った。「みなさん。私は・・私は・・」
でも、何か胸につまった。終わりまで言えなかった。そこで先生は黒板の方に向き直り、一片の
白墨を手に取って、全身の力を込めて、精いっぱい大きな字で書いた。
「フランス万歳」
それから頭を壁に押しつけたまま、そこに立っていて、口はきかずに、手でぼくらに合図した。
「おしまいです・・行きなさい」
引用が長くなったが、19世紀後半に書かれたアルフォンス・ドーテの「最後の授業 アルザスのある少年の
物語」の一部である。以前は国語の教科書に掲載されていたこともあるが、1998年から教科書
から消えた。理由については「国語」イデオロギーによって言語的多様性を否定する側面を持つ政
治的作品であるという批判があったかららしいよ。ふーんと思いながらも、よくはわからない
けどね。それはともかく、今週訪れているフランスアルザス地方ってこんな歴史があるんだよ、って
ことをお伝えしたくて長い引用をした。
アルザス地方はフランスの最東部にあり、ドイツとの国境に近い場所に位置している。そんな場所にあ
るのが災いしてアルザス地方はドイツ領になったり、フランス領になったりを繰り返し、住民は翻弄さ
れ続けて来た歴史を持つ。この作品は1871年普仏戦争でフランスが敗戦した時の話だが、この作
品に出て来るようにアルザス地方の住民はフランス人でありながら、学校でフランス語を習うことで、読
み書きを覚え、自由に喋れるようになった。それって変じゃない?って思いますよね。とい
うのも、この頃アルザスの子供達は、ドイツ語の一方言であるアルザス語が母国語だったっため、国
語のフランス語を話すことも書くことも出来ず、わざわざ学校で習わねばならない状態だったの
だ。それどころか、1990年代まではこの地でフランス語反対運動さえ起ってもいたのだよね。
ドイツっぽいフランスのアルザスはとても魅力的な地方だから、そんな歴史をちょこっと頭に入れて
旅をするともっと楽しくなる筈。そんなアルザス地方を最後に訪れたのはイローゼン村だ。ストラスブー
ルより南、コルマールから車で15分程の人口550人の小さな村イローゼルンに世界中の食いしん坊が押
し寄せるレストランがある。創業は1880年頃というから、もう145年の歴史を持つ「オーベルジュ・ド
・リル」である。最初は「アルブル・ヴェール」(緑の木)という名前だったが、第二次世界大戦時ドイツ
軍の攻撃でレストランは倒壊。母と伯母の後を継いだエーベルラン兄弟が力を合わせてレストラン造りに奔走
し、1949年「オーベルジュ・ド・リル」として生まれ変わってオープン。3年後にはミシュランの☆も獲得して
しまうのだ。その10年後の1957年に二つ星、更に1967年には三ッ星を獲得!ポール・ボキューズ
に続く2番目に長く三ッ星を維持し、今は二ッ星だが、50年以上も三ッ星に輝いたのだから
素晴らしい。何でも三ッ星を初めて獲得した時、料理長のポールは、星の返上が出来ないだろ
うかと考えたらしい。料理人として目指す最高の三ッ星を返上?理由は「これまで愛してく
れた地元の皆さんが来れなくなるようなレストランになりたくない」ということだった。
兄のポールが調理、弟のジャン=ピエールが設備やサービスを担当し、現在はポールの息子であるマルク・エーベ
ルランが4代目の総料理長である。妹さんもその夫も家業に携わり、創業以来の家族経営が続い
ている。「レストランは家族である」は、エーベルラン家が築いて来た言葉で、家族でもてなすことを信
条にしてると聞いた。マルク・エーベルランは、ポール・ボキューズをこよなく尊敬し、若い頃は彼の元で修
業もした。そのボキューズに同行させて貰って日本に来たことが、「オーベルジュ・ド・リル」の日本進
出をするキッカケとなったのだそうだ。名古屋を皮切りに、今では東京、札幌と「オーベルジュ・ド・
リル」が日本に3軒も!運営はヒラマツが行っているが、年に2回はマルクは日本を訪れて厨房に入っ
て料理を作っているという。ご一緒したF川さんは、ご夫婦で過去3回訪れたことがあって、
今回4回目の「オーベルジュ・ド・リル」だったそうだ。4回はムリでもせめてもう1度、また同じ敷
地の「ホテル・デ・ベルジュ」に泊まって、素晴らしいディナーを摂りたいと強く思っているが、アクセス
的に不便でなかなかおいそれとは行くことは難しい。せめて日本の「オーベルジュ・ド・リル」に行
こうか。名古屋か東京か札幌か。その時は思いっきりお腹を空かせ、喉を乾かせ、美味しい
ワインもチーズも愉しみたい!シルブープレ!
女の子でも メルシーボーク ニャのかニャぁ
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